巨匠ヴィム・ヴェンダースが7年ぶりに完成させた劇映画『誰のせいでもない』11 月12 日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショーとなりますが、その記念に小説家つながりと芥川賞受賞後初の新刊『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』プロモーションもかねて羽田圭介先生がトークイベントに登場! 人気作家の仲間入りを実感しながらも映画の主人公には嫉妬!全てが映像で語られた映画と大絶賛!! 羽田圭介さん登壇『誰のせいでもない』トークイベント |
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羽田圭介先生は、本編上映後、今月15日に発売される新刊『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』の表紙をプリントしたTシャツを着て
羽田先生:今日は本の宣伝にきました! と挨拶しながら登壇。もともと、学生時代に『パリ、テキサス』を観て以来、美の基準がナターシャ・キンスキーになってしまったというほどヴェンダース監督の映画には思い入れがあったそうで、本作を 羽田先生:映画で描かれるべき映画だと思いました。物語を追うのは小説でもできるけど、映像でしか表現できないものが本作にはあって、それは、晩年の谷崎潤一郎が映画にはまっていた理由に近いもので(映画とは夢に近いものであり、だからこそ自然と身に入ってくると捉えていた)、人間の認知に沿った映画であると思う、小説もそうだが、分かりやすくする為に人物に簡単に役割を持たせてしまいがちだが、この映画は善と悪どちらかに寄った人を出さずに成立させている上品さがありますね。 と絶賛。続いて、主人公が自身と同じ作家であることについて、 羽田先生:作家というものは特殊な存在だとは特に思わないけれど、経験と想像の境目がなくなっていく経験は確かにあります と共感してしまったそう。 一方で、 羽田先生:サイン会なんて、一部の売れている人とか、人気がありそうな人だと認定されないとそこまでしてもらえない。2003年にデビューしたが、昨年芥川賞を獲ったことで、間もなく刊行する新刊がこれまでになく販売促進に力を入れてもらってますけど・ と出版業界の状況を説明。主人公がサイン会を開いているシーンをみて、 羽田先生:この人は安定しているな。恵まれていてムカつく。 と、まだ売れていなかった昔の目線でひがんでしまったことを吐露し観客を笑わせました。 |
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また本作のストーリーが、主人公の小説家が、不可抗力から幼い少年を車で轢いてしまう事故をきっかけにはじまることから、自身が交通事故にあったというエピソードを披露。
羽田先生:小学2年生の時に、学校に行く途中で徐行運転の車のバンパーにぶつかって倒れたんですが、ランドセルがクッションになって軽傷で済んだんですね。運転手さんが病院に連れていってくれようとしたけど、その数日前に誘拐事件を扱った刑事ドラマを思い出して断り、歩いてそのまま学校に行ったんです。 と事故当時の様子を詳細に語りながら、 羽田先生:何故か、インターネットで奇跡的に一命をとりとめたという噂が広がってしまったんですよ。でも22~3歳の頃にバイクでスライディングして擦り傷を追った方が怖かったです。 とまさかの2度の交通事故体験を語り、会場を驚かせました。 最後に、 羽田先生:この映画は全て映像で語られています!! と映画をアピールし終了しました。 『誰のせいでもない』 11 月12 日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー! |
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物語・・・ すべては雪の日に始まった。 巨匠ヴィム・ヴェンダースが描く、揺れ動く感情のランドスケープ。 物語) カナダ、ケベック州モントリオール郊外。作家のトマスは恋人サラと暮らしているが、仕事がうまくいかずその関係はぎこちない。ある大雪の日、車を走らせていたトマスは、目の前に飛び出してきた何かに驚き急ブレーキをかける。 そこには車の前で虚ろに座り込んでいる幼い少年がいた。幸い怪我もなくほっとしたトマスが彼を家まで送ると、母ケイトは息子の姿を見て半狂乱になる……。 トマス、恋人のサラ、編集者のアン、そして少年の母ケイト。誰のせいでもない一つの事故が、一人の男と三人の女の人生を変えてしまう…。 |
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、レイチェル・マクアダムス、マリ=ジョゼ・クローズ
2015 年|ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー|118min
配給:トランスフォーマー