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公開記念舞台挨拶

青春映画の金字塔『ソラニン』を世に放った漫画家・浅野いにおの衝撃作を、デビュー作『無能の人』から10本目の監督作となる竹中直人が映画化した『零落』が、3月17日に公開を迎え、翌日18日、公開記念舞台挨拶が池袋HUMAXシネマズにて行われた。舞台上には竹中監督をはじめ、主人公の漫画家・深澤薫を演じた斎藤工、深澤の妻・町田のぞみを演じるとともに本作のプロデューサーも務めたMEGUMIと、本作の音楽と主題歌「ドレミ」を手掛け、ライター役で出演もしているドレスコーズ・志磨遼平が登壇しました。
『零落』公開記念舞台挨拶

『零落』公開記念舞台挨拶

日付:3月18日(土)
会場:池袋HUMAXシネマズ
登壇:斎藤工、MEGUMI、ドレスコーズ・志磨遼平(音楽)、竹中直人(監督)
MC:堀井美香(アナウンサー)

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キャスト&監督登壇

温かな拍手のなかの登壇。
まずは主演を務め、漫画家の“極限の業”を演じた斎藤が、「原作に出会った時に、本当に事故のように衝撃が走って、自分のことを言っているというか。自分の現在地というか、心のアウトラインみたいなものが映って描かれてしまっている気がしたんです」と告白し、続けて「撮影の期間は、普段は人に見せないような心情で竹中組の中を漂っていたので、何か皆さんの心に、どこかグサリと刺すような何かが宿っていたら、皆さんに訪れていたらいいなと願うばかりです」と述べた。

そして以前より「大人の青春期にまっすぐ向き合った作品」とコメントしていたMEGUMIは「男性というのはそこ(自分の弱さ、傷に向き合うこと)にすごくフォーカスをして、そこの時間にたっぷりいるんだなというのを普段の生活からも思ってはいたんですけど。この作品でやっぱりそうなんだなとめちゃくちゃ感じました」と感想を漏らしながら、「竹中監督と飲んだ際、【レジェンドの迸るエネルギー】に感動して酔った勢いで「私がお金を集めます!」と口走ったのがきっかけでした」と今作での映画初プロデュースに臨んだきっかけを明かし、「無我夢中でついていくような勢いで、勉強させていただきました」と述懐。
『零落』公開記念舞台挨拶
すると斎藤からは「現場ではいつも竹中監督のそばにMEGUMIさんの姿があって。ちょうど役(深澤の妻・のぞみ)でピンク色の髪をされていたので桃色の守護天使のようだった」、竹中監督は「いつも僕の好きなお菓子を差し入れてくれて」と撮影現場での様子が明かされ、MEGUMIは「現場では毎日何かしら小さな問題が起きるので解決しながら進んでいく感じでした」と当時を振り返った。

以前より、映画製作現場における女性の立場向上についても高い関心を寄せている斎藤も、「MEGUMIさんはプロデューサー業も本当に素晴らしくて感動しました。その後も正式にプロデューサーとしても所属されていて、女性としてのMEGUMIさんがそういったことを先立って先頭に立ってやってくださることで、この業界がより良い方向へ進化していくんじゃないかとその背中を見ておりました」と力のこもった言葉を送った。
『零落』公開記念舞台挨拶
また竹中監督は本作を「これは浅野いにおというひとりの作家、たったひとりの観客のために作った映画です。その作品の共犯者として、みんなのタイミングが合ってこの作品が撮れたと深く思います。趣里さんにしても、玉城ティナさんにしても、みんながこの映画に必要な人たちでした。斎藤工は斎藤工にしかできない深澤薫を作った。その妻を演じたMEGUMIはいつも僕を見守り、非常に難しいキャラクターを演じてくれた。浅野いにおさんに向けた、僕のラブレターです」と語った。

そして「ドレスコーズの志磨くんが、最高のエンディング曲を作ってくれた」と、それだけでひとつの映画のような世界観のあるMVも印象的な主題歌「ドレミ」についても話題が及び、本作への書下ろしとなった「ドレミ」には、竹中監督からあるリクエストがあったと志磨が明かした。「観客のみなさんが作品を観たままの感情を持って家に帰ってもらえるための曲が必要かなと思いました。それと、竹中さんからビートルズの『 Don’t Let Me Down 』みたいなイメージはどうかなというお話があって。たぶん深澤は自分にがっかりしている人なので。そこから歌詞を考えたのと、あとタイトルはひっかけて『ドレミ』ってやると竹中さんが笑うかなと思ってつけました」と誕生の裏エピソードを語った。『零落』公開記念舞台挨拶

