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『三度目の、正直』公開記念イベント

この度、第34回東京国際映画祭コンペティション部門でも上映された野原位監督『三度目の、正直』が2022年1月22日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開となります。

その公開に先立ち、野原監督が脚本に参加した濱口竜介監督『ハッピーアワー』特別上映および、野原位監督の最新作となる短編『すずめの涙』の上映を含む野原×濱口トークから成る二部構成の記念イベントが行われました。
『三度目の、正直』公開記念トークイベント
『三度目の、正直』公開記念トークイベント
日時:2022年1月9日(日) 
会場:ユーロライブ
登壇:野原位、濱口竜介

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濱口竜介監督、野原位監督登壇

古くからの映画仲間として知り合いだった濱口監督と野原監督。
今回上映された『ハッピーアワー』(2015)では、「はたのこうぼう」という脚本ユニットを組み、初めて脚本の共同作業を行ったと話した。濱口監督は、その時の野原監督の印象を、「脚本家としての覚醒ぶりが凄まじかった。私が思いつかない飛躍的な発想を持っている」と野原監督の脚本家として資質に言及した。そして、具体的に劇中のどの部分が、野原さんの役割に負うところが多かったなどいくつかエピソードを披露した。

『ハッピーアワー』は、半年間のワークショップに加えて、撮影が8カ月、トータルでは2年間ほどかかって制作されたという。通常の商業映画ではありえない撮影方法だったが、傍でみていた野原監督は「映画が倒れるか、濱口監督が倒れるかくらいのとても大変な過程だった」と語り、濱口監督も「確かにあれが限界で本当に大変だったが、一方でこれ以上無いくらいの濃密な映画作りだったことも事実」と話した。そして「もう一度あんなことができるか、あの渦の中にもう一度飛び込めるだろうか、と思っていたところ、野原監督がまさにそんな思いをして取り上げたのが『三度目の、正直』だった」とその驚きを語った。続けて野原監督より『三度目の、正直』が、主演である川村りらさんとの共同脚本であること、撮影の途中にこれではよくならないと判断し、シナリオを新たに書き換えながら撮影していたことを明かした。「その結果、本来、脇役の一人で出演予定だった共同脚本の川村りらさんが主演を務めることになり、2人で撮影中も改稿を重ねていました。川村さんはもちろん、出演者のみなさまには大変な迷惑をかけたが、作品がよりよくなると信じて撮りあげました」とこれまた大変な撮影だったことを窺わせた。

続けて濱口監督に『三度目の、正直』の感想を問うと、「すごい映画でした。普通ならカメラの前でこんなこと起こらないということが、平然と映っている。そんな場面が随所にある。まだこの映画のすごさを十分に翻訳する言葉を我々は充分に持っていない気がする。ただ、これから20、30年後に「2022年に『三度目の、正直』という映画があった」と語られる作品であることは間違いない」と絶賛した。

続けて、『ハッピーアワー』から『三度目の、正直』にも主演した川村りらさんについて問われると「スクリーンに映る川村さんは「世界と対峙する」という姿勢を感じる。まるで世界と戦う覚悟ができているとでもいうような。うまく伝わっているか分かりませんが(笑)」と俳優としての川村さんの存在感を評価した。
その後の質疑応答では、会場の観客から熱心な質問が多く寄せられ、盛り上がりのうちにトークショーは終了。最後は、会場にいた主演の川村りらさんも壇上に上がり写真撮影で幕を閉じました。

『三度目の、正直』について最後に

濱口:『ハッピーアワー』を観て、いいじゃない、と思った方たちに全く違うものを観て、おののいて欲しいと思っています。同じものを期待して観ても、結局は全く違うものを見ることになるわけですが、まっさらな気持ちで受け止めてもらえるとこの映画のすごさが分かるのではないか。ぜひこの映画を体感してほしい。分からなかったら二度、三度と見てほしい。その価値がある映画だと思います。

野原:濱口さんとは17,8年の付き合いですが、映画を作る基準として、濱口さんに見てもらうという意識がある。濱口さんが嫉妬するような映画が作りたいと思っている。少なからず、濱口さんを嫉妬させることができて、ひとつの目標達成となり、作ったかいがありました。その先の多くの観客に届いたらと思います。

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『三度目の、正直』

2022年1月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

子供、家族、愛情-わたしが本当に求めているものは?
当たり前の日常を生きるすべての人々に贈る人生賛歌
月島春は、パートナー宗一朗の連れ子・蘭がカナダに留学し、言い知れぬ寂しさを抱えていた。そんな時、
公園で記憶を失くした青年(川村知)と出会う。過去に流産も経験している春(川村りら)は、その青年を
神からの贈り物と信じ、今度こそ彼を自らの傍で育てたいと願う。一方、春の弟・毅(小林勝行)は音楽活
動を続けている。その妻・美香子(出村弘美)は精神の不調を抱え、心療内科医である宗一朗の診察を
受けながら、4歳の子を育て、毅の創作を献身的に支えていた。すれ違う優しさとわだかまる不安…。それぞ
れに「家族」のかたちを求めて生きる彼らだったが、正常と狂気の境目がいつしか緩やかに崩れ始める。
『三度目の、正直』

今回イベント上映短編『すずめの涙』

(18分)
ストーリー:父を亡くした教子(のりこ)の元に、ある男性・斎寺(さいでら)が訪れる。
斎寺は教子の父とは旧知の仲で、線香をあげたいと話す。見るからに怪しい斎寺。
教子は仕方なく彼を家にあげるが、その振る舞いの端々に違和感を感じ始める…。
人生の一コマを切り取った人情喜劇。

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出演:川村 りら 小林 勝行 出村 弘美 川村 知 田辺 泰信 謝花 喜天 福永 祥子 影吉 紗都 三浦 博之
監督・編集:野原 位 脚本:野原 位 川村 りら 撮影監督:北川 喜雄 飯岡 幸子 照明:秋山 恵二郎 鈴木 涼太 蟻正 恭子 三浦博之 録音:松野 泉 助監督:鳥井 雄人 音楽:佐藤 康郎 カラリスト:小林 亮太 制作:三宅 陽子
エグゼクティブ・プロデューサー:原田 将 徳山 勝巳 プロデューサー:高田 聡
製作:NEOPA.Inc 
配給・宣伝:ブライトホース・フィルム
URL:sandome.brighthorse-film.com 
©2021 NEOPA Inc. 
2021 年 /112 分 /ビスタ /カラー /5.1ch
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