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ワールドプレミア上映@TIFF

甫木元空監督『はだかのゆめ』が、11月25日(金)より渋谷シネクイントを皮切りに全国順次公開となります。

今回、10月31日(月)に第35回東京国際映画祭<Nippon Cinema Now部門>にてワールドプレミア上映がおこなわれ、上映後には主演の青木柚さんらキャストと甫木元監督がQ&Aに登壇しました。(レッドカーペットの模様はこちら
はだかのゆめ東京国際映画祭QA
​ワールドプレミア上映@東京国際映画祭
日付:10月31日(月)
登壇:青木柚、唯野未歩子、前野健太、甫木元空監督

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青木柚、甫木元空監督ら登壇

主人公”ノロ”役を演じた青木柚は「この作品はちょうど1年前の今くらいの時期に撮影をしていた作品。個人的にも非常に縁を感じている東京国際映画祭に、こうして作品とともに再び登壇することができ、とても嬉しい」と挨拶。また、甫木元空監督は「1年前に撮影をした作品に皆さんから拍手をいただいて、やっと映画として完成したような実感が湧いてきた」と喜びを噛み締めた。

甫木元監督は大学生のときに青山真治監督に映画を教わり、『はだかのゆめ』も青山監督からのアドバイスがひとつのきっかけとなったという。「5年前に祖父が暮らしている高知県に移住した。“甫木元”という名字のルーツのある高知県を舞台にいつか映画を撮れたらと思っていて、脚本執筆の前のリサーチの段階で、青山監督に宮本常一さんの著作である「忘れられた日本人」という本を紹介してもらった。民俗学の本なんですが、それを読みながら、祖父が毎日話していた言葉だったり、余命宣告を受けた母親が動物に話しかけるときに使っていた他愛もない言葉遣いだったり、そうした日常の風景を切り取り、メモするようになった。そうしたインスピレーションを与えてくれる本の紹介というきっかけを青山監督にいただく形で、本格的に本作の企画が始まることになった」と振り返った。さらに、「今回の東京国際映画祭では青山監督の追悼プログラムもありますが、いつか映画祭で一緒に作品を上映できたら、と夢を語るようにお互いに話していて、本来想定していた形ではないながら、この映画祭でその夢は実現したんだと思っている。これからも青山監督の作品は世の中で鑑賞され続けると思うので、青山監督との縁を大事にしながら、今後この作品も上映され続ける作品になっていけばと思っている」と語った。

死と生が曖昧になっていくような土地。まるで“歌”のようなシナリオ

映画の舞台となっている高知県について客席から「“お遍路さん”という文化があるなかで、死と生が曖昧になっていくような空気感があるような場所なのではと思った」という言葉に、青木は「脚本を読んだ段階で、登場人物の誰が生きていて、誰がそうでないのか、僕はとくに聞いていなかった。監督になにかを質問しても返ってくる答えもあれば、そうでない答えもあって、きっとそういう言葉にできないものがこの映画で伝えたいことなんだろうなということをすごく感じた。個人的には、わからないものの良さじゃないですけど、手放しのわからなさというよりは、意志の入ったわからなさというか、難しいのですけれども、そういう0か100とかではなく揺らいでいるもののような感覚、そういうものを大事にしたいなと思っていました。それは作品のテーマとしてもですし、演じた役の概念のようなものにも通じていて、曖昧さはすごく大事な要素だったのではと個人的には思っている」と語り、それを受けて唯野も「死を描こうというときに、生きている人が生きてないみたいで、死んでいる人が死んでないみたいなところから死を発見していくというか、死を追いかけていくというシナリオを読みながら、気づいたらすっかりはまっていました。最後、肯定しているというか優しさを感じた」と甫木元作品の世界観について述べた。また、前野は「最初に脚本を送っていただいて読んだときに、まるでセリフが歌の歌詞のようだった。この歌、言葉、これは只者ではないと感じた。演じる際には歌うように表現をすればいいのかな、と思っていたが、実際に高知に行ったら現地の景色に翻弄されてしまい、なかなかイメージしていたように歌うように自然に演じるというわけにはいかなかった」と振り返った。

最後、甫木元監督は「とても小さな家族の話ではあるのですが、やっぱり映画はお客さんに観てもらって完成するのだなと今日改めて実感した。これから劇場公開して映画の旅が続いていきますが、少しでも些細なことでもいいので話題にしていただければと思います。また何度でも劇場で出会っていただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました」と述べて、トークを締めた。

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『はだかのゆめ』

11月25日(金)より渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー。

公式サイト:hadakanoyume.com 

『はだかのゆめ』は、高知県四万十川のほとりに暮らす一家、息子のノロ、母、祖父の親子3代にわたる時間と、その時間の境界線を飛び越えた触れ合いの、そしてそれでも触れることのできない残酷な距離を描いた物語。大学時代の恩師である青山真治監督による初プロデュース作品『はるねこ』(2016)で監督デビューした甫木元空の監督第2作目である。

ストーリー
四国山脈に囲まれた高知県、四万十川のほとりに暮らす一家の人々。祖父の住む家で余命を送る決意をした母、それに寄り添う息子ノロ。嘘が真で闊歩する現世を憂うノロマなノロは、近づく母の死を受け入れられず徘徊している。
『はだかのゆめ』

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監督・脚本・編集:甫木元空 
出演:青木柚 唯野未歩子 前野健太 甫木元尊英
プロデューサー:仙頭武則 飯塚香織 撮影:米倉伸  照明:平谷里紗  現場録音:川上拓也  音響:菊池信之  助監督:滝野弘仁 
音楽:Bialystocks 製作:ポニーキャニオン  配給:boid/VOICE OF GHOST
2022年/日本/カラー/DCP/アメリカンビスタ/5.1ch/59分  
©PONY CANYON  
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