街の小さな映画館・第6回 深谷シネマこのたび塚本晋也監督によるミニシアターの魅力を伝える動画「街の小さな映画館」企画の第6回として深谷シネマの動画が公開となりました。 深谷シネマは元禄7年より平成16年まで300年の歴史を誇った七ツ梅酒造の跡地で酒蔵を改装した映画館。故・大林宣彦監督が名誉館長をつとめた。また、渋沢栄一の故郷としても知られる深谷市は深谷フィルムコミッションの協力により多くの映画やTVドラマのロケを行っており、『野火』でも野戦病院爆発の大掛かりな仕掛けを必要とするシーンなど、さまざまな重要なシーンが深谷で撮影された。 公開された動画では、多数の映像作品に登場し、普段は古書店や飲食店、ギャラリーなども擁するレトロな七ツ梅酒造跡地を探索。映画書籍の読めるロビーや映写室に残る酒蔵時代のままの柱や梁、2009年閉館のシネ・アミューズでも活躍したフィルム映写機、塚本監督作『斬、』で採用された中嶋建設開発のブーメラン竹とんぼなどが登場する。NPO法人市民シアター・エフの代表で自主上映活動から市民映画館を立ち上げた館長・竹石研二氏のインタビューでは深谷シネマのみに留まらない映画と街と人との未来への展望が語られている。 |
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塚本監督から深谷シネマへのコメント映画「野火」では、フィリピンやハワイ、沖縄での撮影の他、人員を必要とする難しいシーンの多くが深谷で撮影されました。 |
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深谷シネマ埼玉県深谷市深谷町9-12 七ツ梅酒造跡 現在も館長をつとめる竹石研二氏が長い間映画館のなかった深谷の街に「ミニシアターをつくろう!」と50歳のときに脱サラ、仲間を募りNPOを立ち上げる。公共ホールや野外での上映活動から始め、2000年に洋品店の2階空き店舗を借りた仮設の映画館「フクノヤ劇場」が前身。こけら落としの『愛染かつら』には1,150人が詰めかけるなど盛況となるも、建物老朽化のためわずか1年で閉館。その後深谷TMO事業(市街地活性化構想)に採用され、旧さくら銀行の建物を改装し、2002年7月27日「チネ・フェリーチェ」(イタリア語で“幸せな映画館”の意味)の名称で開館。オープニング作品は『山の郵便配達』。半年後、「深谷シネマ」が正式名称に。2010年4月16日に現在の七ツ梅酒造跡地に移転再オープン。酒蔵を改装した映画館である。名誉館長は故・大林宣彦監督。移転初日には大林監督作品『淀川長治物語』『はるか、ノスタルジィ』『あした』の3本を上映。監督も舞台挨拶に駆け付けた。作品選定にはアンケートに寄せられたお客様の声を取り入れ、日曜はじまりで番組が替わる独自のスケジュールを採用。近隣地区のアトリエがボランティアでてがける手描きの垂れ幕や絵看板、地元の採れ立て野菜の直売コーナーなど、地域と人々に密着したまさに「街の小さな映画館」であるが、深谷シネマと竹石氏をパイオニアに各地でコミュニティシネマの立ち上げが続くなど、この場を起点に広がるミニシアターの輪は果てしなく大きい。 【『野火』上映記録】 |