12月27日(木)16時から、“映画を語る”新番組「活弁シネマ倶楽部」第6回が放送された。
今回の作品は、芥川賞作家・中村文則のデビュー作が原作の『銃』。
主演に村上虹郎、ヒロインには広瀬アリスなど豪華キャストを迎えての映像化となり、映像はモノクロで構成されている。第31回東京国際映画祭では、日本映画スプラッシュ部門に出品され、ワールドプレミア上映され、武監督が日本映画スプラッシュ監督賞、主演の村上虹郎が東京ジェムストーン賞を受賞と2冠を達成し、国内外からの注目を集めている。 番組内では、MCに映画評論家の森直人氏を迎え、『銃』の作品紹介と裏側トークはもちろん、武監督の過去作と照らし合わせての映画評論が展開された。 |
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映画とは相性の悪い一人称作品が原作であったことについて、これを映画にしたいという奥山プロデューサーの面白さを流石だとしつつも、「こんなの映画にしたいっていう人がおかしいですよ」と奥山に対して伝えたと語り、笑いを誘った。それでも、原作の特徴でもある一人称を捨てずに活かすために、“主人公に聞こえている音”をどう観客に聞かせるかを考え、ロバート・アルトマンの作品などを参考にしてサウンド設計をしたという。ドラマの中心人物の会話以外にも、エキストラ同士のやり取りにも台詞を与え、本来であれば後から付け加える周囲の会話や雑音などの「音」も撮影現場で作っていったと解説した。 また、原作の重要なキーである“銃で人を撃った後に主人公の世界が変わる”という点が、本作でモノクロを選択した背景にあると語った。このキーをどう映画にするかにあたって、「血が見えた瞬間にそれに色が付いたらどうなるのか?」という着想があり、「主人公の、若者のモノクロの世界が崩れて、現実の恐ろしい世界に引きずり込まれていく」という世界の変化を、「色が見えてきた瞬間に恐怖を感じる」という形で見せたかったという。 武監督は、自らが助監督として関わった過去作を振り返り、初めてプロの助監督を務めた『SCORE』での奥山のイメージとして、「面白いことやらしてくれる人がいるな。こんなデタラメなことを、無名な力のない者たちに“やるだけやってくれよ”の精神でやらせてくれる人ってなかなかいない」と語り、無名時代にもかかわらず、チャンスの場をもらったことを思い返した。 更に、武監督が10代の時まで話は遡り、 MCの森に大学時代から(映画撮影の)現場には関われていたのかと聞かれ、「巻き込まれたというか、知らない人に声をかけられたら、どんどんついて行っていたので、知らないうちに撮影所につれてこられた」「誘われたら断るなというのが自分の中で精神としてあった」と驚きのポリシーがあったことを明かした。その甲斐あって人脈が広がり、今の自分が形成されたと回顧。 |
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「活弁シネマ倶楽部」は、 様々な切り口で、様々な人が“映画を語る”ことで、映画の新たな楽しさを発信するトーク番組。番組タイトルにもなっている「活動弁士」は、映画の上映中、映画を自由闊達に語り、表現し、解説をすることを生業とする人たちである。本番組では、活動弁士の精神をそのまま受け継ぎ、映画に関わる様々な人をゲストに迎え、制作陣の想いや映画の知られざる一面など、様々な角度から映画を掘り下げていく。 |
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『銃』
11月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー 公式サイトURL twitter 物語・・・ |
キャスト
村上虹郎 広瀬アリス
日南響子 新垣里沙 岡山天音 後藤淳平(ジャルジャル)
中村有志 日向丈 片山萌美 寺十吾 サヘル・ローズ 山中秀樹
村上淳 リリー・フランキー
スタッフ
企画・製作:奥山和由
監督:武正晴
原作:中村文則「銃」(河出書房新社)
脚本:武正晴・宍戸英紀
制作プロダクション:エクセリング
企画制作:チームオクヤマ
配給:KATSU-do 太秦
製作:KATSU-do
2018年/日本/カラー&モノクロ/DCP/5.1ch/97分
レイティング R15+
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