サハラ砂漠の遊牧民、トゥアレグ族のバンド「トゥーマスト」。
支配と反乱の歴史を塗り替えるために闘う彼らを追ったドキュメンタリー映画

トゥーマスト~ギターとカラシニコフの狭間で~

が2/28(土)より渋谷アップリンクにて公開が決定。

公開に先駆けて毎回様々なジャンルのゲストを招き、上映イベントを開催。第一回目のトークゲストはピーター・バラカンさんとデコート豊崎アリサさんが登壇。本作を通してみる「抵抗運動と音楽」についてトークを繰り広げました。

トゥーマスト~ギターとカラシニコフの狭間で~
日 時:2014年12月16日(火)
場 所:渋谷アップリンク
ゲスト:ピーター・バラカン(ブロードキャスター)、デコート豊崎アリサ(ライター/ジャーナリスト/写真家/「サハラ・エリキ」主宰)

今回のテーマは「『トゥーマスト』を通して見る、抵抗運動と音楽について」。

最初にバラカンさんは、「砂漠のブルース」と形容されるトゥアレグ族のサウンドについて「あのリズムは原始的で身体が無条件にのってくる感じがある」と話し、アリサさんは「ラクダに乗っているような感じ」とトゥアレグ族の音楽の力強さを語りました。

12.16イベント写真_バラカンさん_アリサさん

バラカンさんはトゥアレグ族の音楽を、トゥーマストに影響を与えた同じトゥアレグ族のバンド、ティナリウェンを通して知ったという。ティナリウェンのプロデューサーであるジャスティン・アダムスは、レッド・ツェッペリンのロバート・プラントのバンドメンバーとしても活躍しているイギリス人ギタリスト。

マリのトンブクトゥで行われた音楽祭「砂漠のフェスティバル」では、トゥーマストやティナリウェンなどトゥアレグ族のアーティストに混じり、ロバート・プラントも出演したことがあると、バラカンさんはワールドミュージックとしてカテゴライズされがちなトゥアレグ族の音楽とロックとの接点について解説。

フランスの植民地支配により、現在トゥアレグ族が暮らしているのは、ニジェール、マリ、アルジェリア、リビア、ブルキナファソの5ヵ国。

バラカンさんが、映画の中で語られている「トゥアレグ族はラジオも新聞も持たないから、音楽を通してメッセージを伝えた」という言葉について触れると、アリサさんは「彼らにとって音楽の歌詞は現状を語るものなので、マリの現状、ニジェールの現状とそれぞれの地域でテーマが変わる。

マリのトゥアレグ族は、政府が市民の意見を聞かず鉱山を作ろうとする動きを監視しているので、ニジェールで起きていることを音楽で知るんです」と、音楽が彼らの抵抗運動、そしてコミュニティにとって重要な役割を果たしていると。

またアリサさんは今年の9月、今作でも描かれる世界有数のウラン産地・ニジェールのウラン工場に取材を敢行。40年前からフランスの原子力企業・アレバ社が遊牧民たちが住んでいる場所を採掘し、現地で草が生えない、奇形の子供や家畜が生まれるという問題が起きている事実を指摘した。

そしてアリサさんは、トゥーマストのリーダー、ムーサ・アグ・ケイナによる「もう二度と銃は使わない。俺たちの音楽を通してトゥアレグ族の信念を知ってもらえる。俺たちが銃で戦っていたときはトゥアレグ族の状況は知られていなかった。今、やっと俺たちのメッセージが世界に伝わり始めた」という今作の中の言葉をふまえ、「鉱山のまわりで生きるトゥアレグたちから『鉱山を閉めろ』という、今までにない市民運動が生まれている」と最近のトゥアレグの動きについて解説。

アレバ社の生産するウランが日本の原発で使われていること、そしてアレバ社の代表が取材の際に「日本の原子力発電所48基が再稼働されればウランのマーケットは上がる」と語ったことにも触れ、トゥアレグ族をめぐる問題が、私たち日本人と無関係でないことを力説しました。

トゥーマスト ~ギターとカラシニコフの狭間で~』先行上映イベントは・・・
TOUMAST
この後、2015年1月16日(金)、サラーム海上さん(よろずエキゾ風物ライター)、粕谷雄一さん(金沢大学教授)を迎え行われます。

<先行上映イベント続々決定!!>
・1/16(金)ゲスト:サラーム海上(よろずエキゾ風物ライター)、粕谷雄一(金沢大学教授)
・2/6(金)ゲスト:近日発表!
・2/25(水)ゲスト:近日発表!

