中村獅童登壇「キアロスタミ監督の作品に出会えたのは、役者人生において大きいこと」 イラン映画の巨匠アッバス・キアロスタミ監督による初期7作品のデジタル・リマスター版特集上映『そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映』が、2021年10月16日(土)よりユーロスペースほか全国順次開催する運びとなり、初日舞台挨拶が開催されました。 |
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キアロスタミ監督ファンを代表して中村獅童さんが、「キアロスタミ監督の作品がデジタル・リマスター版として蘇ることに、ワクワクしています。こんなに大勢の観客の方がいらしているとは、人気の高さを感じますね!」と挨拶をすると、満席の会場からは大きな拍手がわき起こった。90年代、ミニシアター通いをしていた中村さんにとってユーロスペースは、「ユーロスペースに行けばいつもいい映画がかかっている」場所で、「キアロスタミ監督作品をはじめて観た、思い出の映画館」だった。「ここに来ると20代の頃の、映画に憧れていた気持ちを思い出す。映画館に実際に足を運ぶということが、“自分の人生の思い出”を作ってくれる」と、映画館への熱い思いを語った。 キアロスタミ監督の作品を観たとき、「衝撃的だった。自然な少年の姿に、演技では出せないその味」に役者として、衝撃を受けたという。「歌舞伎は型があって、その中に自分の気持ち、魂をこめていく。キアロスタミ監督の作品にある自然な演技から、衝撃を受けるとともに、学ぶところが多くあった」と語った。特に『友だちのうちはどこ?』の主人公・アハマッドは、キアロスタミ監督に見いだされた素人の少年で、その演技について「一期一会の芝居をしている」と絶賛した。「主人公のアハマッドや、学芸会に出る子供たちに共通するのは、純粋に芝居を楽しんでいること。そういう純粋に役を楽しむ気持ちが、観客に伝わる。自然に演技する難しさ。素人の役者にはかなわない」と、キアロスタミ監督の演出に舌を巻いた。「純粋に演技をする気持ちを忘れてはいけないと、キアロスタミ監督の作品は思い出させてくれる」と、キアロスタミ監督の作品が自分の演技に与えた影響について語った。 『友だちのうちはどこ?』は世界中の子供から大人まで愛される名作だが、陽喜くん、夏幹くんとも一緒に観る予定は?と聞かれた中村さんは、「自分が新作歌舞伎を作る時も、子供から大人まで楽しめるように作ることを意識している。特に子供に楽しんでほしいと思っている。キアロスタミ監督の作品も是非、皆さんも子供も一緒に楽しんでほしい」と語った。 |
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『そしてキアロスタミはつづく デジタル・リマスター版特集上映』
『友だちのうちはどこ?』にはじまるジグザグ道三部作や、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『桜桃の味』などで知られるイランを代表する巨匠アッバス・キアロスタミ監督(Abbas Kiarostami、1940年6月22日-2016年7月4日)。 その後、没後5周年となる2021年5月に同展が開催されたのを受け、世界的にキアロスタミ監督の再評価が高まるなか、日本でも満を持してデジタル・リマスター版が劇場初公開される。 今回の7作品はパリのmk2、ニューヨークのクライテリオンコレクション、ボローニャのラボ、リマジネ・リトロヴァータが2年をかけて修復した4Kまたは2Kリマスター版となる。 上映作品『トラベラー』(1974)、『友だちのうちはどこ?』(1987) 、『ホームワーク』(1989)、『そして人生はつづく』(1992) 、『オリーブの林をぬけて』(1994) 、『桜桃の味』(1997) 、『風が吹くまま』(1999) |