24カ国で翻訳され世界中で大ベストセラーとなったノンフィクションを原作にしたドキュメンタリー映画『いろとりどりの親子』が11月17日(土)、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開となります。
自閉症や、ダウン症、低身長症、LGBTなど、さまざまな“違い” をどう愛するかを学んでいく6組の親子の姿を映しながら、マイノリティとされる人々の尊厳と権利に光を当てた本作は、しあわせの形は無限に存在していることを、私たちに気づかせてくれます。 そしてこの度、本作の魅力のひとつである劇中音楽を手がけたアメリカで最も敬愛されるバンドのひとつ、ヨ・ラ・テンゴ。 本インタビューではアイラ・カプラン(Vo,G)、ジョージア・ハブレイ(Vo, D)、ジェームズ・マクニュー(Vo, B)の3人にサントラ制作の経緯や、監督との共同作業、映画のなかでの音楽の使われ方などについて語っていただきました。 今回、本作のサントラを手がけることになった経緯について、アイラ・カプラン(Vo,G)は「最初は、僕達の曲をいくつか使いたいという話だったんです。その時に〈できればサントラも〉という相談も受けていたけど、既にニコ・ミューリーがサントラを手掛けることが決まっていたから、どうなるかわからなくて。でも、プロジェクトが進むに連れて、次第に僕達のやりたいことが大きくなって、サントラを作ることになりました。」と振り返る。続けて「新作『There’s a Riot Going On』の制作には2年かかったけれど、サントラは2ヶ月で作り上げなくてはいけないのが大変でした。それで、過去の作品を制作した際に使わなかった曲の素材に手を加えたりして、それをサントラの出発点にしました。そして、ある程度、素材ができると、それを監督のレイチェルに聴いてもらって、サントラの方向性について話をしたんです。」と元々ある音源をベースにして制作したという。 レイチェル監督との共同作業について、ジョージア・ハブレイ(Vo, D)は「レイチェルはどんな曲が必要なのか、明確なヴィジョンを持っていました。〈ヨ・ラ・テンゴのあの曲みたいな感じで〉という風に具体的に指示してくれたので、作業はとてもスムースにいきました。」と振り返り、ジェームズ・マクニュー(Vo, B)は「彼女は僕達のことを理解してくれていたので、〈ちょっと変わったことをしてもいいんじゃないかな〉と思って楽しみながら曲を作ることができたんです。」とお互いに呼吸がぴったりであった共同制作について語った。 そのようにして仕上がったサントラは登場人物の内面を静かに伝えるような使われ方であることに対して、アイラは「レイチェルは映画のストーリーに自信を持っていたので、音楽を使って観客を泣かせたり、音楽で観客の感情を引き出す必要がなかった。だから、僕達はシーンに微妙なニュアンスを与える音楽を作ることで、映画に貢献することができたんです。」と制作について苦労はしなかったと振り返る。完成した映画について、ジョージアは「映画の登場人物が、みんな人間味に溢れていて魅力的でした。家族や配偶者の問題を、それぞれがどのように解決していくか。そのストーリーが明確に描かれていて、どのエピソードも興味深かったです。」とキャラクターやストーリーの魅力について話し、アイラは「登場人物はいろいろな問題を抱えて人生を歩んでいるけど、彼らはそれを受け入れている。彼らにとって、今の状態が正常だということを、この映画で知りました。例えば、常に怒りを爆発させている子供を、両親が治療しようとするエピソードがあったけど、その子は病気ではなかった。自分達と違っていても、〈そういう人間なんだ〉と受け入れることが大切なんじゃないかと思いました。」と“違い”を“個性”として受け入れることの寛容性について着目したうえで、最後には「すごく面白い物語で、伝え方が美しくて広がりがある映画です。僕達が楽しんだのと同じように楽しんで欲しいですね。」とこれから映画を鑑賞する日本のファンに向けて笑顔でメッセージを送った。ジョージアも「きっと、観た後に得るものは大きいと思います。」と続けてコメントし、インタビューを締めくくった。 さらにはメッセージ映像も到着しました!!
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『いろとりどりの親子』
11月17日(土)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 |
監督:レイチェル・ドレッツィン
原作:アンドリュー・ソロモン著「FAR FROM THE TREE Parents, Children and the Search for Identity」
音楽:ヨ・ラ・テンゴ、ニコ・ミューリー
(C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC