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『喜劇 愛妻物語』の監督である足立紳が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。 足立監督が本番組に登場するのは、脚本を担当した『きばいやんせ!私』(2019)に続いて二度目だ。MCを務める映画評論家の森直人の前で、本作の成り立ちや出演者の魅力などについて、大いに語った。 本作は、『百円の恋』(2014)で日本アカデミー賞に輝いた名脚本家である足立が、自伝的小説『喜劇 愛妻物語』を自ら脚色した監督第二作だ。どうしようもない倦怠期にある夫婦の珍道中を通じて、滑稽だが愛すべき“夫婦の真実”を軽快なテンポで描き切った、珠玉のロードコメディとなっている。ダメ夫・豪太役に、独特の個性で愛される濱田岳が扮し、そんな夫に罵声を浴びせながらも家計を支える恐妻のチカ役に水川あさみが演じた。そして、二人の愛娘役に新津ちせが扮し、そのイノセントな佇まいが強烈な夫婦関係の間に立つことで、大きなおかしみを生み出している。 |
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![]() 東京国際映画祭でいち早く本作を観ていたという森は、「傑作ですよね」とまず切り出す。そして、「脚本賞はもちろんなんですけど、水川あさみさんが主演女優賞を獲るのではないかと思っていました。それにしても、脚本家としてだけでなく、演出家としても素晴らしい才能をお持ちですよね」と語り、「なぜ40歳近くまで土の中にもぐっていたのか……」と、足立監督の才能を称賛しつつ笑いを誘っている。だがその頃の体験を、作品として昇華させたのが小説『乳房に蚊』(後に『喜劇 愛妻物語』に改題)。この作品が出版された当時、足立監督は手紙とともに森に贈ったらしい。番組内ではその手紙の内容も明かしている。 ![]() 2016年に刊行された原作だが、映画化に向かって動き出したのは、そのすぐ後だという。「2月に出て、知り合いのプロデューサーの方々にお送りしました。その中で、本作のプロデューサーである代情明彦さんが一週間後くらいに、『これ、映画化の話が決まってなければ、一緒にやりませんか?』と声をかけてくださいましたね」と、足立監督は企画の成り立ちを語る。「でも代情さんは、違う方を監督として起用しようとされていましたね(笑)」とも。 また森は、新藤兼人監督と足立監督との近しさを指摘。「新藤監督は脚本家として職人的に活躍されて、『愛妻物語』(1951)でデビューしました。あれも自伝的な内容ですよね。足立監督といろいろ似ている気がします」と述べている。実際、今作のタイトルについては、新藤監督の孫であり映画監督である新藤風監督をはじめとする親類縁者の方々から許可を得たようだ。 本作で恐妻を演じた水川は、役に寄せるため増量して撮影に臨んだようだ。「初めてお会いしてから撮影に入るまで4ヶ月ほどあったのですが、本読み時に久々にお会いした際、『あ……デカッ……』と思いましたね。僕としてもそうあって欲しいと思っていたのですが、水川さんの方から『これって太った方が良いですよね!』と言ってくださいました」と足立監督は語っている。脚本上には、“広い背中”としか記されていなかったらしい。これに森は「そういうところに役者さんのすごさを感じますよね」と反応している。 |
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『喜劇 愛妻物語』
あらすじ |
監督:足立紳
出演:濱田岳、水川あさみ、新津ちせ、夏帆、ふせえり、光石研、大久保佳代子