時間:18:30開場 / 19:00開映 / 20:30トークスタート
料金:一律 2,000円
会場:渋谷アップリンク(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階)
オンラインにてチケット発売中!
★詳細・オンライン券はこちら http://www.uplink.co.jp/movie/2014/33906

2015年1月16日(金)
アフリカ音楽と「砂漠のブルース」について
ゲスト:サラーム海上(よろずエキゾ風物ライター)、粕谷雄一(金沢大学教授)
よろずエキゾ風物ライターサラーム海上さんと、アルジェリアの民衆音楽ライをはじめ、アフリカの音楽に造詣の深い金沢大学の粕谷雄一さんにお越しいただき、トゥーマストや、トゥーマストに影響を与えたバンド、ティナリウェンなど「砂漠のブルース」と呼ばれる音楽のルーツ、そしてアフリカ音楽についてお話いただきます。

トゥーマスト~ギターとカラシニコフの狭間で~

2015年2月28日(土)より、渋谷アップリンクにて公開

公式サイト:http://www.uplink.co.jp/toumast/
公式Facebook:http://on.fb.me/1vksAhs

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『トゥーマスト~ギターとカラシニコフの狭間で~』
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力強く 武器のごとく怒りに満ちた言葉たち。だが愛するは、血で綴られた“抵抗”と“自由”の二語 (トゥアレグ族の詩より)

サハラ砂漠西部。インディゴで染めた真っ青な布で全身を覆った青衣の遊牧民、トゥアレグ族。
トゥアレグの歴史は苦しみと流浪、反乱と不正義に汚されていた。“トゥーマスト”というバンドを率いる元レジスタンス兵士のムーサは、80年代、リビア、カダフィ大佐の元へ兵士としての訓練を受けに行った。彼がそこで手に入れたものは、カラシニコフとギター。その後、反逆の精神と新しい音楽を携え砂漠に戻った彼らは、音楽で世界を変えようと闘ってきた。
“トゥーマスト”とは、トゥアレグの 言葉でアイデンティティを意味する。この映画は、ムーサやトゥアレグの人々へのインタビューを通して、トゥアレグ族のアイデンティティについて、サハラの今について、そして、自由のための闘いについて描いたドキュメリーである。

●トゥアレグ族とは
ベルベル人系の遊牧民族。サハラ砂漠を遊牧していたが、20世紀初めにフランスによる植民地政策が始まり、アルジェリア、ニジェール、リビア、マリ、プルキナファソの5つの国に分散した。また、ニジェールは世界有数のウランの産地でもある。青衣の民としても知られる彼らは、一般のイスラム世界とは逆に、男性が衣装で顔や身体を隠し、女性は肌を露出していることもある。また、一夫一婦制で、女性が夫を選ぶ権利を持つ女系社会である。

●TOUMAST(トゥーマスト)
リビア、カダフィ大佐の元でレジスタンス兵として訓練され、同じくレジスタンス兵で「砂漠のブルース」の旗手的なバンド、ティナリウェンのメンバーと出会い、音楽を始める。2008年にピーター・ガブリエルのワールド・ミュージックのレーベル「Real World」より1stアルバム『ISHUMAR』でCDデビュー。現在はパリ在住で、ヨーロッパ各地でコンサートを行い、活躍している。

監 督:ドミニク・マルゴー
出 演:トゥーマスト
配 給・宣伝:アップリンク
(スイス/2010年/ 英語/カラー/88分)
 

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