映画情報どっとこむ ralph 祖父の家に居候をする、美大生のアミ。
大人になるアミとは反対に、どんどんボケていき子供返りするおじいさん。
やがて、二人の感受性が重なる。

認知症の祖父と二人暮らしをする美大生の、1年間の物語。

『春』古川琴音
京都国際映画祭2018 クリエイターズ・ファクトリーほか9つの映画祭にてグランプリを受賞した他、文化庁メディア芸術祭2019 新人賞(大森歩)、TAMA NEW WAVE ベスト女優賞(古川琴音)も受賞した短編映画『春』が、10月1日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにて、大森歩監督の新作『リッちゃん、健ちゃんの夏。』(出演:武イリヤ 笈川健太)と同時上映される。

この度、本作で初主演を飾った古川琴音のオフィシャルインタビューが届きましたので、ご紹介。

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重要なのはアミとおじいちゃんの関係性

『春』古川琴音オフィシャルインタビュー

Q:この3年で色々な作品に出演した今、3年前に出演した『春』の自分を見ていかがですか?
やっぱりむず痒いというか、あまり見たくないです。でも、監督自身がこの物語をすごく大切にしていたので、スタッフの皆さんや監督自身が強い思いを寄せて作品作りをしている作品に主演として任せていただいたのはすごく大きなことだと思っていて、どの作品をやるにしても、誰かが作った意味があったり、そこに乗る想いがあるんだよというのを一番最初に知れたことは、すごくいい経験でした。

Q:お仕事を始めたばかりで主演というのはいかがでしたか?
今の私だったら、すごく荷が重いと思うんですけれど、当時は仕事を始めたばかりだったので、そこまで気が回らなかったというか、どの作品も「できるんだろうか」という気持ちでしたが、不安はありませんでした。結果としてプレッシャーを感じずに出来たのは良かったと思います。

Q:老化するおじいちゃんを介護する女子大生の役を演じていかがでしたか?
あまり介護という面にフォーカスした記憶はなくて、重要なのはアミとおじいちゃんの関係性だと思っていました。アミという役は大森監督の分身なので、大森監督がおじいさんとどういう思い出があって、今どういう想いでこの作品を作っているんだろうかということに集中していました。確かに劇中おじいちゃんの世話をするという場面は出てくるんですけれど、そこを専門的に突き詰めるということよりは、おじいちゃんの体をどう扱うかとか、アミはおじいちゃさんの何を気にかけているかとかを考えていました。

Q:監督とはどういう話をしましたか?
役とか演じ方について監督から「こうして欲しい」というのはあまりなくて、すごく自由に演じさせてもらいました。その代わり、おじいさんのことをどう思っていたとか、どういうことがあったか、当時はどう思っていたけれど、今はこう思っている、というような、おじいさんとの話をたくさん聞きました。現場で、カメラを回す前に監督が、「ここはこういう物語があったんだよ」等と教えて下さいました。

Q:就活は学生にとって初めての社会との接点で、壁にぶつかる部分も短編でありながら丁寧に描かれていました。アミの「社会に出る」という部分に関しては共感する部分はありましたか?
実は私は就活のタイミングで今の事務所を受けて、縁があって入ることができたので、就活はしていないんです。社会に出て、どの選択も自分が考えて自分が決めていかなくてはいけないっていうのって、広い海に出された感じで、途方もなく感じたりとか、その責任を投げたくなったり、誰かに押し付けたくなるような気持ちは就活を経験してなくてもとても共感できました。そういう葛藤や戦いをしながら巣立っていく姿は、その当時の自分にも重ねていたと思います。

Q:本作の見所はどこだと思いますか?
どこのシーンが皆さんにとって印象に残るのかすごく興味があります。おじいちゃんとの日々のシーンが胸にくる方もいらっしゃるでしょうし、若い世代の方々はアミと同じように「自分がこの先どう生きていこうか」とか、「何を軸に生きていこうか」と考える時期に当たっていると思うので、そういった戦いに共感していただけるのではないかと思います。

Q:読者にメッセージをお願いします。
映像を綺麗に撮って下さっているので、町の景色だったり、色彩の豊かさだったりを楽しめると思います。若い方々は一緒に共有しながら観ることができるし、上の世代の方々も、自分が戦っていた昔の思い出だとか、ノスタルジックに感じる部分があると思うので、色んな方々に観て頂ければと思います。

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『春』

公式サイト:haru-natsu-movie.jp/haru

Twitter:@harunatsujyouei

『春』は、3年間祖父と二人暮らしをし、美術大学を卒業し、現在CMなどのディレクターとして活躍する大森監督自身の経験を元に、祖父を介護する美大生の心情を繊細に描いた秀作。認知症が進む祖父に、イライラが募った主人公が思わずしてしまう行動など、監督が過去に抱いたであろう、他人には見せたくないような汚い感情も逃げずに描いたリアリティが、観る者に突き刺さる。

主人公Q:アミを演じ、初主演を飾ったのは、NHK連続テレビ小説「エール」の主人公夫婦の一人娘役、「コントが始まる」の有村架純の妹役や『泣く子はいねぇが』、『街の上で』などで注目を集める古川琴音。

20年間劇団東京ヴォードヴィルショーの中心メンバーとして活躍し、舞台を中心に活動をしている花王おさむが祖父を、『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(監督:大林宣彦)でピアノを演奏した加藤才紀子がアミのアニメオタクの同級生Q:橋本を演じている。

あらすじ:
祖父(花王おさむ)の家に居候して二人暮らしをしている、美大生のアミ(古川琴音)。いつも満州に行ったことを自慢気に話す祖父を、「衛生兵だったんでしょ。私も戦争したよ、受験戦争」と馬鹿にするアミは、翌年に就活を控えている。
アニメオタクの同級生Q:橋本(加藤才紀子)が我が道を行く一方、アミは、自分の描きたいものを描くのではない”広告”の課題に苦戦し、自信を喪失していく。同時に家では、どんどんボケていく祖父にイライラが募り、アミはとうとうキレてしまうが、ある日、初めて聞く祖父の話に気持ちが動き…

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[キャスト]
古川琴音 
花王おさむ 加藤才紀子 
西智子 伊勢田世山 松山茂雄

[スタッフ]
監督Q:脚本:大森歩
プロデューサー:穴久保亮 谷内恒太
アソシエイトプロデューサー:伊藤太一 制作進行:松重涼子
撮影:安藤広樹 照明:重黒木誠 助監督:長田亮 美術:佐藤彩 編集:対馬天伸 MA:吉川貴人
製作:AOI Pro. × 第8回きりゅう映画祭制作作品
配給:アルミード
©AOI Pro.  2018/ 日本/ カラー/ 16:9/ DCP/ 27min

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