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この度、24歳でこの世を去った20世紀最大のスター、ジェームズ・ディーンと、「LIFE誌」の天才写真家デニス・ストックとの知られざる旅路を描いた、『ディーン、君がいた瞬間(とき)』が、12月19日(土)よりシネスイッチ銀座他全国順次公開となります。
その公開を記念して、主演俳優のデイン・デハーンが大好きで『GINZA』にも映画コラム連載をもつ辛酸なめ子さん、ファッションフォトグラファーとして人気のシトウレイさん、本作のアントン・コービン監督の熱烈なファンである、 元『CUT』副編集長であるライター門間雄介さんが登壇してのトークイベントがおこなわれました。 『ディーン、君がいた瞬間(とき)』公開記念トークショーイベント |
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本作の公開を記念して行われた本イベント。辛酸さん、シトウさん登壇前にはライターの門間さんが本作の監督であるアントン・コービンについて写真家として、ミュージックディレクターとして、そして映画監督としての切り口で解説。
音楽になんとかして関わる仕事がしたいと写真家を目指したというアントン。U2をはじめ、ニルヴァーナなど世界的に有名なアーティストたちに支持されたアントンについて 門間さん:アントンは、被写体にクローズアップしたギミックのない写真で、その人の本質を撮ろうとする写真家。アントンの同世代の写真家の中では鮮烈な存在だったんです。アントンは一環してこういうのしか撮りたくなかったという思いを感じました。 『コントロール』(07)で、映画監督としての名を一気に広めたアントン監督に対し。 門間さん:他作品に比べ、『コントロール』はクオリティとして抜けていたと思ったけど、本作は彼の良さがすごく詰まっている作品だと思う。本作で描かれる写真家として名をはせようとするデニス・ストックの姿や、人と人が触れ合い化学反応のようなものが起こるといった、人と人との関係性においての本質的な部分が彼の写真家キャリアで培ったものとして存分に出ていると思います。 と解説、絶賛しました。 |
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門間さんの作品解説後は、辛酸さんとシトウさんが登場。
辛酸さん:2人の友情が恋愛ともつかない関係性に目が離せませんでした。一緒に旅にでるあたりが恋愛っぽい。はじめ二人が出会った頃、ディーンから”試写をみにきて”とか”俺のバイクの後ろにのらないか”とか誘うんですけど完全にナンパですよね、あれは。 とまさかのBL目線で作品を観てしまったことを激白。 一方のシトウさんは写真家としての視点で作品を観たといい、 シトウさん:私はストリートスナップを撮っているので、出会いから別れまであっさりしているけど、2週間という時間を被写体とみっちり過ごしたことはないので、そういったところにも面白さを感じました。 と写真家としてならではの感想を述べました。 ジェームズ・ディーンについては 辛酸さん:自分の話をするだけして、相手の話はあまり聞かない。急に太鼓を叩き出したり、インタビュー中にヨーヨーをしたりとかなり自由できまぐれな方ですよね。 とそれぞれ冷静に分析するもすかさず 門間さん:あの時代はマーロン・ブラントのようなマッチョイズムな俳優が多い中で、映画の中で涙を流すなど、男性の弱さを体現した第一人者だったんですよ! とすかさずフォローすると、ディーンの役者としての凄さについて納得した様子をみせました。 |
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主演のデイン・デハーンについては、
辛酸さん:独特なアンニュイさがありますよね。顔のほとんどがクマでできているようですし・・・彼のSNSを覗いたら”日曜にスウェットパンツでいられて嬉しい””ハンバーガーを食べ続けたい”といったスターらしからぬゆるい発言ばかりで、そういったところが母性本能をくすぐるのかもしれませんね。高橋ジョージ並みのポマード具合がよかったですね。 シトウさん:ベットシーンがあるんですけど、引きずりこまれるような魅力がある。鋼のカラダを持っていなければこばめないと思いました・・・昔の北野武のような50年代ファッションが今っぽくてメンズファッションとしていいです。 ディーンとストックの関係性について、男性2人で旅行に行くことはあるのか?という辛酸さんからの質問に対し、男二2人でディズニーランドへいったことがあると明かす門間さん。その発言に場内がざわつくも、 辛酸さん:吉祥寺にいくとイケメン2人が歩いているのをよくみますよ。 とフォローにならないフォロー。 デニス・ストックについてはシトウさんが分析。 シトウさん:ストックは構図を決めて撮るものより、自分が予期していないとき、何気ない瞬間を捉える写真の方がよかった。ドキュメンタリーな写真を撮り続けてキャリアとしても成功していますよね。写真家としての方向性を決めかねていたけど、ディーンとの出会いによってその方向がさだまった。そういうことに気づくのは、時間の長さではなく時間の濃さなんでしょうね。 最後に本作について 辛酸さん:男性の友情における仕事との関係性だとか、男性と女性の友情の違いもみてとれて考えさせられる部分がありました。 シトウさん:ストックがディーンとの関係を深めていく内に、疎遠だった自分の息子との関係も徐々にに近づけさせていったように、人と人が関わることで人は成長するし、変われるのかなと感じました。 門間さん:人と人との距離感というところを2人はご覧になったのかもれませんね。 と締めました。 |
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物語・・・ 1955年、アメリカ。マグナム・フォトに所属する、野心溢れる若手写真家デニス・ストックはもっと世界を驚嘆させる写真を撮らなければと焦っていた。 無名の新人俳優ジェームズ・ディーンとパーティで出会ったストックは、彼がスターになることを確信し、LIFE誌に掲載するための密着撮影を持ち掛ける。ディーンを追いかけ、LA、NY、そして彼の故郷のインディアナまで旅するストック。初めは心が通じ合わなかった二人だが、次第に互いの才能に刺激されていく。そして彼らの運命だけでなく時代まで変える写真が、思わぬ形で誕生するのだが──。 『ディーン、君がいた瞬間(とき)』 |
監督:アントン・コービン『コントロール』
製作:イアン・カニング
音楽:オーウェン・パレット『her/世界でひとつの彼女』
出演:デイン・デハーン『スパイダーマン2』、ロバート・パティンソン『トワイライト』シリーズ
ジョエル・エドガートン、ベン・キングズレー、アレッサンドラ・マストロナルディ
原題:LIFE/2015年/カナダ・ドイツ・オーストラリア合作/112分/カラー/シネスコ/5.1chデジタル
字幕翻訳:佐藤恵子
配給:ギャガ