12月11日(火)21時から、“映画を語る”WEB番組「活弁シネマ倶楽部」第3回放送が行われた。本番組は、“映画を語る”楽しさを提供し、映画ファン必見の“コア情報”満載の番組でありながら、映画業界を新たな側面から盛り上げていこうという番組である。第3回となる今回の紹介作品は、注目株の若手監督、井樫彩(いがし・あや)監督(22)の初長編作品『真っ赤な星』。
本作は小松未来、桜井ユキが出演し、14 歳の少女と 27 歳女性のラブストーリーを描いている。英レインダンス映画祭BEST INTERNATIONAL FEATURE部門の最優秀作品にノミネートされた。 MCには、映画ライターの月永理絵氏を迎えて、井樫監督の意外な内面に迫った。
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井樫監督の前作にあたる中編作品『溶ける』は、カンヌ国際映画祭がシネフォンダシオンに選ばれ、日本の若手監督の作品がカンヌ国際映画祭に選ばれたことは、多くの映画関係者から注目を集めていた。そして、今回番組内で紹介されている『真っ赤な星』は、小さい頃から漫画や小説を作成していても、長編を作ることが出来ない性格だったという井樫監督にとって、自身初となる長編作品。
岩井俊二監督の『リップヴァンウィンクルの花嫁』をきっかけに書かれた脚本は、監督自身が子供の頃に体験した看護師とのエピソードと、大人になって感じた“他者との繋がれなさ”という感覚を合わせた物語になっている。完成した映画は、主演の小松未来、桜井ユキの好演によって、観るものの感情を揺さぶる作品となっている。 作品内で、感情を爆発させるシーンがあり、実際の撮影現場では、カットがかかった直後に役者が倒れ込むこともあったことについて、月永氏から“監督として迷って(台本を)変えたりとかは考えたのか”と聞かれ、桜井ユキに対して「あなたの全部を私(この映画)にください」と自分の想いを伝えていたことを話し、倒れ込むほどすべてを差し出してくれた役者への愛情を吐露、そこまで追い込んだのは映画のため、そして女優への愛ゆえだったと話した。 作品の内容について話が及ぶと、映画の中のキャラクターが非常に追い込まれ苦しんでおり、あまりにも救いがない、という感想が多いのではないか?と聞かれると、実際そういう意見は多いとしつつも、「この映画は色んな解釈が自由にできる、余白の部分が多い。受け取り方も多様」と答えた。 映画のラストにも言及し、映画が一元的なものではなく、受け取り手によって、異なる感情を生むことを「面白いですね」と語った。 撮影現場での様子についても意外な一面がさらけ出されており、井樫監督は撮影時には普段とは異なり、怒鳴ることもあったと語った。現場ではお互い本気だから、ぶつかり合うのは仕方がないものだと自身の考えを示した。才能ある若手監督の“本音トーク”が聞けるのは、WEB番組の面白みでもある。 MCの月永氏から、”22歳”“最年少”“女性監督”といった冠で評価をされてしまうことに対するプレッシャーはあるのかと問われた井樫監督は、「プレッシャーはないけど、すごく嫌」と素直に答えた。映画監督はあくまで裏方の仕事であり、映画の裏側は関係なく作品を見てほしいと語る井樫監督には、1人の映画監督としての姿を垣間見ることができた。 |
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今回、井樫監督が出演した「活弁シネマ倶楽部」は、様々な切り口で、様々な人が“映画を語る”ことで、映画の新たな楽しさを発信するトーク番組。
番組タイトルにもなっている「活動弁士」は、映画の上映中、映画を自由闊達に語り、表現し、解説をすることを生業とする人たちである。本番組では、活動弁士の精神をそのまま受け継ぎ、映画に関わる様々な人をゲストに迎え、制作陣の想いや映画の知られざる一面など、様々な角度から映画を掘り下げていく。 WEB配信での特別番組という扱いだが、今後も定期的に配信されるそうです。 ■活弁シネマ倶楽部■ FRESH LIVE: 「活弁シネマ倶楽部」公式ツイッター: |
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『真っ赤な星』 2018年12月1日(土)より、テアトル新宿ほか全国公開中! 公式HP: あらすじ |