映画情報どっとこむ ralph この度、映画を語るYouTubeチャンネル「活弁シネマ倶楽部」にて、『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』の監督・太田隆文が出演しました。

日本唯一の地上戦が行われた沖縄戦。戦後75年の今、その当時を知る体験者、専門家の証言を中心に、米軍が撮影した記録フィルムを交え、上陸作戦から戦闘終了までを描く、公開中の『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』。

監督の太田隆文が制作時に心がけたことや沖縄での取材をしてわかったこと等について語られました。

映画情報どっとこむ ralph 「僕は元々劇映画の監督ですから、お客さんを退屈させるということは大嫌いなタイプ。歴史を伝えながら、退屈せずに面白く勉強になるように作っています」と言う監督は、「多くの日本人が沖縄戦について知らないので、その視点でスタートして、一般の人にわかりやすいように作った」と話した。

3年間で8回沖縄に取材に行ったそう。「1番最初は体験者にお話を聞いていった。でも、戦争を知るには、客観的な視点も欲しいと思い、学者さんや研究者などの専門家にも話を聞いた。裁判だと、事件の全貌を解明するのに、被害者の声を聞いただけではダメで、犯人の声も聞かなくてはいけなく、鑑識など研究者などに聞く必要もある。沖縄戦も専門家、そして米軍が戦場で撮ったフィルム、現代の沖縄と色々な視点を取材した」そうで、「新聞記者の方が集団自決や対馬丸事件について報道をする時に、コメントをもらう時の第一線の方のリストがあるけれど、最終的に、そのトップの方々に証言をしていただいた」とのこと。

「沖縄では沖縄戦に対する教育はしっかりされていると思っていたけれど、聞いてみると、そうではなかった」と言う監督。「集団自決があった歴史的なチビチリガマで、3年前、地元の子供達が肝試しをして中を荒らした。どうして沖縄の子がそんなことをしてしまうのかと思って、関係者の方に『許せないですよね?』と言うと、『若い子たちは知らないんです。その子たちもそんなに重要な場所だと知らずに、肝試しと思って行っている』と言っていた。若い人にとっては、生まれた時から基地があるから、基地があるのが当たり前ということも改めて知った」と話す。

「現実の悲しさは、机の上で作家が考えるどころではない」とのことで、沖縄戦における集団自決について伺い、あまりに圧倒的で、インタビュアーなのに、質問できなくなったそう。「なんで子供に自分に手をかけたのか?」と聞いても、「あんたにはわからんよ。軍国教育がそういう風に追い詰めていったんです。」と言われたと言う。教育でどれだけやりこめられていくかの1番悲惨な例だと言う。先生たちには、「『集団自決』という言葉だと、自分たちで進んで死んだように思われてしまう。軍による『集団強制死』なんだ」と言われたそう。「確かに、軍がいない島では集団自決は起こっていない。住民を守るためではなく、国が勝つため、軍を守るためだった」と言う。

「米軍は、映画と一緒でメイキング班とスチール班がいる。研究をし、より経済的な戦争をするための資料にする。日本で戦争と言うと、国の存亡をかけた戦いという印象だけれど、アメリカにとってはビジネスという印象を受けた」と言う。1983年に、大田昌秀元県知事が市民から寄付を集めて、映像の権利を買って保存することで、沖縄戦を伝えていこうという”1フィート運動”を始めた。「20時間以上の貴重な米軍のフィルムを購入して、公文書館というところに保存してあり、見ることができる。マスコミや映画、テレビの関係者が申請すれば、無料で貸し出してくれる。そのおかげで、今回たくさん使えた。取材よりも資料を探す方が大変だった」とのこと。

『ゴジラ』主演の世界的な俳優である宝田明さんにナレーションを頼んだ理由を聞かれた監督は、「体験者の言葉があっても、きれいに上手に読むというナレーションじゃダメだと思った」とのことで、太田監督の『明日にかける橋』でも戦中時代を語る役で出演し、子供の頃に満州から引き上げてきて、自分の余生は戦争を伝えることに費やしたいとおっしゃっている宝田さんにお願いしたとキャスティング理由を説明した。

沖縄での試写では、1000人の方がご覧になり、「3回とも拍手をいただいた」とのこと。「この映画を作って下ってありがとうございます。沖縄のことって本土に伝わらないんです。」と言われ、「日本の盾になって戦って大変な思いをしたのに、本土の人たちが知らないという悔しさと憤りがあるから、伝えることができるという嬉しさで『ありがとうございます』と言ってくださったのではないか。完成して終わりでなく、全国に届けて初めて意味がある作品」と本作を見てもらう意義について力説した。

映画情報どっとこむ ralph 終戦記念日が近づき、上映館も増えている本作。
「活弁シネマ倶楽部」で裏話もチェックしてみては如何だろうか。

活弁シネマ倶楽部

公式HP:
https://katsuben-cinema.com/
公式ツイッター:
@katsuben_cinema 

映画情報どっとこむ ralph

『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』

新宿K’s cinemaほか全国順次公開中

公式サイト:
http://okinawasen.com/

公式Twitter:
@Okinawasen2020

日本軍の強制による集団自決が行われ、死に切れない子供を親が自ら手を下し殺すなど、「教育勅語」の教えの元戦われた沖縄戦とはどんなものだったかを、その当時を知る体験者、専門家の証言を中心に、米軍が撮影した記録フィルムを交え紹介したドキュメンタリーです。

日本、唯一の地上戦が行われた沖縄戦。それを描いた映画やドラマは少ない。学校の授業でも駆け足で終わる。そのため多くの日本人は沖縄戦をほとんど知らない。

それは子供達には伝えられない凄惨と絶望。そして禁断の背景があるではないか? 当時、負け続けていた日本軍は本土決戦準備の時間稼ぎのため、沖縄を捨て石にした。十分な兵力と武器も送らず、米軍50万8千人に対して、日本軍は11万6400人。「1人が5人殺せば勝てる!」と精神論で戦わせた。さらに足りない兵を補充するため、沖縄県民の14歳から70歳まで、徴兵されていない女性、子供、老人をも徴用。戦闘協力を強制。結果、全戦没者20万656人の内、沖縄県出身者12万2282人。当時の人口で言えば3人に1人が死んだことになる。さらには、軍の強制による集団自決が行われた。死に切れない子供を親が自ら手を下し殺す。そんな地獄絵が展開。

その当時を知る体験者、専門家の証言を中心に、米軍が撮影した記録フィルムを交え紹介。上陸作戦から、戦闘終了までを描く。

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ナレーション:宝田 明  斉藤とも子
出演:上江洲安昌 知花治雄 上原美智子 照屋 勉 長浜ヨシ 川満 彰 比嘉キヨ 佐喜眞道夫
真栄田悦子 座間味昌茂 松田敬子 島袋安子 山内フジ 瑞慶覧長方 平良啓子 吉浜 忍
平良次子 吉川嘉勝 知花昌一、他
声の出演:挧野幸知 嵯峨崇司 水津亜子

監督: 太田隆文 撮影:三本木久城 吉田良介 
音楽:サウンドキッズ 題字:大石千世
制作:青空映画舎 配給・宣伝:渋谷プロダクション 
製作:浄土真宗本願寺派(西本願寺)
© 浄土真宗本願寺派(西本願寺) 青空映画舎
2019/STEREO/JAPAN/DCP/105min

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