映画情報どっとこむ ralph “映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」の最新回に、現在公開中の映画『ひらいて』の首藤凛監督が登場。MCは当番組お馴染みの映画評論家・森直人が担当し、「この映画を撮るために生きてきた」と首藤監督が並々ならぬ熱量で挑んだ本作の魅力に迫っている。
『ひらいて』首藤凛監督_活弁シネマ倶楽部

山田杏奈×作間龍斗×芋生悠!禁断の三角関係を描いた映画

明るく目立つタイプの女子高生・愛(山田杏奈)が、ずっと片思いをしている同じクラスの“たとえ”(作間龍斗)に病気がちで目立たない美雪(芋生悠)という「秘密の恋人」がいることを知り、「好きな人の好きな人を奪う」衝動に突き動かされていく禁断の三角関係を描いた、芥川賞作家・綿矢りさの同名小説を映画化した本作。

森が「めちゃくちゃ気合いが入っているなと思いましたが、命がけの一作ということ?」と尋ねると首藤監督は「17歳の時に原作を読んで、最初に企画を書いたのは3年前くらいなので、この映画が撮れなかったら今後どうやって生きていこうかと追い詰められるくらいでした」と語り、長らく温め続けた本作への思い入れを振り返る。

「意気込みから察するに、原作を忠実に映画化するのかと思いきや、全然そうではなくて、それがすごく良かった。原作の内部に監督が潜り込んで自分のやり方で作品を生き直したような気がした」と森が率直な印象を述べると、「自分としては脚本を書いてるなかで原作に立ち戻ることが多くて、結果としてけっこう原作に忠実になったなと思っていましたが、心の中にずっとあった物語なので、勝手にそうなっていったかもしれない」と首藤監督。

綿矢りさ原作の映画化といえば大九明子監督が映画化した『勝手にふるえてろ』『私をくいとめて』が記憶に新しいが、森の「アプローチはかなり違うと感じた」という感想に対し、「まず原作のテイスト自体もすごく違うんですけど、大九監督は原作のコミカルな部分や、一生懸命であるが故に滑稽な部分を真正面から撮っていらっしゃって、『ひらいて』も読みようによっては笑っちゃうところもあるんですが、私がこの原作をやるならそういう方向に逃げられないと思いました」と首藤監督が語ると、森も「そこはまさに核心の部分だと思う」と納得する。
「原作は愛の一人称で綴られているが、映画では愛、美雪、たとえという、女子2人プラス男子1人の関係を見つめる形になっている。その視点の置き方は意識したものか聞きたかった」という森の質問に、首藤監督が「かなり意識しました。原作は、たとえと美雪という神聖なカップルに愛が入り込んでいけないという物語だけれど、私がすごく響いたのは美雪と愛の関係性だった」と答えると、森は合点がいった様子で「この視点の置き方もあって感じましたが、首藤監督の過去作『また一緒に寝ようね』や『なっちゃんはまだ新宿』は『ひらいて』の派生形なのでは?」と言及すると首藤監督も「そうなんです」と大きくうなずき、高校生の時に図書館で読んだというこの小説がまさに自身の創作の原点だと明かしてくれた。

そんな首藤監督の演出について、森が「スロースターターと粘り強いラスト」という言葉で表現し、「じっくりギアを入れてだんだん上げていって、安易な方向に流されないところが素晴らしい」と高く評価すると、「ラストの展開は本当に悩みに悩み抜いたので嬉しい」と首藤監督も顔をほころばせていた。
『ひらいて』首藤凛監督_活弁シネマ倶楽部
さらに首藤監督が「目がすごく力強い」と語る山田杏奈をはじめとするキャスティングの経緯や、劇中に登場する、愛と美雪が映画やカラオケに行くシーンなどに込められた“裏設定”、原作者・綿矢りさとの交流についても話は及んでいる。渾身の力を注いだ本作で商業長編映画デビューを果たした首藤監督の今後の展開にも期待が高まる、必見のインタビューだ。

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『ひらいて』

10月22日(金) 全国ロードショー

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hiraite-movie.com

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『ひらいて』
女性から圧倒的な支持を得る芥川賞作家・綿矢りさが、高校生の思いつめた恋心、暴走する想いを描き、人間の根源的な愛を問う文芸少女のバイブルとなった小説「ひらいて」が、弱冠26歳・新進気鋭の若手監督・首藤凜による脚本・監督にて映画化決定。

学校でも優等生でビジュアルも良く人気者の「愛」。恐れを知らない彼女の熱い恋心は、彼の「恋人」にまで向けられ、物語は三角関係だけにとどまらない方向へと進んでいく・・・。エキセントリックでありながらも切実な純愛を描き、いかなる恋愛映画も及ばなかった境地に行き着く、青春映画の系譜を飛び越えた本作。
ひらいて

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山田杏奈
作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.) 芋生悠
山本浩司 河井青葉 木下あかり
板谷由夏 田中美佐子 萩原聖人

監督・脚本・編集:首藤凜
原作:綿矢りさ『ひらいて』(新潮文庫刊)
音楽:岩代太郎 主題歌:大森靖子「ひらいて」(avex trax)
制作プロダクション:テレビマンユニオン 製作:「ひらいて」製作委員会
配給:ショウゲート
©綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会 PG -12

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