映画情報どっとこむ ralph 《考える人》《地獄の門》で名高い“近代彫刻の父”オーギュスト・ロダン。

没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館の全面協力のもと、『ポネット』の名匠ジャック・ドワイヨンが、カミーユ・クローデルと出会ってからの愛と苦悩に満ちた彼の半生を描いた『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』が11月11日(土)新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほかにて全国公開の運びとなりました。

有名なようで意外と知らない、映画の中にも登場するロダンの彫刻作品。制作秘話をちょっと掘り下げ、知っておくと作品に込められたメッセージが読み取れ、映画をより深く味わえるはず。

ということで、宣伝さんから読めば映画が10倍面白くなること間違いなしの“ロダン・トリビア”が送られてきたのでご紹介!

映画情報どっとこむ ralph ■『地獄の門』(1880~未完)
1880年、国から発注されて制作した装飾美術館のためのモニュメント。「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘文で知られたダンテの『神曲』に材を得て、意気揚々と制作を始めるが、着想は原典を超えて次々と変化しながら膨れ上がり、ついに完成を見ることはなかった。1888年、美術館建設計画は白紙に戻り(その跡地に現在、オルセー美術館が建っている)、ロダンにもさし止め命令が出たが、彼は『地獄の門』を実費で買い取り、生涯にわたって創り続けることになる。現在世界に7つ存在する鋳造の内の1つは、上野の国立西洋美術館で観ることができる。

■『考える人』(1888/『詩人』の名で初の展示)
日本では単体での作品が広く知られているが、もとは『地獄の門』の着想のなかで門の上部中央に置かれる彫像として制作された。当時は、『LePoete(詩人)』と名付けられていた通り、この男はダンテであるという説もあるが、ロダンの構想が、人間たちの織りなす欲望や罪のテーマへと変わっていったという意味では、地獄を見つめて思索しているのは、ロダン自身と考えられている。映画の中で、カミーユはこの作品を「人々は欲望に満ちていてアンモラル」と評している。このセリフは弟子から愛人へと関係の変わっていく彼女の未来を暗示しているが、その先には神経症を患い芸術家としての道も閉ざされてしまう、というさらなる地獄が待ち受けていた。

■『嘆願する女』(1899)
ブロ画廊で開かれた「クローデルとピサロ展」にやって来たロダンは、別れて久しいカミーユが制作した彫刻に目を留める。痛ましい表情で両手を差し伸べ、何かを嘆願している女性像。実はこの『嘆願する女』は、『分別盛り』という群像作品の構成の一部を成してもいる単体の作品で、『分別盛り』は三人の人物による劇的な構成の彫刻で、手を差し伸べた女性のすぐ先には、もう一人の女性に肩を抱かれて連れ去られる男の存在がある。内縁の妻ローズに連れ去られるロダンにすがるカミーユというテーマを造型化したことが見て取れる。創作に救いを求めることで壊れそうな精神をかろうじて支えるカミーユの心情が、この時、ロダンの胸を深く抉っていただろう。

■『バルザック記念像』(1898)
あらゆる階層の人物を90篇の小説の中に描き出し、「人間喜劇」の総題をつけたフランスの文豪オノレ・ド・バルザック。1891年、ロダンは作家の生地トゥールに、顔かたち、体型ともに生き写しのモデルを見つけ、この記念像の習作に着手する。7年間にも及ぶ制作の間に幾つものヴァリエーションが生まれたが、映画の中でも描かれる、これまでの彫刻のイメージを覆すような“驚きの制作方法”によって、ロダンの完成形のイメージは次第に一つの方向に収斂されていく。当時29歳の写真家エドワード・スタイケンが、ロダンの指示で長時間露光による夜間撮影を敢行する美しいシーン。後ろに反り返り、ナイトガウンに包まれた全身から頭の先をのぞかせ、月明かりのなかに浮かび上がる文豪のシルエットは、そそり立った男性シンボルそのものとも言われている。

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映画『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』

は11/11より新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー。

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監督・脚本:ジャック・ドワイヨン 
撮影:クリルトフ・ボーカルヌ 
衣装:パスカリーヌ・シャヴァンヌ 
出演:ヴァンサン・ランドン、イジア・イジュラン、セヴリーヌ・カネル 

2017年/フランス/フランス語/カラー/シネスコ/120分 
配給:松竹=コムストック・グループ 
© Les Films du Lendemain / Shanna Besson

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