映画情報どっとこむ ralph 『MINAMATA―ミナマター』が9月23日(木・祝)よりTOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開中。

「責任とは何か?」というテーマのもとアイリーン・美緒子・スミス(環境ジャーナリスト)、藤原辰史(歴史学者)、吉田千亜(フリーライター)がON LINEトークイベントを行いました。
『MINAMATAーミナマター』ChooseLifeProjectトークイベント
『MINAMATA-ミナマタ-』×ChooseLifeProject
日時:9月28日(火) 19:00~20:15
登壇:アイリーン・美緒子・スミス(環境ジャーナリスト)、藤原辰史(歴史学者)、吉田千亜(フリーライター)
MC:永井玲衣(哲学研究者)

映画情報どっとこむ ralph まず初めに本作を鑑賞した感想について、福島の原発事故被害者の取材を続けているフリーライターの吉田千亜は福島との類似点をあげながら語る。「被害を受けた方をどう描くか、その表現について考えさせられた」、「被害者の方の“語りにくさ”がある中で、それをどうやって伝えていくかは福島を取材する中で常に悩んでいることだったので、まさに自分に跳ね返ってくるような映画だった」とコメント。歴史学者の藤原辰史は「毎日繰り返される暮らしの中に潜む公害という暴力。今、映画が公開されることで世の中に大きなインパクトを与えるのではないかと期待している」と話す。そしてユージン・スミスの当時の妻であり、共に水俣を取材したアイリーン・美緒子・スミスは「この映画は、多くの人に水俣の物語を伝えるパワーを持っている。映画を通して、実際の事件に辿り着いてほしい。また観た人たちの感想をとても楽しみにしている」と語った。

次に話題はユージン・スミスという人物について。第二次世界大戦時に沖縄戦やサイパン、硫黄島などを取材。写真誌が選ぶ「世界10大写真家」のひとりに選出され、今では伝説の写真家と呼ばれている。アイリーンが彼の魅力について尋ねられると「ユージンは絶対に諦めない人、自分の信念を絶対に貫くところが魅力的だった」と 振り返る。「自分の人生の役割は人間、社会のありのままを伝えていくこと」と彼が17歳の時に母親に手紙を書いているが、それをずっと実行してきた人」と彼の魅力を伝えた。

続けてユージンは水俣で何を一番伝えたかったのか、フォトジャーナリストとして何を大切にしていたのかについて尋ねられると、アイリーンは「各々の先入観をできるだけ真実へ近づける。その橋渡しをするのがジャーナリズムの使命だと話していた」と彼の当時の言葉を振り返りながら語った。
そして今回のテーマ「責任とは何か?」について。映画でも描かれるように国や企業が命や健康、家族や人生を奪われた人たちに対して向き合わないという事実がある中でその「責任」をどのように考えるか。

藤原は「原因企業やその企業を守る国の責任もあるが、無知であり続けた私たちの責任というものもある。その問題を伝えてこなかったという罪がある」と指摘。吉田は「福島の原発事故もそうだが、その加害の一頭になってしまっていたと思った。水俣のことを教科書で学んだ程度しか知らなかったと反省した。私にも責任はあると思う」と心の内を明かした。さらにアイリーンは「環境問題など、次の世代にすべてのツケを回すような現在の責任をどう取るか。みんなで考えるようにする、みんなで変えていけるようにすることが大切」とし、未来への責任を語った。

最後に、これから映画を観る方や水俣病について知りたいと思う方に向けて、メッセージを求められると藤原は「この映画はきっかけに過ぎない。どれだけこの映画で描かれなかった事実があるのか、これからみんなで議論していかなければならない」と話し、「同じことを繰り返さないために、この映画を消費して終わってしまうのではなく、私たちは勉強を続けていくということを肝に銘じなければいけない」とコメント。吉田は「この映画がきっかけとなって、その先にまだたくのことが待っていると思う。映画をご覧になった方は、そこからさらに先に進んでほしい。命が脅かされるという恐怖を感じている今、その思いを持って水俣のことや福島のことに想いを馳せてもらえたらと思った」と福島原発を取材している吉田自身の経験も踏まえて語った。最後にアイリーンは「まず“映画に行く”という楽しさを味わってもらう。そこでそれぞれ感じることがあると思う。その反応をもって、自分ならではの行動をとってもらえれば」とし、「私の願いは、映画で奇跡が起きたように、いろんな人が関われば思いもしなかったことができるようになる、政府が少しでも変われば日本も元気付けられると思う」とコメントしイベントを締めくくった。

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『MINAMATA-ミナマタ-』

原題:MINAMATA

絶賛公開中

ストーリー
1971年、ニューヨーク。アメリカを代表する写真家の一人と称えられたユージン・スミスは、今では酒に溺れ荒んだ生活を送っていた。そんな時、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市にあるチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しむ人々を撮影してほしいと頼まれる。水銀におかされ歩くことも話すことも出来ない子供たち、激化する抗議運動、それを力で押さえつける工場側──そんな光景に驚きながらもシャッターは冷静に切り続けるユージンは、チッソの社長からのネガを大金で買うという申し出を拒否したために危険な反撃にあう。追い詰められたユージンは、水俣病と共に生きる人々にある提案をし、彼自身の人生と世界を変える写真を撮る─。
『MINAMATAーミナマター』POSTER

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製作:ジョニー・デップ
監督:アンドリュー・レヴィタス
脚本:デヴィッド・ケスラー
音楽:坂本龍一
原案:写真集「MINAMATA」W.ユージン・スミス、アイリーンM.スミス(著)
出演:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、岩瀬晶子and ビル・ナイ
提供:ニューセレクト株式会社、カルチュア・パブリッシャーズ、ロングライド
配給:ロングライド、アルバトロス・フィルム
2020年/アメリカ/英語・日本語/115分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/日本語字幕:髙内朝子
公式サイト:longride.jp/minamata/
写真コピーライト:© Larry Horricks
作品コピーライト:© 2020 MINAMATA FILM, LLC
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