![]() |
モスクワの空港で2年もの間、飼い主を待ち続けた忠犬・パルマの実話を描いた日露合作映画。
|
![]() |
佐藤優、山本修夢登壇・・そして『ハチとパルマの物語』公開記念トーク本作にジャーナリスト役で出演している山本は近年、ロシアのドラマや日露合作映画『ソローキンの見た桜』にも出演しており、ロシア語で演技をする機会も多いという。本作の現場では監督から「役作りのアドバイスとして『あなたの役はジャーナリストだけどプーチンにインタビューするようなジャーナリストではない』と言われました(笑)」と明かし、笑いを誘う。 そんな山本の演技について、佐藤は「ロシア語がすごくうまかったです。確かにジャーナリストのロシア語じゃないんです。ジャーナリストのロシア語はもう少したどたどしい。あれは商社マンのロシア語に近いですね。経歴を見る前、俳優になる前に商社の社員だったのかと思うくらい、商社マンが女性を口説くようなうまいロシア語でした(笑)」とユーモアを交えつつ絶賛した。 さらに、ロシアの側から見た本作の見どころ、ロシアでのヒットの要因について佐藤は「1977年が舞台になっていますが、私がソ連に行ったのは1975年で、当時のソ連は日本よりもはるかに豊かで世界的に見ても生活水準が高かったんです。一番豊かな頃であり、アフガン紛争の前の平和なソ連で、体制の中にいるんだけど、いろんな人の人間的な物語が描かれているんですね。60代以上の人にとっては、当時のソ連が懐かしいし、若い人も両親からソ連時代は悪いことばかりじゃなかったという話を聞いていて、ソ連崩壊から約30年が経って、ソ連時代を見直すという空気にこの映画はピタッとハマったと思います」と分析する。 山本は、佐藤の言葉にうなずき、ベラルーシで行われた撮影を述懐。「撮影現場の飛行場跡地に入った瞬間、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』じゃないですけど、30年前のソ連ってこうだったんだなと思えるくらい、細かい部分まで当時の様子が精巧に再現されていて、ソ連の匂いを感じてわくわくするような体験でした」と語る。 こうした再現性の高さについては佐藤も太鼓判を押す。「すごいなと思ったのがアエロフロート航空の窓口の女性。70年代後半のソ連時代の典型的な航空会社の職員で、サンドウィッチを食べてるんですけど、あれは野菜も何もなく、白いパンに切ったハムを挟んだだけの典型的な当時のロシア人のお昼ごはんです」と驚きを口にした。 また、映画に出てくる飛行機「イリューシン18」についても言及。佐藤が「いまは騒音の基準をクリアできないので、この飛行機は簡単に飛ばせられないはず」と指摘すると、司会を務めた本作のプロデューサーから、飛行機のシーンの撮影が(騒音の規制から外れる)ロシアの軍事空港で行われ、それゆえに日本人の俳優が入ることが許されないため、見た目が日本人に近い現地の俳優を起用したなどといったエピソードが明かされた。 さらに、ゲストとして鈴木宗男参議院議員も登場。 佐藤は、最後に今後の日露関係について問われ「いい方向に進むと思います。この映画が作れているということ自体がひとつの証拠です。政府が『やれ』と言うのではなく草の根からの民間の支援がないとこういう映画はできないので」と説明。さらに、安倍政権が築いてきたロシアとの関係、北方領土問題、先日の米露首脳会談にも触れつつ「アメリカとロシアはケンカしないと決めたので、うまくいく条件が整っていると思います。秋にグッと動くかもしれません」とポジティブな期待を口にしていた。 山本は観客に向けて「出演者のひとりではあるんですけど、パルマが一生懸命大スクリーンを走っている姿を見ていると感動して涙が出てきます。たく映画を観ている見識ある方に『なんでワンちゃんが飼い主に走っていく姿を見ると涙が出るんでしょうか?』と聞いたら『純粋だからじゃないか?』と言っていました。生きていると、計算とか思惑とかいろんなことがあるかもしれないけど、ワンちゃんたちは純粋に飼い主を愛している。パルマが一生懸命走っている姿を劇場で見ていただければと思います」と呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。 |
![]() |
『ハチとパルマの物語』は公開中。 公式サイト:
ストーリー |
出演:渡辺裕之 藤田朋子 アナスタシア 壇蜜 高松潤 山本修夢 早咲
阿部純子(友情出演) 堂珍嘉邦(友情出演) アリーナ・ザギトワ(友情出演)
アレクサンドル・ドモガロフ レオニド・バーソフ ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ
監督:アレクサンドル・ドモガロフJr.
脚本:アレクサンドル・ドモガロフJr./村上かのん
プロデューサー:益田祐美子
配給:東京テアトル、平成プロジェクト
©2021パルマと秋田犬製作委員会