ピーター・バラカン「今の時代にこそ見るべき映画」

フランスの名匠ジャック・オディアールが第68回カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した映画『ディーパンの闘い』が2月12日より全国公開されます。

アキバシアターで本作の試写会が行われ、その上映前に「現代のもっとも大きな問題が移民・難民の問題だ」と語るブロードキャスターのピーター・バラカンさんと、スリランカをはじめ、世界の難民の自立に向けて活動されている、認定NPO法人JENの濱坂都さんによるトークショーを実施。「現代の世界」をリアルに描き出した本作の魅力について話ました。
ディーパンの闘いイベント

ディーパンの闘い 特別試写会
ピーター・バラカンxJEN濱坂都トークイベント

日程: 2月2日
場所アキバシアター
ゲスト:ピーター・バラカン、認定 NPO法人国際NGO「JEN」濱坂都

ディーパン_日本版本作の主人公は、内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに“家族”を装う元兵士のディーパン。辛うじて難民審査を通り抜けた3人は、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着けることになるも、そこで彼らは新たな闘いに巻き込まれることとなる..という物語が展開されます。

いち早く試写を観た方からは「予想外の展開に驚いた」「社会派ドラマかと思ったら、途中から思わぬアクションが始まり、手に汗を握りながら見入ってしまった」「ラストは観る人によって解釈が違うと思うので、観た人同士で語り合いたい」「予想以上のバイオレンス描写に驚いた」といった感想を数多くいただいております。
本作の時代背景として、スリランカでは25年以上にわたる内戦が続き、その危機から逃れるための難民問題があります。

ディーパンの闘いイベント3

バラカンさん:僕はインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(現・インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ)を読んでいたので、そこではスリランカの内戦はかなり報道されていた。だから内戦のことは知っているつもりだったけども、映画で観るとあらためてこういう事が起きていたんだなと分かった。ちょっとした脚色はあるかもしれないけど、身近に感じることができました

とコメント。

濱坂さん:移民というとアフリカの問題が語られることが多いですが、この映画ではスリランカ人という、この映画ではスリランカ人というのが新鮮でした。これは歴史と言うよりも、7年前まで行われていたことを背景としているんです。

ディーパンの闘いイベント2濱坂さん:劇映画なのに、ものすごくリアル。まるでドキュメンタリー映画を観ているような気持ちになった。ここで取り上げられている移民の問題は、世界的にどこでも切実な問題で。この映画はまさにいいタイミングというくらいに、今の時代に合っていますね。

バラカンさん:本作に登場する3人の難民がたどり着くのがフランス・パリの団地なんですが、まさに去年、パリで起こったテロ事件はああいうところで起きたんですね。

濱坂さん:もちろん命を奪うということはあってはならないことですが、なぜ彼らがそういう行為に及ばないといけないのか。本質を見抜いて、2度と起こらないように対策を練らないとどんどん泥沼化していく。ここ数年は特に危険な状態だと感じています。

と、付け加えました、の背景について

ディーパンの闘いイベント1バラカンさん:フランスはずっと、モロッコやチュニジア、アルジェリアといった北アフリカの国々を植民地にしてきました。そして半世紀くらい前にあちこちで内戦があって。そういうのを逃れて、フランスに住み着いた人がたくさんいるが、結局、経済格差が改善されないままに、人生の希望が持てない。そうすると、テロという言葉はあまり使いたくないですが、何かそういったことを企てるようになるんです

と解説。

濱坂さん:移民の二世や三世、フランス人であっても格差社会の下の方でもがいている若者はたくさんいるはずです。それを何とか受け入れる寛容な社会を実現しないと、大変なことになるんじゃないかなと思います。

と訴えました。

ディーパンの闘い

016年2月12日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、大阪ステーションシティシネマほか全国公開

公式 HP: www.dheepan-movie.com

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監督・脚本:ジャック・オディアール
脚本:ノエ・ドブレ、トマ・ビデガン
音楽:ニコラス・ジャー
出演:アントニーターサン・ジェスターサン、カレアスワリ・スリニバサン、ヴァンサン・ロティエ、カラウタヤニ・ヴィナシタンビ

2015年/フランス/フランス語・タミル語/115分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/原題:DHEEPAN/日本語字幕:丸山垂穂 
配給:ロングライド
(c) 2015 – WHY NOT PRODUCTIONS – PAGE 114 – FRANCE 2 CINEMA

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