三吉彩花と阿部純子のダブル主演作『Daughters』を手がけた津田肇監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。ライターの折田侑駿がMCを務め、物語の着想や主演の二人についてなど、本作の魅力を余すことなく語り尽くしている。 本作は、津田監督にとって劇場デビュー作。主な舞台は目黒川沿いにあるマンションの一室で、妊娠した女性と、その彼女を支える女性の、ルームシェア生活が描かれているものだ。妊娠した友人をそばで見守る小春には、女優やファッションモデルとして大活躍の三吉彩花が扮し、小春のルームメイトであり、悩みながらも一人の女性から“母親”になる決断をする彩乃を阿部純子が務めている。ファッションブランドのコレクションや、さまざまなイベントなどの演出、映像作品の監督を手がける津田監督ならではの映像世界も、本作の大きな見どころだ。 |
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本作を鑑賞し、「現在の環境下、いままで以上に“個”の在り方や“家族”のカタチが問われていると思います。この作品は関係性などの価値観をアップデートするものだと思いました」と率直な感想を述べている折田。 津田監督は、「僕自身、友人と長い間ルームシェアをしていたり、その後に結婚して子どもができたりと、人生が変化していく中で、友人や妻、子どもや親など、他者との関係性が変わってくる実感があったんです。もちろん生活も変わりますしね。そこで、『これは映画になるな』と思いました。半径1メートルの世界じゃないですけど、そういう映画を作りたかったんです」と、本作の制作に踏み出した当時の想いを語る。 つまり本作は、監督の実体験が投影されているようだ。しかしなぜ、主人公を二人の女性に置き換えたのか。これに関して監督は、「単純に、映画などで女の子同士が喋ったりしている姿を見るのが好きなんです。あとはやはり、物語の中心に立つ二人に自己投影されることになるので、それを男性でやってしまうのは難しいなと感じました。女性同士に置き換えることで、自分の中でもフィクションとして描くことができるかなと。それがたまたま現在のフェミニズムの流れとも重なって、“価値観のアップデート”とおっしゃっていただくことはたしかに多いです。でも僕としては純粋に、『もっと柔軟であっていいんじゃないか』という思いがあります。なので、普遍的な物語ですよね。自分の中にある小さなお話を書いたつもりが、いろいろと共感していただけているようで、大変ありがたいです」と述べている。 |
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津田監督は、主人公を演じた二人へのオファーの理由も明かしている。「まず小春役として、これまでファッション関係のお仕事でお話をする機会があった三吉さんが頭に浮かび、彼女の出演作をチェックしているうちに確信に変わりました。じゃあ彩乃役を誰にするかとなったとき、これは大議論になりまして……。いろんな方の名前が挙がったのですが、誰もがどうにもしっくりこなかったんです。そこで、20代の女性俳優が出演されている映画をいろいろとチェックしました。その結果、阿部さんの存在に気づき、『この子はすごいんじゃないか……!』となりましたね」と、三吉、阿部の出演の経緯を語る監督。このキャストの組み合わせについては折田も激しくうなずいている。
そのほか、主演二人とのやり取りの思い出や、こだわり抜いた衣装、津田監督のキャリアがあるからこそ映し出すことに成功した独特の映像世界の秘密にまで、この対談では迫っている。 |
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『Daughters』
9月18日 金 ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開 https://daughters.tokyo/ |
脚本・監督:津田肇
出演:三吉彩花、阿部純子、黒谷友香、大方斐紗子、鶴見辰吾、大塚寧々
企画:CHAMELEONS INC. 制作プロダクション:and pictures 制作協力:Lat-Lon 配給:イオンエンターテイメント/Atemo
製作:CHAMELEONS INC./and pictures/キングレコード/ワンモア/沖潮開発
©「Daughters」製作委員会