今春、米国ニューヨークの日米交流団体「ジャパン・ソサエティー」(JS)映画部では、JS創立110周年記念・特別企画の一環として、日本映画黄金期を駆け抜けた撮影監督、宮川一夫(1908年~1999年)の生誕110周年を記念した『宮川一夫:日本の偉大な撮影監督』シリーズを開催。 本シリーズは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)との共催となり、上映作品本数は、両館で計25本、シリーズ開催直前にFilm Forumで上映される2本を合わせると27本となり、日本映画の黄金期を君臨した宮川撮監が撮影した数々の名作がニューヨーク3館で一挙に回顧上映されます。 4月13日のJSでのオープニング上映作品には、宮川撮監が小津安二郎監督と組んだ唯一の作品『浮草』(1959年)の新4Kリマスター版を上映します。上映会では宮川撮監の長男・宮川一郎氏と長年に渡り宮川撮監の撮影助手を務めた宮島正弘氏が冒頭の舞台挨拶で登壇予定、上映会後にはオープニング・レセプションを開催します。 4月14日の特別トーク「撮影監督・宮川一夫」では、宮川一郎氏と宮島正弘氏が登壇し、撮影監督・宮川一夫の人生とその仕事風景について語っていただきます。また、1943年版『無法松の一生』、『ある殺し屋』(1967年)、『鬼の棲む館』(1969年)、『刺青』(1966年)等を含めた近年劇場ではあまり観ることができない傑作の35ミリ版や日本映画を代表する作品、『羅生門』(1950年)、市川崑監督の『東京オリンピック』(1965年)の4Kリマスター版等を含めた豪華なラインナップとなっています。 本シリーズのニューヨーク近代美術館での上映会は、4月12日に新4Kリマスター版『浮草』の世界初上映ではじまり、『越前竹人形』(1963年)、『手をつなぐ子等』(1948年)、『炎上』(1958年)などやJSでも上映する作品に加えて、4月29日まで追加で12作品を紹介します。 本シリーズ開催前の4月6日~12日にはFilm Forumで溝口健二監督の傑作『山椒大夫』(1954年)と『近松物語』(1954年)の新4Kリマスター版が上映され、JSのマンスリー・クラシック上映会では、3月2日に上映した『用心棒』(1961年)に続き、4月6日には溝口健二監督の『雨月物語』(1953年)の新4Kリマスター版を上映します。 |
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JS映画部シニア・フィルム・プログラマーの増渕愛子さんは、本シリーズについて次のように述べています。
増渕さん:1981年にニューヨークでジャパン・ソサエティーが宮川一夫氏をゲストに迎えて25作品を紹介する回顧シリーズを行った以来の宮川氏の素晴らしい仕事に焦点を当てた大規模な特別シリーズ上映会となります。宮川一夫生誕110周年とジャパン・ソサエティーの創立110周年を機に、MoMAとFilm Forumと連携してこの偉大な撮影監督を称える包括的な回顧シリーズを開催出来ることに大変喜びを感じています。撮影した作品は、日本映画史の中で最も観られていてながらも滅多に語られることがない撮影監督、宮川一夫を新しい世代のニューヨーカーたちに紹介する良い機会となるでしょう。 ニューヨーク近代美術館・映画部キュレーターのジョシュア・シーガル氏は ジョシュア・シーガルさん:宮川一夫氏は市川崑監督の『おとうと』(1960)の撮影で、「銀残し」という現像手法の考案者として知られています。この手法により彩度と色調のコントロールをより得ることが出来ました。それから半世紀以上経っても、この様な技術や芸術的革新は、ヴィットリオ・ストラーロや本年度の第90回アカデミー賞撮影賞を獲得したロジャー・ディーキンスを含めて幅広い層の撮影監督に影響を与えています。これらの撮影監督は、銀残し手法を使用し、カラー映像に銀色の光沢を残したり、外の撮影で鏡を使い日光と影のまだらな効果を出したりなど宮川考案の技法を用いています。 と、述べています。 |
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スケジュール一覧
3月2日 金曜日 4月6日 金曜日 4月6日 金曜日~4月12日 木曜日 ※1日に数回上映 4月12日 木曜日 4月13日 金曜日 4月14日 土曜日 4月15日 日曜日 4月16日 月曜日 4月17日 火曜日 4月18日 水曜日 4月19日 木曜日 4月20日 金曜日 4月21日 土曜日 4月22日 日曜日 4月23日 月曜日 4月24日 火曜日 4月25日 水曜日 4月26日 木曜日 4月27日 金曜日 4月28日 土曜日 4月29日 日曜日 |