宇宙(そら)と自然が好きな方へ。 10月10日(土)より岩波ホールほかにて公開の宇宙や大自然などを捉えた驚異の映像美とともに、チリが辿ってきた苦難の歴史を描いたドキュメンタリー 映画『光のノスタルジア』『真珠のボタン』を谷川俊太郎、吉本ばなな、菊池成孔、今日マチコ、石内都、森山開次ら、各界の著明人が大絶賛!! 谷川俊太郎さんからは「一人でも多くの、特に若い人たちに観てもらいたい美しい映画です」と本作への応援メッセージもいただきました。また画家のヒグチユウコさんからはコメントとともに描き下ろしイラストも到着。 各著名人のコメントが記載されているチラシは9月30日(水)より岩波ホール他、都内映画館などで配布開始。また併せてポスターとコメントチラシ共通の新ビジュアルも解禁となりました。 |
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谷川俊太郎(詩人)
宇宙が見せる遠い過去と、時代が隠す近い過去の接点としてのこの現在、自然の美しさとともに人間の恐ろしさを、グスマンは詩人の眼で明らかにする。 吉本ばなな(作家) 畠山直哉(写真家) 菊地成孔(音楽家/文筆家) さらに、多くの著名人がコメントをしています。 大谷能生(音楽・批評),野谷文昭(東京大学名誉教授・ラテンアメリカ文学翻訳家),森山開次(ダンサー・振付家),今日マチ子(漫画家), もっと読んでいただける方は続きを /td> | |
大谷能生(音楽・批評) 一〇〇億光年離れた星の映像は、ロングショットなのかクロース・アップなのか? 四〇〇〇キロの海岸線に打ち付ける海の飛沫はパンで捉えられる? 四〇年前に行方がわからなくなった愛する人を探すには、何にマイクを向ければいい? ショットごとにカメラの位置を探りながら、遠さと近さ、過去と現在の切り返しが繰り返される、素晴らしいドキュメンタリーでした。 『光のノスタルジア』『真珠のボタン』 野谷文昭(東京大学名誉教授・ラテンアメリカ文学翻訳家) 自然と呼ばれる前の自然をどう呼べばいいのか。それが資源となったとき欲望が肥大し、争いや収奪が起こる。水と共生する先住民の驚異的な知恵に学ぼうとせず、自分たちの論理を独善的に持ち込み、振り回し、利害を生み、災厄を招く愚かさを、小さなボタンが静かに語っている。 宇宙の光を覗く者たちの熱い視線。遺族の骨を探し、大地を見続ける者の悲しみの視線。様々な人々のそれぞれの眼差しが心に残る。カメラを向け続けるパトリシオ・グスマン監督も、それぞれの人物の瞳に美しい光を見たに違いない。素晴らしい、偉大な監督に感嘆した。この映画に感謝したい。 森山開次(ダンサー・振付家) 今日マチ子(漫画家) チリに存在した海洋民族のことを、多くの人はこの映画によって初めて知ることになるだろう。水滴と海、宇宙と人間……視点の拡大と縮小を繰り返した先に見えるのは、歴史の外に放り出された真実の欠片だ。わたしたちは、それをひろって光に透かす。 チリの最南部、パタゴニアは水に溢れ、海の底から昔投棄された真珠のボタンがもたらされる。そのボタンには、19世紀末の入植者による先住民の虐殺物語やピノチェット時代に海に投げ捨てられた「政治犯」たちの悲痛な声が刻印されている。失われた人々の無念の思いが、繰り返す波音とともにいつまでも心に響く。 港千尋(写真家・映像人類学者) 地球全体を細長く凝縮したようなチリという国の、その最南端には不思議な透明感をもつ水が広がる。多種多様な生物が見事な生態系を作るその水底に、かつて独裁政権によって殺された人々の痕跡が眠っている。そのかすかな徴から忘れられた人間たちの身体を取り戻そうとする。まるで水のシャツにボタンを付けるような作業の先に、やがて見えてくるのは、生きられなかった人々のための、愛の衣。記憶の水が、わたしたちの心に流れ込む。 水は記憶している。祖国と自由を奪われたパタゴニアの先住民たちの歴史を。そして独裁政権下の恐怖政治による血塗られた過去を。無数の記憶を守りながら南米の海は漫々と時と宇宙を湛えている。海底に眠るあるレールに付着していた、小さなボタン一つにも魂はあるのだと知った。沈黙の中に雄弁に物語る何かを感じて欲しい。 小林エリカ(作家・マンガ家) 池辺葵(漫画家) ヒグチユウコ(画家) |
『光のノスタルジア』 作品紹介
宇宙の壮大さに比べたら、チリの人々が抱える問題はちっぽけに見えるだろう。でも、テーブルの上に並べれば銀河と同じくらい大きい」P.グスマン
チリ・アタカマ砂漠。標高が高く空気も乾燥しているため天文観測拠点として世界中から天文学者たちが集まる一方、独裁政権下で政治犯として捕らわれた人々の遺体が埋まっている場所でもある。生命の起源を求めて天文学者たちが遠い銀河を探索するかたわらで、行方不明になった肉親の遺骨を捜して、砂漠を掘り返す女性たち……永遠とも思われる天文学の時間と、独裁政権下で愛する者を失った遺族たちの止まってしまった時間。天の時間と地の時間が交差する。
2011年山形国際ドキュメンタリー映画祭 「山形市長賞(最優秀賞)」受賞作品
監督・脚本:パトリシオ・グスマン
プロデューサー:レナート・サッチス
撮影:カテル・ジアン
天文写真:ステファン・カイザード
製作:アタカマ・プロダクションズ
(2010年/フランス、ドイツ、チリ/1:1.85/90分)
(c) Atacama Productions (Francia) Blinker Filmproducktion y WDR (Alemania), Cronomedia (Chile) 2010
『真珠のボタン』
水には記憶があるという。ならば、私たちは失われた者の声を聞くことができるのだろうか。さまよえる魂たちも、安らげるのだろうか。
全長4300キロ以上に及ぶチリの長い海岸線。その海の起源はビッグバンのはるか昔まで遡る。そして海は人類の歴史をも記憶している。チリ、西パタゴニアの海底でボタンが発見された。--そのボタンは政治犯として殺された人々や、祖国と自由を奪われたパタゴニアの先住民の声を我々に伝える。火山や山脈、氷河など、チリの超自然的ともいえる絶景の中で流されてきた多くの血、その歴史を、海の底のボタンがつまびらかにしていく。
2015年ベルリン国際映画祭銀熊賞脚本賞受賞
2015年山形国際ドキュメンタリー映画際インターナショナル・コンペティション部門出品
2015年10月10日(土)より、岩波ホールほか全国順次公開
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監督・脚本:パトリシオ・グスマン
プロデューサー:レナート・サッチス
撮影:カテル・ジアン
編集:エマニエル・ジョリー
写真:パズ・エラスリス、マルティン・グシンデ
製作:アタカマ・プロダクションズ
(2014年/フランス、チリ、スペイン/1:1.85/82分)
(c) Atacama Productions, Valdivia Film, Mediapro, France 3 Cinema – 2015