映画情報どっとこむ ralph 映画公開直前!カンヌ4冠達成、新たな傑作の魅力に迫る
「ハッピーアワーを超える傑作。21世紀の羅生門』」

濱口竜介×伊藤亜紗×北村匡平登壇 イベント

8月20日(金)よりTOHOシネマズほか全国公開となる『ドライブ・マイ・カー』。
ドライブ・マイ・カー
公開直前となる本日8月16日(月)に、“文化を喫する、入場料のある本屋”のコンセプトで様々なジャンルの約三万点もの書籍を販売する「文喫 六本木」で、濱口竜介監督、美学者の伊藤亜紗、映画研究者の北村匡平によるトークセッションが行われました。
濱口竜介×伊藤亜紗×北村匡平 『ドライブ・マイ・カー』
日付:8月16日(月)
会場:文喫 六本木
濱口竜介監督、美学者:伊藤亜紗、映画研究者:北村匡平

映画情報どっとこむ ralph 映画監督、美学者、映画研究者というそれぞれのプロフェッショナルが集まった本イベント。
濱口監督と伊藤は大学のゼミの同級生として、学部は違うながらも同じ授業を受けた仲であり、濱口監督と北村匡平は今回が初対面だという。『ドライブ・マイ・カー』を観た感想について、伊藤は「3時間の映画ということで大丈夫かなと不安でしたが、びっくりするくらいあっという間。時間が流れていくというよりは、自分の中に時間が溜まっていってシンクロしていくような不思議な感覚でした」と語り、続けて北村は「『ハッピーアワー』の上映の時に、間違いなく2010年代映画のナンバー1だと思っていたが、『ドライブ・マイ・カー』が『ハッピーアワー』の一歩先を行っている。「『ドライブ・マイ・カー』を観た時に一番思い出したのが、黒澤明の『羅生門』という作品なんです。主題は違えども芥川龍之介の『藪の中』を『羅生門』や『偸盗』を組み合わせて黒澤明が独自解釈したのと同じように、『ドライブ・マイ・カー』では「女のいない男たち」の中の「ドライブ・マイ・カー」、「シェエラザード」、「木野」もあわせて村上春樹的観点を抽出した上で、濱口ワールドが繰り広げられているという点で、“これは21世紀の『羅生門』だ”と感じました」と絶賛。
濱口竜介×伊藤亜紗×北村匡平 『ドライブ・マイ・カー』
続けて、『ハッピーアワー』や『寝ても覚めても』にも共通する、“声”のこだわりが感じられる濱口作品のキャスティングについて北村から問われると、監督は「率直に話してくれている“声”、噓をつかないような…今、この人と自分はちゃんとコミュニケーションが取れている、と感じられる人に役をお願いしています」とキャスティングのこだわりを明かした。
映画情報どっとこむ ralph ひたすら役者との本読みにこだわるという通称“濱口メソッド”について、濱口監督は「『ハッピーアワー』くらいからすごく本読みにはこだわっています。ひたすら無感情、無抑揚で何度も何度も読んでもらう。無感情な状態でひたすらテキストを覚えて、何度か寝かせたりしながら、セリフが身体に刻み込まれた状態で口から自然に出てくる。発音が身体化されることによって本番の演技で開放される、リラックスした状態でセリフが放たれるという方法を意識しています」と濱口作品に共通する本読みへの徹底した思いを語った。濱口作品での他者とのコミュニケーションの描き方について、伊藤は「人間関係というより、“存在関係”を描いている。人と人との関係がまるでタバコの煙のような…人が吸っていると自分も吸いたくなるような、誰かの行動によって自分にも繋がっていくという点で共振、共鳴を感じます」と語ると、監督は「自分の映画を人間ドラマだと言われるとどこか違和感があったんですが、人間が関係することで、その存在が影響を及ぼすものをずっと見ている。役者とテキストの関係もそうだと思うし…今までいただいた感想の中でも一等嬉しいです」と伊藤の賞賛にはにかんだ。濱口竜介×伊藤亜紗×北村匡平 『ドライブ・マイ・カー』

最後に一人ずつメッセージを振られると、北村は「間違いなく『ハッピーアワー』の一歩先を行く作品。自分の身体と同化した車を手放し、委ねることによって自分の感覚が開かれていくという感覚をぜひ体験していただきたいと思います。可能であればぜひ2回観た方がいいと思います」と熱を込めて語り、伊藤は「人と単に分かりあう、共感ということではなく、郷にじっくりと入っていき、自分の心の傷に向き合うということ。 濱口監督は人間を違う視点で描いている監督。大学時代の作品を観た時はもっと実験的な監督になると思っていたが、人間の心を描いているというスタンスに同世代としてとても感銘を受けます」と同級生として思いのこもったコメントをかけた。

濱口監督は、最後に「伊藤さんとは、同級生としてやっていた人とこうやって再会が出来てとても嬉しかったです。また、北村さんが今日仰っていた“委ねる”というテーマに関しては正直自分では意識していなかったのですが、今まで撮影したドキュメンタリー作品の中で自分が撮影したものの編集を人に委ねる、手放すということでまた新鮮な作品作りが出来るという過去の経験を思い出し、また違った観点から映画を楽しめるようなお話が聞けたと思います。ついに20日公開なのでぜひ楽しみにしていただければ」とこれから映画を観る方に向けてメッセージを贈った。

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『ドライブ・マイ・カー』

公式サイト:
dmc.bitters.co.jp

ストーリー
舞台俳優であり、演出家の家福悠介。彼は、脚本家の妻・音と満ち足りた日々を送っていた。しかし、音はある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう――。2年後、演劇祭で演出を任されることになった家福は、愛車のサーブで広島へと向かう。
そこで出会ったのは、寡黙な専属ドライバーみさきだった。喪失感を抱えたまま生きる家福は、みさきと過ごすなか、それまで目を背けていたあることに気づかされていく…
『ドライブ・マイ・カー』

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西島秀俊
三浦透子 霧島れいか
パク・ユリム ジン・デヨン ソニア・ユアン
ペリー・ディゾン アン・フィテ 安部聡子
岡田将生

原作:村上春樹 「ドライブ・マイ・カー」 (短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)
監督:濱口竜介 
脚本:濱口竜介 大江崇允 
音楽:石橋英子
製作:『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント 
配給:ビターズ・エンド 
©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 
2021/日本/1.85:1/179分/PG-12

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