「STAR CHILD」高木公介＆有元由妃乃＆合アレン インタビュー

今回は、この作品がきっかけとなりキム・ギドク監督作品にも抜擢された合アレンさんをはじめ、高木公介（現・公佑）さん、有元由妃乃さん、主演の３人にお話を聞きました。

堀井監督：東洋心理学では、西洋哲学でいう無意識（末那識）の下に阿頼耶識というものがあるという考え方。いわゆる深層心理というか、宇宙とつながっている世界観ですね。手塚治虫の『火の鳥』の存在みたいな。一方で、この世界は個人の脳内世界なんじゃないかという考え方もある。そんな世界観をエンタテインメントとして描きたかったんです。

というのが、が本作を製作したきっかけだという。その世界観にいち早く呼応したのが、主演の高木公介（現・公佑）さん。

高木さん：もともと、自主製作映画は暗いものが多く、それが足枷になっているのではないか？

と考えていたらしい。映画「ふゆの獣」（2012年公開）での好演により注目された彼は、ここでも自我に追い詰められている男を演じる。しかし、その演技は「ふゆの獣」とは一転、明るく能天気だ。

高木さん：主人公の石井晃は、成功だけを信じて上京してきた前向きなだけの男。そんな男が体験する東京は、思いもよらないことが次々と起こる未知の世界。僕自身、福岡から上京してきたので、その状況には無理なく呼応できました。まさか、ここまでやらされるとは思いませんでした（笑）。もう、右往左往するしかなかったです。

都会の片隅で途方に暮れる晃を拾って育てるヒロイン・多菜子を演じるのが、本作で長編デビューを果たした合アレンさん。この作品が映画祭で上映されたのを機に、キム・ギドク監督の「ＳＴＯＰ」の準主演に抜擢されるなど、現在は世界中の映画監督から注目を集めている。堀井監督の前作であるヒカリエ一周年記念オムニバス映画「ヒカリエイガ」に続いての出演となる。

アレンさん：堀井監督のワークショップに参加したのがきっかけで、映画出演に興味が出ました。ほかの映画監督からは『聞こえない』といわれた声も魅力だといってもらえましたし、自分自身のコンプレックスこそが女優にとっては魅力になるのだなと、自信が持てました。もちろん、ほかのキャストのみなさんも魅力的で、次々と殺人が起こったり、頭が爆発したり、ＵＦＯが飛んできたりと破天荒な作品なのですが、深い人間ドラマになっていると思います。

今回、アレンさんは、堀井監督とともにヨーロッパなどの映画祭にも参加。

アレンさん：一番言われたのは、日本映画の枠にとらわれない作品だということ。ある監督からは『日本は大島渚、今村昌平以来、表現の自由を忘れているのだと思っていたが、この作品には新たな可能性を感じた』といわれました。

本作のもう一人の主人公となる眞名水を演じたのが有元由妃乃さん。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でデビュー作「極私的ランナウェイ」が上映された際、堀井監督から口説かれて出演が決定したそうです。

有元さん：最初、映画の中のヒロインと私が同一人物だと気づかなかったみたいで（笑）。でも、そこが決め手になったのかなと思います。デビュー作では一挙手一投足支持されて演じたのですが、本作は好き放題というか、ありのままの私が追い詰められていく感じで。こんな映画の撮り方もあるのだというのが驚きでした。さらに、出来上がった作品をみると、思っていたのとは違って壮大な世界観で。特に後半20分、それまでは劇団内の恋愛模様を描いた作品だと思っていたのが、一気になんだかわからない世界へと突き落とされます。

デヴィッド・リンチやテリー・ギリアムの作品が好きな人には是非観てほしい作品です。

●「ＳＴＡＲ　ＣＨＩＬＤ」上映情報
日時：２０１６年４月３日（日）１４時３０分～
会場：ユーロライブ
渋谷区円山町１－５　KINOHAUS ２F
料金：当日１５００円　前売り１３００円

同時上映
「東京、吐息、自死」

監督・堀井彩
主演＆撮影　米澤成美、小林郁香、吉田智恵