映画情報どっとこむ ralph 今、最も注目を集める映画製作スタジオであるA24とプランBが、アカデミー賞®作品賞受賞作『ムーンライト』以来となるタッグを組んで贈る最新作『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が、弊社配給で10月9日(金)より新宿シネマカリテ、シネクイント他にて全国公開されます。

日時:9月30日(水)
司会:立田敦子(映画ジャーナリスト)
ゲスト:藤井道人(映画監督・脚本家)、内田奈芳美(埼玉大学人文社会科学研究科教授)
映画情報どっとこむ ralph この度、映画サイト「fan’s voice」で行った独占最速試写会後にオンライントークイベントを実施いたしました。その模様を記載したイベントレポートをお送りいたします。ご確認いただき、ぜひニュース記事のご掲載をご検討くださいますよう宜しくお願い申し上げます。

今最も注目を集める映画スタジオであるA24とプランBが、アカデミー賞®作品賞受賞作『ムーンライト』以来のタッグを組んだ最新作『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』が、いよいよ10月9日より新宿シネマカリテ、シネクイントほか全国公開される。それを記念し、9月30日に映画サイト「fan’s voice」独占最速試写会を実施。試写後のオンライントークイベントには、「新聞記者」で日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞し、最新作『宇宙でいちばんあかるい屋根』も絶賛公開中の藤井道人監督と、都市デザインや本作でも描かれるジェントリフィケーションの専門家として埼玉大学人文社会科学研究科教授の内田奈芳美氏がゲスト出演した。

まず映画を観た感想を尋ねられた藤井監督は、「A24の新作ということですごく楽しみに観ました。純粋に、こんなに良いデビューが出来て羨ましいな、というのと本当にピュアな映画だなと思いました。大事な友達との2時間、実直に描き続けた監督に尊敬します」と今回ジョー・タルボット監督が本作で長編デビュー作を飾ったという点に触れ、同じ映画監督としての率直な印象を述べた。また、本作がアカデミー賞®作品賞を受賞した『ムーンライト』以来となるA24と、ブラッド・ピット率いるプランBとのタッグの新作であるということについては、「その2社のタッグということでどんな作品がくるのだろうと期待値が上がっていました。A24らしいスタイリッシュさもありながら、自分ごとにできるくらいちゃんとした余韻があって全然映画が消えなくて良かったなと思いました」と称賛した。
本作を紐解く上でのキーワードともいえる“ジェントリフィケーション”(=物理的立ち退きを伴う都市の変化)を研究している内田氏は、「この映画はまさに“ジェントリフィケーション”にどういうふうに影響を受ける生活があるのかといったことをすごく丁寧に描いた作品だと思いました。特に、居場所を探す苦悩がすごく表れていたと思います。よく、自宅、会社、そして“サードプレイス”という第三の場所があるべきと言われているんですが、主人公は家もなく職場も居場所とは呼べず、黒人のコミュニティにもいまいち引っかかっていなくて、居場所を掴むことが出来ないという苦悩をすごく感じられました」と専門的な視点で作品を振り返った。

また、藤井監督は「前情報なしでも、観た瞬間、すごい若い監督なんだろうなと思いました。映像的なスタートダッシュがすごく良かったですね。冒頭のジミーとモントがスケボーを2人乗りで疾走するシーンなんかはすごく高度なことをやっていて、音楽が普通にオケで進むんですが、ハイスピードと超ハイスピード、そしてノーマルスピードと、映像のスピードをどんどん可変させていくところは、「あ、この人すっごく編集がうまいな」と思って心を掴まれて、2人の関係値を知りたくなる良いスタートだなと思いました」と映画的な魅力について言及。さらに、「僕は地元の仲間と一緒に映像を作ったり、大学の同級生と会社をやったりと、ジミーとモントの関係性に死ぬほど共感しました」と明かし、ジョー・タルボット監督が以前「僕らのような友情がこの先この街で生まれるのか不安だ」とインタビューで語っていたことを上げ、「僕も、街があったからその人に出会えたし、その街がどんどん愛せない街へと変化していくときに愛せる人に出会えるのか?と感じます。(ジョー・タルボット)監督はそこをド直球に描いているなと思いました」と、自身とも共通する思いについて語った。

