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齊藤工監督トークイベント

映画やドラマで俳優として活躍する一方、監督やプロデュース業でも多彩な才能を発揮している齊藤工が監督を務める映画『スイート・マイホーム』が、絶賛公開中です。
原作は、2018年に「第13回小説現代長編新人賞」を受賞した注目の作家・神津凛子のデビュー作。窪田正孝を主演に迎え、蓮佛美沙子や、奈緒、窪塚洋介ら実力派俳優たちが織りなす予測不能のホラー・ミステリーです。
9月17日(日)、ネダバレOKのティーチイン付きトークイベントを開催!
齊藤工監督と、監督と長い付き合いだというフリーアナウンサーの笠井信輔が司会進行として登壇しました。
スイート・マイホーム
『スイート・マイホーム』齊藤工監督登壇トークイベント
実施日時:9月17日(日)
場所:TOHOシネマズ 六本木
登壇:齊藤工監督、笠井信輔

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齊藤工監督x笠井信輔

3週目に突入してもなお満席のお客様を目の当たりにした齊藤監督は冒頭の挨拶で、「この作品を心から応援して寄り添ってくださっている身内だと思っています」と感謝の言葉を述べた。実際、来場者に挙手のアンケートを実施すると、初めて観た観客と2回以上観ている観客が半々の結果に。しかも2回目、3回目よりそれ以上観ているリピーターの方が多く、本作にハマっている観客が多いことが改めて証明された。
スイート・マイホーム
笠井さんは齊藤監督について「『blank13』も良かったし、俳優さんの作る映画って個性的で、自分はこういう映画が撮りたいんだと表現する監督が多いし、齊藤監督がそこに進んだというのは本格的な監督の道を歩み始めたんだと強く感じました。“クリント・イーストウッドへの道”ですね」と褒め称えると、齊藤監督は「恐れ多いです」と恐縮。

さらに本作の核心部分に踏み込んだ笠井さんは「(住宅会社社員で主人公・賢二の新居「まほうの家」の営業担当を演じた)ある秘密を抱える奈緒さんが怖いと思いながらも、霊的なものを感じながら客感的な事実を提示されると、安心するんです。さらにそれで終わらないのがこの映画で、もう一回ひっくり返して(主人公の妻を演じた)蓮佛美沙子さんの異様な展開になっていく。蓮佛さんの役名の“ひとみ”がキーワードで、瞳の表現がとても多い。子供が瞳を覆ったり、(主人公を演じた)窪田正孝さんや赤ちゃんの瞳のアップがあったり。子供には見えているという感じ。奈緒さんに何か悪魔的なものが取り憑いて、それが蓮佛さんに最終的に乗り移ってしまい、悪魔が自分を認識されたくないから恐怖のラストにつながっていくという、その描写が記憶に残るからぞわっと怖さも残ります。奈緒さんで終わらないところがこの映画の見事なところかなと思います」と大絶賛。スイート・マイホーム

齊藤監督もその見事な解説に「ありがとうございます。今の言葉がすべてだったと思います」とこれまた恐縮しきり。「この原作を読んだときに、単なる犯人は誰だっていう物語ではないと思いました。鬼子母神という言葉が僕はすごくこの作品の真髄にあるんじゃないかなと思ったんです。日本人の母性の深さの成れの果て、西洋でいうと悪魔的な何かっていうものが、肉体を媒介して伝承される物語だと思っていました。この物語を見つめる瞳で始まり、この物語を見届けた瞳で終わるということに意味を込めたつもりです。最初に『これがあるから家があったかい』と説明があるんですけど、今回は家自体を人体として描きたかったんです。その血管みたいなものが温度の循環という。そこに宿るものを、子供や赤ちゃんは感じているんじゃないかなと思って」と述懐。

さらに奈緒さんについて笠井さんが「こういうミステリーの物語の場合は、どこか匂わせたいと監督や俳優たちが考えるんですけども、奈緒さんにおいて匂わせる芝居はないと感じた」と語ると、齊藤監督は「仰る通りですね。キャスティングのネームバリューで、この人は普通の役のわけはないとか、そういういやらしい見方を普段してしまうんですが、奈緒さんが素晴らしかったのが、出ていないシーンでも存在感を薄められるんです。奈緒さんの地肩の強さというか、素晴らしさです。そこにいるんだけど、何かに潜んでいるというか」と振り返った。

