これまでも強烈な自我を持つ女性を軸に、狂気ともいえる愛を描いてきた鬼才・万田邦敏監督が、カンヌ国際映画祭にてW受賞した『UNLOVED』、比類なき傑作『接吻』に続き、共同脚本・万田珠実との3度目のタッグを組んだ本作では、亡き妻への思いを捨てきれない男と、その男に恋をする女の、嫉妬と復讐と救済の劇が描かれる。
男は精神科医、女は元患者。二人は恋に落ち、やがて結婚を約束。しかし、前妻のことは絶対に忘れないという男の思いを知った女は、嫉妬に狂い、二人の歯車は狂っていく。そして、男の耳に亡き妻の声がこだまして…。エリート精神科医の精神に何が起きたのか? 彼女が真に求めていたものは何だったのか? 生死を超えた純粋な愛とは? この度、映画『愛のまなざしを』が2021年に公開されることが決定し、場面写真が解禁された。また、万田邦敏監督、仲村トオルからコメントが届いた。 |
|
<万田邦敏監督> 本作のラストをどうするか、じつは撮影中に二転三転した。決定稿では、主人公の男女は最後まで闇の中に宙づりにされたままだった。ところが、撮影中にそれではこの二人がなんだか可哀想に思えてきた。救いがなさ過ぎると思った。男も女も本気で愛し合ったのだし、本気で憎み合ったのだ。その本気を最後に突き放したままでいいのだろうか。そう思わせたのは、役を演じる目の前の仲村さんと杉野さんの身体が、意識せぬまま、己が演じる男と女の救済に向けて動き、発話し、沈黙していたからなのだと思う。初めは、二人自身も私もそのことに気付かなかった。二人の結末に最初に違和感を感じたのは、ずうっと撮影を見続けていた脚本を書いた珠実そのひとだった。愛する者が苦しんでいるのなら、その苦しみを分かち合いたい、苦しみから救ってあげたい。珠実は、仲村さんと杉野さんの芝居する身体が発するサインを目ざとく読み取ったのだ。撮影の合間を縫って二人に相談してみると、「そういうことだったのか」と二人も納得。だったらあれは、これはといろいろとアイデアは出てくるし、二人の身体にもそれまで以上に開放感、伸びやかさ、自由さが増した。こうして、映画の最後(それは撮影終了日でもあった)に杉野さん演じる綾子は満面の笑みを見せることになった。決定稿とは真逆の結末に、私たちはみな満足してクランクアップしたのである。 <貴志役:仲村トオル> |
|
『愛のまなざしを』
2021年公開 【あらすじ】 |
出演:仲村トオル 杉野希妃 斎藤工 中村ゆり 藤原大祐 万田祐介 松林うらら
ベンガル 森口瑤子 片桐はいり
監督:万田邦敏脚本:万田珠実 万田邦敏プロデューサー:杉野希妃 飯田雅裕 エグゼクティブプロデューサー:市橋浩治 五老剛 小野光輔 佐藤央 有馬一昭 長嶋貴之 コエグゼクティブプロデューサー:阿部毅 小金澤剛康コプロデューサー:阿部正彦 アソシエイトプロデューサー :小川貴弘 江守徹 高藤丈也 富澤豊企画:和エンタテインメント配給:イオンエンターテイメント 朝日新聞社 和エンタテインメント
製作:「愛のまなざしを」製作委員会(朝日新聞社 ENBUゼミナール 和エンタテインメント イーストブロー イオンエンターテイメント はやぶさキャピタル)2020年/日本/日本語/102分/英題:Love Mooning/HD/カラー/Vista/5.1ch
©Love Mooning Film Partners