映画情報どっとこむ ralph 岩手県大槌町にある天国につながるといわれる「風の電話」。
2011年に同町在住のガーデンデザイナー・佐々木格(いたる)さんが、死別した従兄弟ともう一度話したいという思いから、自宅の庭に白い電話ボックスに、ラインのつながっていない黒電話を設置。今では、3万人を超える人が訪れ、あとを絶たない。


この風の電話をモチーフに、『2/デュオ』(98)で長編監督デビュー以来、『M/OTHER』(99)を始め、『ライオンは今夜死ぬ』(17)など日本だけでなく、フランスをはじめヨーロッパで圧倒的な評価を受けている諏訪敦彦監督が、心に刻まれる珠玉の作品として作り上げた。2020年1月24日(金)より全国ロードショーいたします。

この度岩手県大槌町にある大槌文化交流センター<おしゃっち>にて初の本編上映と舞台挨拶が行われ、主演のモトーラ世理奈・諏訪敦彦監督・<風の電話>を設置したガーデンデザイナーの佐々木格が登壇。作品が撮影された岩手県大槌町にて上映された喜びを語りました。

日程:12月18日(水)
場所:大槌町文化交流センター〈おしゃっち〉多目的ホール 
登壇:諏訪敦彦監督、モトーラ世理奈(主演)、佐々木格(「風の電話」設置者・ガーデンデザイナー)

映画情報どっとこむ ralph 主演のモトーラ世理奈さんと諏訪監督は大槌町には訪れるのは今年5月の撮影以来、約半年ぶり。

初めの挨拶では電話の設置者である佐々木さんが

佐々木さん:<風の電話>を設置して8年目になるが、まだ訪れていない方も、この映画をきっかけに、悲しみを分かち合うこと、支え合うという気持ちについて考えてもらえたら嬉しいです。

と話し、監督の諏訪さんは

諏訪監督:大槌の方々に見てもらえて、やっとこの映画が完成したなと思えます。僕たち監督、役者の仕事は半分で、観客のみなさんに見てもらってはじめて映画は完成します。

と嬉しそうに語った。震災によって家族を失うという難しい役所を演じたモトーラさんも

モトーラさん:ハルのおかげでまた大槌町に戻ってこれた」と感謝を述べた。

映画情報どっとこむ ralph 本編を観ての感想を問われ

佐々木さん:この映画は見るだけの映画ではなく、心で感じる映画。感性や想像力を刺激し、本質を見抜く力のある映画になっている。画面越しで理解したつもりになる現代への問題提起、挑戦的な意欲作ですね。宮沢賢治や石川啄木を生んだ岩手県の土地柄、隣人へのやさしさが描かれています。

と作品を賞賛。

それに対し、

諏訪監督:2時間半ハルと旅することで、自分は決してひとりだと思わせない映画にしたかった。ハルが出会う公平(三浦友和)や森尾(西島秀俊)ら周囲の大人はみなやさしく、彼女に何も聞かずに「食え」とだけ言う。生きているんだから食べなさい。そういった人間のやさしさに溢れている映画になったと思う。いま、岩手だけでなく日本中が傷ついているけど、日本人はこの傷ついた少女を見守ってくれるし、寄り添ってくれるというテーマをずっと持っていた。

と製作の裏話を明かした。

また実際の<風の電話>という場所に対して、

諏訪監督:Googlemapを使っても、簡単にたどり着けない場所だからこそ、旅を通してハルの再生を描きたかった。熊野古道のように昔から旅には再生という意味も含まれる。実際の<風の電話>は、孤独ではないと感じることができる場所。だから順番に撮影し、最後にここを訪れた。

とも明かした。

佐々木さん:映画化の声は今まで何度かあったけど、こうして実現したのは監督をはじめ製作陣が<風の電話>をよく理解してくれたから。この電話の意味や役割をしっかり描いてくれたことがとても嬉しい。

と語り、これまで提案のあった企画の中にはドイツの映画監督ヴェルナー・ヘルツォークがいたことなどを明かした。

実際に<風の電話>に訪れての演技のことを聞かれ

モトーラさん:(ラストシーンの)10分間ノーカット、セリフは全部自分で考えた。旅の順番通り撮影していく中でずっと考えていたし、ホテルでひとり考えてもみたけどやっぱりわからないから、そこに訪れるまで言葉は決めなかった。

と話し、電話で話しかけるシーンでは

モトーラさん:ほんとうは電話を切りたくなかった。

と撮影を振り返った。

諏訪監督:モトーラさん自身があの場所に言葉を託したのが素晴らしかった。ハルは8年経ってようやく言葉にすることができたし、あらかじめ決められたセリフではないからこそ、あの瞬間に本当の意味で<風の電話>に訪れたんだと思えました。

とモトーラの演技を絶賛した。

観客から「物語に、“被災地だから”といった配慮や気遣いのような(余計な)遠慮がなくてよかった。すばらしい映画でした。」といった声や、「震災があって地元大槌町を離れたけど、この映画をきっかけにこうして帰ってくることができました。そして映画を見ていて主人公ハルのように自分もひとりぼっちじゃないんだと思うことができました。」と言った感想の声が聞けた。

映画情報どっとこむ ralph 「風の電話」

公式HP:
http://kazenodenwa.com/


本作の主人公ハル役に、2015年よりモデルとして活躍する他、『少女邂逅』(18)、『おいしい家族』『ブラック校則』(19)などで活躍が目覚ましい注目の女優、モトーラ世理奈。ハルと行動を共にする森尾役には、『2/デュオ』以来22年ぶりに諏訪監督とタッグを組む西島秀俊、旅の途中でハルと出会い彼女に影響を与える重要な人物たちに『M/OTHER』(99)以来21年ぶりのタッグとなる三浦友和、そして、西田敏行らが脇を固めます。

東日本大震災で家族を失った主人公のハル(モトーラ世理奈)が、故郷の岩手県大槌町に行くために広島から旅を通じて、<風の電話>にたどり着く、感動のロードムービーが誕生いたしました。


【ストーリー】
17歳の高校生ハル(モトーラ世理奈)は、東日本大震災で家族を失い、広島に住む伯母、広子(渡辺真起子)の家に身を寄せている。心に深い傷を抱えながらも、常に寄り添ってくれる広子のおかげで、日常を過ごすことができたハルだったが、ある日、学校から帰ると広子が部屋で倒れていた。自分の周りの人が全ていなくなる不安に駆られたハルは、あの日以来、一度も帰っていない故郷の大槌町へ向かう。広島から岩手までの長い旅の途中、彼女の目にはどんな景色が映っていくのだろうか―。憔悴して道端に倒れていたところを助けてくれた公平(三浦友和)、今も福島に暮らし被災した時の話を聞かせてくれた今田(西田敏行)。様々な人と出会い、食事をふるまわれ、抱きしめられ、「生きろ」と励まされるハル。道中で出会った福島の元原発作業員の森尾(西島秀俊)と共に旅は続いていき…。そして、ハルは導かれるように、故郷にある<風の電話>へと歩みを進める。家族と「もう一度、話したい」その想いを胸に―。

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監督:諏訪敦彦
出演:モトーラ世理奈 西島秀俊 西田敏行(特別出演) 三浦友和 
配給:ブロードメディア・スタジオ  
© 2020映画「風の電話」製作委員会 

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