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竹中監督の誕生祝い

続いて「ハッピーバースデートゥユー」の音楽が流れはじめ、3月20日に67歳の誕生日を迎える竹中監督へのバースデーサプライズが。
『零落』公開記念舞台挨拶
斎藤さんから竹中監督に、竹中監督の衣装にもぴったりな花束が贈られ、ふたりはがっちりと抱擁。竹中監督は、「自分が67歳になるなんて思ってもみなかった。素敵なメンバーに恵まれた。スタッフとキャストも含めて、この『零落』という作品に向き合えたことは一生忘れないでしょうね」「どんなにおじいちゃんになっても絶対忘れない。ありがとう、本当にありがとう」と、照れ隠しに声色を変えながらも、嬉しそうな笑顔を見せていた。
『零落』公開記念舞台挨拶

最後に・・・

斎藤が「志磨さんとお話したときに、僕らは“みっともない代”をもらっているとおっしゃって。人に見せないようなものを、そのみっともなさを歌う、表現することでご飯を食べていると。それは本当に僕もそうだなと」と話し始めると、会場の観客も一層真剣に耳を傾け、「僕はこの作品は現代の『人間失格』だと思っていて、残っているものって、本質を突いた、ある種ネガティブなもので受け手とつながるようなプラトニックな装置が多いなと思って、この『零落』もそういった装置だと思います」と真摯に語った。

竹中監督は「この『零落』という本と、ふと立ち寄った本屋で出会い、この美しい漢字を見て、絶対に映画にしなきゃいけないと思ったんです。この漢字が、夜の歩道橋に筆文字で浮かび上がったら、どんなにキレイだろうと。それに向かって撮りました。そして直感的に浮かんだ俳優たちに集まってもらって、出来上がりました。みんなの声色が積み重なってひとつのハーモニーを作っている映画になりました。いろんなものを感じられる映画です。1回だけでやめないで、2回3回、4回と、繰り返し見て、そして耳を澄まして観てください」と言葉を送り、本編中でも流れるドレスコーズの楽曲「スーパー、スーパーサッド」が鳴り響くなか、大盛況で終了した。

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■原作情報

BIG COMICS SPECIAL
『零落』浅野いにお
全1巻発売中 小学館・刊

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公式HP:
@reiraku/
公式ツイッター:
@reirakumovie

公式Instagram:
@reirakumovie

STORY
8年間の連載が終了した漫画家・深澤薫は、自堕落で鬱屈した空虚な毎日を過ごしていた。SNSには読者からの辛辣な酷評、売れ線狙いの担当編集者とも考え方が食い違い、アシスタントからは身に覚えのないパワハラを指摘される。多忙な漫画編集者の妻ともすれ違い、離婚の危機。世知辛い世間の煩わしさから逃げるように漂流する深澤は、ある日“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆと出会う。堕落への片道切符を手にした深澤は、人生の岐路に立つ……。
零落

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斎藤工
趣里 MEGUMI
山下リオ 土佐和成 吉沢悠 菅原永二 黒田大輔 永積崇 
信江勇 佐々木史帆 しりあがり寿 大橋裕之 安井順平 志磨遼平 / 宮崎香蓮(崎はたつさき)
玉城ティナ / 安達祐実

原作:浅野いにお「零落」(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:竹中直人

脚本:倉持裕 音楽:志磨遼平(ドレスコーズ)主題歌:ドレスコーズ「ドレミ」(EVIL LINE RECORDS)
製作:鳥羽 乾二郎 小西啓介 沢辺伸政 エグゼクティブプロデューサー:福家康孝 栗原忠慶 プロデューサー:西村信次郎 横山一博 岡本順哉 MEGUMI ラインプロデューサー:深津智男 撮影:柳田裕男(J.S.C)照明:宮尾康史 美術:布部雅人 春日日向子 録音:北村峰晴 整音:杉山篤 音響効果:齋藤昌利 編集:古川達馬 VFX:小池立秋 スクリプター:山本明美 スタイリスト:荒川小百合 ヘアーメイク:南辻光宏 制作担当:桑原学 助監督:副島宏司 宣伝プロデューサー:伊藤敦子 製作幹事・配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:ジャンゴフィルム 宣伝協力:ミラクルヴォイス 製作:「零落」製作委員会(日活/ハピネットファントム・スタジオ/小学館) 128分/5.1ch /シネスマコープ/カラー/日本/2022年/PG12
(c)2023浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会 

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