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ティーチイン

スイート・マイホーム
今回のトークイベントは、ネタバレOKのティーチイン付きということで、観客からの質問も飛んだ。中でも映像の中に隠されている十字架について質問が及ぶと、齊藤監督は「過去に罪を背負ったキャラクターには、背後に十字架を背負わせています。(ディズニーランドの隠れミッキーのような)隠れ十字が6つ、3人のキャラクターにあります」と6つすべてのネタバレを敢行。それに対して観客から「救急箱の十字は?」と問われると、齊藤監督は「あ!救急箱!それ足しましょう!それもらいましょう!足して7つにしたいくらいです(笑)。ただ救急箱、どこにありましたっけ?」とタジタジに。

さらに12回観たという観客から「賢二とひとみの結婚指輪がラストに近づくにつれて主張が強くなって怖く感じました」と聞かれると、齊藤監督は「結婚指輪にはひとつ鎖のような意味合いを持たせています。血縁と地縁のような、人間が選べない鎖もひとつテーマなので、そういう意味合いで撮っていました」と答えつつ、「12回!1回くらい同じ“家モノ”の『ホーンテッドマンション』とかも(笑)」とお薦めしていた。

最後に齊藤監督は「今日いらっしゃっている皆さんの数だけ、もっと質問があったと思います。僕は、映画は賞味期限がないと思っていますし、そう思って作りました。例えばSNSを使って、今日皆さんから聞き取り切れなかった質問や、あそこはどうなんだってことに積極的に答えていけたらと心から思っています。これからセカンドラン、サードランと全国のローカルのミニシアターにも、フィルムの時代のように手渡しで僕が行けたら、全部順番に回りたいくらいです。それは作った者の責任もありますが、これだけ多くの皆さんがこの作品に寄り添ってくれるってことが何より自信になっています」と心からの感謝の言葉でトークイベントを閉じた。

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映画『スイート・マイホーム』

9月1日より全国公開中。

公式サイト:
https://sweetmyhome.jp

公式Twitter:
@sweetmyhome_jp
スイート・マイホーム

物語・・・
極寒の地・長野県に住むスポーツインストラクターの清沢賢二は、愛する妻と幼い娘たちのために念願の一軒家を購入する。“まほうの家”と謳われたその住宅の地下には、巨大な暖房設備があり、家全体を温めてくれるという。理想のマイホームを手に入れ、充実を噛みしめながら新居生活をスタートさせた清沢一家。だが、その温かい幸せは、ある不可解な出来事をきっかけに身の毛立つ恐怖へと転じていく。
差出人不明の脅迫メール、地下に魅せられる娘、赤ん坊の瞳に映り込んだ「何か」に戦慄する妻、監視の目に怯えて暮らす実家の兄、周囲で起きる関係者たちの変死事件。そして蘇る、賢二の隠された記憶。その「家」には何があるのか、それとも何者かの思惑なのか。最後に一家が辿り着いた驚愕の真相とは?

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出演:窪田正孝
蓮佛美沙子 奈緒
中島 歩 里々佳 吉田健悟 磯村アメリ
松角洋平 岩谷健司 根岸季衣
窪塚洋介
監督:齊藤 工
原作:神津凛子「スイート・マイホーム」(講談社文庫)
脚本:倉持 裕
音楽:南方裕里衣 
製作:鳥羽乾二郎 太田和宏 高見洋平 人見剛史 松下寿昭 澁谷京子 福山雅治
エグゼクティブプロデューサー:福家康孝 新井勝晴 プロデューサー:中村陽介 赤城 聡
ラインプロデューサー:飯塚信弘 撮影:芦澤明子(J.S.C)
照明:菰田大輔 美術:金勝浩一 録音:桐山裕行 装飾:山田好男 編集:髙橋幸一 音響効果:安江史男
スクリプター:工藤みずほ スタイリスト:高橋さやか ヘアメイク:中山有紀
音楽プロデューサー:千田耕平 キャスティング:南谷 夢 助監督:是安 祐 制作担当:桑原 学
製作幹事・配給:日活 東京テアトル 制作プロダクション:日活 ジャンゴフィルム 企画協力:フラミンゴ
製作:日活 東京テアトル 講談社 ライツキューブ スターキャット ブルーベアハウス
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社
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