岩手県大槌町にある天国につながるといわれる「風の電話」。 2011年に同町在住のガーデンデザイナー・佐々木格(いたる)さんが、死別した従兄弟ともう一度話したいという思いから、自宅の庭に白い電話ボックスに、ラインのつながっていない黒電話を設置。今では、3万人を超える人が訪れ、あとを絶たない。
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主演のモトーラ世理奈さんと諏訪監督は大槌町には訪れるのは今年5月の撮影以来、約半年ぶり。
初めの挨拶では電話の設置者である佐々木さんが 佐々木さん:<風の電話>を設置して8年目になるが、まだ訪れていない方も、この映画をきっかけに、悲しみを分かち合うこと、支え合うという気持ちについて考えてもらえたら嬉しいです。 諏訪監督:大槌の方々に見てもらえて、やっとこの映画が完成したなと思えます。僕たち監督、役者の仕事は半分で、観客のみなさんに見てもらってはじめて映画は完成します。 モトーラさん:ハルのおかげでまた大槌町に戻ってこれた」と感謝を述べた。 |
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本編を観ての感想を問われ
佐々木さん:この映画は見るだけの映画ではなく、心で感じる映画。感性や想像力を刺激し、本質を見抜く力のある映画になっている。画面越しで理解したつもりになる現代への問題提起、挑戦的な意欲作ですね。宮沢賢治や石川啄木を生んだ岩手県の土地柄、隣人へのやさしさが描かれています。 と作品を賞賛。 それに対し、 諏訪監督:2時間半ハルと旅することで、自分は決してひとりだと思わせない映画にしたかった。ハルが出会う公平(三浦友和)や森尾(西島秀俊)ら周囲の大人はみなやさしく、彼女に何も聞かずに「食え」とだけ言う。生きているんだから食べなさい。そういった人間のやさしさに溢れている映画になったと思う。いま、岩手だけでなく日本中が傷ついているけど、日本人はこの傷ついた少女を見守ってくれるし、寄り添ってくれるというテーマをずっと持っていた。 と製作の裏話を明かした。 また実際の<風の電話>という場所に対して、 諏訪監督:Googlemapを使っても、簡単にたどり着けない場所だからこそ、旅を通してハルの再生を描きたかった。熊野古道のように昔から旅には再生という意味も含まれる。実際の<風の電話>は、孤独ではないと感じることができる場所。だから順番に撮影し、最後にここを訪れた。 とも明かした。 佐々木さん:映画化の声は今まで何度かあったけど、こうして実現したのは監督をはじめ製作陣が<風の電話>をよく理解してくれたから。この電話の意味や役割をしっかり描いてくれたことがとても嬉しい。 と語り、これまで提案のあった企画の中にはドイツの映画監督ヴェルナー・ヘルツォークがいたことなどを明かした。 実際に<風の電話>に訪れての演技のことを聞かれ と話し、電話で話しかけるシーンでは モトーラさん:ほんとうは電話を切りたくなかった。 と撮影を振り返った。 諏訪監督:モトーラさん自身があの場所に言葉を託したのが素晴らしかった。ハルは8年経ってようやく言葉にすることができたし、あらかじめ決められたセリフではないからこそ、あの瞬間に本当の意味で<風の電話>に訪れたんだと思えました。 とモトーラの演技を絶賛した。 観客から「物語に、“被災地だから”といった配慮や気遣いのような(余計な)遠慮がなくてよかった。すばらしい映画でした。」といった声や、「震災があって地元大槌町を離れたけど、この映画をきっかけにこうして帰ってくることができました。そして映画を見ていて主人公ハルのように自分もひとりぼっちじゃないんだと思うことができました。」と言った感想の声が聞けた。 |
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「風の電話」
公式HP:
東日本大震災で家族を失った主人公のハル(モトーラ世理奈)が、故郷の岩手県大槌町に行くために広島から旅を通じて、<風の電話>にたどり着く、感動のロードムービーが誕生いたしました。
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監督:諏訪敦彦
出演:モトーラ世理奈 西島秀俊 西田敏行(特別出演) 三浦友和
配給:ブロードメディア・スタジオ
© 2020映画「風の電話」製作委員会