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主演に西島秀俊を迎え、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』(8/20(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開)について、東京藝術大学大学院映像研究科と横浜市文化観光局が連携・協力する文化芸術創造都市づくりの地域貢献事業への取り組みの一環として、同校2期監督領域修了生の濱口竜介監督と、『ドライブ・マイ・カー』の編集を務め同校編集領域修了生山崎梓のトークイベントが行われました。![]() |
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カンヌからの帰国後初となる対面でのイベントに濱口監督は「去年はコロナでカンヌ国際映画祭が中止だったため、二年ぶりの開催で、現場の人数は少なかったですが、熱気は例年以上でした」と映画祭の感想を述べた。![]() 今回のイベントでは編集担当の山崎梓さんとの対談形式という事で、編集という観点で本作の製作について会話が弾む。2020年11月から撮影が開始された『ドライブ・マイ・カー』は未編集の素材が50時間を超え、プレビューだけでも一週間はかかったそう。それに対して監督は「現場でOKや、NGというものはほとんど出さず、すべて終わった後に使うシーン、そうでないシーンを決めるというスタイルをとっています。理由としては自分の目が必ずしも信用できないからです。現場で良いと思ったものが、改めて観るとやはり違っていたり、逆に現場でNGと思ったものが良かったりするので、編集の山崎さん含め複数のスタッフとプレビューを観るのはとても重要な作業なんです」と自身の製作のスタイルを解説。この手法は映画監督としては珍しい手法だが、丁寧な描写が特徴的な濱口監督作品の作風の所以が明らかとなった。編集の山崎梓さんも「珍しい手法ですがこれが監督の特徴でもあります。映画監督とはそれぞれの色がありますので、一緒に作業をしてやりやすいのが一番重要だと思います」と発言。山﨑梓さんは濱口監督が在学中に制作した作品『THE DEPTHS』(2010年)で初めてタッグを組み、その後しばらく時間があき『寝ても覚めても』(2018)で再度タッグを組んだ。 濱口監督は自身でも編集作業はできるが、他の人に編集を任せることについて「自分の評価は自分ではできないので、複数の人間、つまりたくさんのフィルターを通した方が、映画はいいものになると思っています。監督と同じく編集者にも色々な特徴がある人がいますが、山崎さんは監督の意図をしっかり聞いてくれるスタイルだったので、私の求めている編集者だったんです」と山崎梓さんと仕事に誇らしげな表情を浮かべた。山崎梓さん本人も「編集者として膨大な素材を選定していく作業をしていくわけですが、いま何の作業をしているのか、なにを目指して編集をすればいいのかという意図がはっきりしていないのが一番苦しいので、監督にはその点についてしっかり聞くようにしています」と2人のコンビネーションの良さを語った。 |
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『ドライブ・マイ・カー』8月20日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー 公式サイト: |
西島秀俊
三浦透子 霧島れいか
パク・ユリム ジン・デヨン ソニア・ユアン
ペリー・ディゾン アン・フィテ 安部聡子
岡田将生
原作:村上春樹 「ドライブ・マイ・カー」 (短編小説集「女のいない男たち」所収/文春文庫刊)
監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介 大江崇允 音楽:石橋英子
製作:『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、ビターズ・エンド
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント 配給:ビターズ・エンド ©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会
2021/日本/1.85:1/179分/PG-12
©2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会