映画『甲子園 フィールド・オブ・ドリームス』を監督した山崎エマが、“映画を語る”YouTubeチャンネル「活弁シネマ倶楽部」に出演した。新型コロナウイルスの影響により、今年は戦後初の“夏の甲子園中止”となった。第100回大会の甲子園に挑む高校野球の現場を長期取材し、8月21日に公開を迎えた本作について、監督自ら想いを語っている。 本作は、昨年末に行われたアメリカ最高峰のドキュメンタリー映画祭「DOC NYC」での、ワールドプレミアにて初お披露目を行い、その高い評判から、今年の6 月にアメリカ最大級のスポーツ専門チャンネル「ESPN」にて全米放送されるなどの評価を得て、万を持しての日本公開となった。 山崎監督は、撮影当初を振り返り、当時は映画になるのか、シリーズものになるのかが決まっていなかったため、300時間もの撮影を行ったものの、外には出していないものも多くあると話し、取材データの膨大さを明かした。 また、横浜隼人高校に取材に訪れた際には、訪問のことを知らないはずの野球部員全員が、一斉に挨拶をして迎えてくれたことについて回顧し、「リハーサルされていたかのような、そういう姿に圧倒されて、本当にザ・高校野球という感じがした」と、高校野球というものが、教育の最先端であることを改めて実感したエピソードを吐露。そして、そんな教育現場の邪魔をすまいと、「当たり前の存在になりたかったので、毎日毎日通い続けた」として、高校球児たちにとって、感情を露わにできないような環境になってはいけないと、自らの存在が当たり前になるほど、足繁く通ったという。 本作は「高校野球という日本独自の文化を海外に紹介したい」という監督と制作陣の想いから、日米国際共同制作となったが、米クルーとの撮影現場では、日本人にとっては当たり前のようなこともそうではないことに気付かされたとして、「ただ靴が並んでいるところやヘルメットが並んでいる映像や靴が並んでいるところは、わざと何度も出している。日本人にとって当たり前過ぎて目につかないところを、“当たり前じゃないですよ。こういう(高校野球の)教育から生まれてくるものですよ”というところを強調したかった。」と語っている。 「夏の甲子園中止」という日本高校野球界にとっては、悔しさで満ちた年になったが、だからこそ、高校野球の最前線を伝えた本作が日本や世界に伝えられるメッセージがあるのかもしれない。 |
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『甲子園 フィールド・オブ・ドリームス』
https://koshien-movie.com/ |
監督・編集:山崎エマ
出演:水谷哲也、佐々木洋 / 大谷翔平、菊池雄星
プロデューサー:エリック・ニアリ
エグゼクティブプロデューサー:伊藤雄介 常木佳子 安田慎
撮影監督:マイケル・クロメット
音楽:ジェイソン・カミングズ
国際共同制作:シネリック・クリエイティブ、NHK、NHKエンタープライズ
配給:シネリック・クリエイティブ
配給協力:日活
2020年/アメリカ・日本/94分/16:9カラー/5.1ch /ドキュメンタリー
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