映画は、2018年秋に、同性婚の是非を問う国民投票の行方が注目される中、台湾で公開されヒットを記録した。ジョアンとシンディ、チャールズとティムという、二組の同性カップルが子供を持ちたいという願望からなんとか「赤ちゃん(バオバオ)」を授かろうと奮闘するこの物語は、日本で9月新宿K’s cinema他にて全国順次公開される予定。
昨年秋、同姓婚を巡る是非の国民投票が話題となっていた中、台湾で公開され話題となった映画『バオバオ フツウの家族』(原題:親愛的卵男日記)の日本公開に先立つ先行上映会が29日(月・祝)18時30分から渋谷アップリンクで、東京レインボープライド関連企画として行われ、台湾の女優で主演クー・ファンルー(柯奐如)と女優の東ちづるが上映後の舞台挨拶に登壇した。 主演女優クー・ファンルー(柯奐如)が役柄を思わせる黒いドレスと白の皮ジャケットで登場すると、満席の会場からはその凛とした美しさにどよめきが上がった。また、2017年にLGBT映画『私はワタシ over the rainbow』をプロデュースし、get in touch という、誰も排除されないごちゃまぜの世界があってもいいという考え方の下、エンタメで見せる、体験させる活動をしている女優東ちづるもレインボーカラーの花を髪に飾って登壇、進行役を務め、トークセッションが行われました。 |
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本作のプロモ―ションのため東京レインボープライドに併せて来日したクー・ファンルー(柯奐如)は、4月28日(日)29日(月・祝)と2日間、代々木公園で行われたイベントに参加。28日(日)午後、代々木公園会場でラジオ出演、ステージでのトークに出演、合間に個別取材を行うなど、精力的にプロモーションに参加した。
東さん:日本は何回目ですか? クー・ファンルーさん:まずは答えの前に、今回、このトークショーにご登壇頂いた東さんに感謝します。また、本作を台湾以外の観客の方にご覧頂くのが初めてですので、映画が伝えたいことが伝わるといいと思っています。日本は何度も訪れています。 東さん:オファーを受けた時の気持ちはいかがでしたか? クー・ファンルーさん:脚本家がレズビアンで、子供が欲しいと思ったところから、この脚本のアイデアが出来ました。ですので、とてもリアルで興味深く感じました。 東さん:気持ちが揺れ動く難しい役でしたね。 クー・ファンルーさん:とても難しかったです。ジョアンは女性なのですが、男性よりも強く「シンディを守りたい」と思っています。 東さん:仕事でも個人的にもいろいろな事を我慢していてずっと抑えた演技だなと思いますが、2回爆発するシーンがありますよね。最初のシンディとの喧嘩のシーンと、赤ちゃんが出来たとシンディが打ち明けるシーンです。 クー・ファンルーさん:はい。そうです。 東さん:映画の途中に回想シーンが入って、時系列が難しいですが、どうお芝居を計算したのでしょうか。 クー・ファンルーさん:時系列のまま撮っています。ロンドンの2人の生活から撮って、台湾部分を撮影しました。イギリスでは1日12時間以上撮影してはいけません。準備部分も含めてですので、実際は1日7時間ぐらいの撮影になります。1シーン、1~2テイクですね。全てを3週間で撮り切りました。ロンドンでは短期間でシンディを深く愛さねばならず、大変でした(笑) 東さん:お腹の中の赤ちゃんが1人になって、主人公4人の気持ちが揺れ動き始めましたね。ティムがシンディに寄り添うシーンで、赤ちゃんの面倒は見てもいいけど、シンディの事は気にしないで、という内容のセリフがありますね。 クー・ファンルーさん:ティムは、子供を産んでくれる女性に対して、心配をしています。気持ちは分かりますが、彼がシンディに近づくことがジョアンには複雑な気持ちなのです。シンディの幼馴染のタイに関しても同様で、シンディに対して気持ちのある事は、気になっています。ジョアンの生活はとても大変な生活です。ジョアンの心のやさしさでもあるのですが、シンディは絵を描くアーティストで、金銭的な事はあまりわからない、センシティブな人です。だから自分で解決できることは、自分一人で背負うというのがジョアンです。 東さん:ラスト、あの後どうなるのでしょうか? クー・ファンルーさん:当初2時間30分のつもりで撮って、編集で90分になりました。結果、3人(ジョアン、シンディ、タイ)の間に信頼関係ができます。映画は、愛とはどういうものか、多様なスタイルの愛、家族というものがあるという事を教えてくれます。 東さん:日本語のタイトルはフツウって何だろうと投げかけていますね。 クー・ファンルーさん:台湾の上映時にも、男性2人、女性2人のカップルが子供を連れてくる場合がありました。 東さん:体外受精のシーンは、スタイルが変わっていますね?。 クー・ファンルーさん:監督の思いがあって、出来たシーンです。監督はデビッド・ボウイが好きで、実は主人公2人が住んでいるロンドンの町は、デビット・ボウイの出身地の設定です。また、彼の音楽の中で、10年に1回出てくる宇宙飛行士がいるのですが、この宇宙飛行士がシンディを守る、という設定になっています。 東さん:原題にある卵男とはどういう意味ですか?(原題:親愛的卵男日記) クー・ファンルーさん:卵男というのは、妊活している事が反映されています。卵の発音は中国語であたたかいという言葉と同じ発音で、あたたかい、やさしい男の日記、ということです。ジョアンもあたたかい男のイメージですね。4人でシンディを守るということです。 東さん:台湾で上映された時の反応はいかがでしたか? クー・ファンルーさん:作年の選挙前に公開されています。ある女性の友人が、映画を見た後に、実は自分がレズビアンだということを告白してくれました。驚きましたが、自分から打ち明けてくれた事に、映画が彼女の心に響いたのだと思い感動しました。 |
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クー・ファンルー(柯奐如) プロフィール
ジョアン役:柯奐如(クー・ファンルー) 映画は2002年『7-Eleven之戀』を始め、『情非得已之生存之道(ビバ!監督人生)』『夏天的尾巴(サマーズ・ テイル~夏のしっぽ~)』『阿霞的掛鐘』『對面的女孩殺過來(ロマンス狂想曲)』などに出演。2009年台湾とドイツの合作映画『曖昧(Ghosted)』は、ベルリン国際際映画祭に参加、2010年台湾、フランス、オランダ合作の『你在嗎?(R U There)』は、カンヌ国際映画祭のある視点部門にノミネートされ、国際的な映画の共同制作にも関わっている。本作では、第58回亞太影展(アジア・パシフィック映画賞)の助演女優賞にノミネートされた。 |
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映画『バオバオ フツウの家族』 原題:親愛的卵男日記 英題:BAOBAO 9月 新宿K’s cinemaにて公開 ≪STORY≫ |
監督:謝光誠(シエ・グアンチェン)≪第1回長編監督作≫
出演:雷艾美(エミー・レイズ)、柯奐如(クー・ファンルー)、蔭山征彦(カゲヤマユキヒコ)
蔡力允(ツァイ・リーユン)、楊子儀(ヤン・ズーイ)
2018年/台湾/97分/1:1.85/
配給:オンリー・ハーツ/GOLD FINGER
協力:GENXY/ビームス
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
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