最後に、内田氏は「舞台がサンフランシスコという場所だということにすごく意味があると思っていまして、本来であれば多様性をかなり許容する街であり、ニューヨークやLAの華やかさとは離れた、ある種田舎的な素朴さをもった街だったんですよね。そこには、何世代にもわたる由来や存在していた意味があるはずで、だからこそ魅力を感じられて、そういった場所が変質してしまったことの悲しさや虚しさが大きいと思うので、サンフランシスコであるという意味を噛みしめながら観ることでより興味深かったです」と語ると、藤井監督から「内田先生のお話がすごく面白くて、自分にとっての“サードプレイス”を考えるきっかけになりました。特にA24の作品を観ていると、海外でこういうふうに若い作家がどんどん出てきていることを痛感しますし、日本人監督として自分たちも負けないように、今回のように海外で語られるような作品を作っていきたいなと思いました。素敵な映画をありがとうございました」とそれぞれコメントがあり、イベントが終了した。

映画情報どっとこむ ralph 今回のトークイベントの様子はYouTubeのアーカイブから確認することが出来る。

映画情報どっとこむ ralph ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
原題The Last Black Man in San Francisco

10月9日(金)より、新宿シネマカリテ、シネクイント他全国ロードショー

本作の舞台となるのは、ゴールデン・ゲート・ブリッジや坂道を走る路面電車、優雅に佇むヴィクトリアン様式の家が並ぶ情緒豊かなサンフランシスコ。歴史あるこの街は、急速な発展によって地価が高騰し、富裕層が多く住むようになったことで、代々住んでいた者たちは行き場所を失っていた。主人公を実名で演じた、ジミー・フェイルズもその一人。メガホンを執ったジョー・タルボット監督は、幼なじみであるフェイルズが体験してきた物語を自身初の長編映画として作り上げた。本作は、サンダンス映画祭で監督賞と審査員特別賞をダブル受賞した他、世界各国の映画祭で高い評価を受け、オバマ前米大統領が選ぶベストムービー(2019)にも選出されている。

生まれ育った場所が面影も残らないほど変化することで、大切な記憶が上書きされ、自分のアイデンティティまで否定されてしまうような感覚。それは一見パーソナルな物語でありながら、今や世界中で起きつつある問題を描いている。多くの財産をもたず、大都市の片隅に追いやられても、家族の記憶が宿る美しい家や、かけがえのない親友を大切にするジミー。そんな彼の姿は、「人生にとって、本当に必要なものとは何か」を見つめ直したい今だからこそ、私たちに温かい抱擁のような余韻を残し、寄り添ってくれる。

【STORY】
変わりゆく街・サンフランシスコで、変わらない大切なもの。
家族の記憶が宿る家とたった一人の友。それだけで人生はそう悪くないー。
サンフランシスコで生まれ育ったジミー(ジミー・フェイルズ)は、祖父が建て、かつて家族と暮らした記憶の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛していた。変わりゆく街の中にあって、観光名所になっていたその家は、ある日現在の家主が手放すことになり売りに出される。この家に再び住みたいと願い奔走するジミーの思いを、親友モント(ジョナサン・メジャース)は、いつも静かに支えていた。今や“最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、彼は自分の心の在り処であるこの家を取り戻すことができるのだろうか。
多くの財産をもたなくても、かけがえのない友がいて、心の中には小さいけれど守りたい大切なものをもっている。それだけで、人生はそう悪くないはずだ──。そんなジミーの生き方が、今の時代を生きる私たちに温かい抱擁のような余韻を残す、忘れがたい物語。

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監督・脚本:ジョー・タルボット 
共同脚本:ロブ・リチャート
原案:ジョー・タルボット、ジミー・フェイルズ
音楽:エミール・モセリ 
出演:ジミー・フェイルズ、ジョナサン・メジャース、ロブ・モーガン、ダニー・グローヴァー
配給:ファントム・フィルム
提供:ファントム・フィルム/TCエンタテインメント 
©2019 A24 DISTRIBUTION LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
2019年/アメリカ/英語/ビスタサイズ/120分/PG12
字幕翻訳:稲田嵯裕里  phantom-film.com/lastblackman-movie/

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