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井上明監督インタビュー
A. 未曾有の原発事故を経験した福島県は、原発に代わり再生可能エネルギーを推進することを決めました。特に、太陽光パネルは「復興の象徴」となり県内各地に敷き詰められ、発電能力は全国1位に。“理想”に位置付けた「再エネ先駆けの地」が生まれつつあります。しかし、東日本大震災と原発事故から15年が経過するなか、県内の再エネを取り巻く環境は大きく変わってきました。急拡大したメガソーラーは、景観の悪化など県内各地で軋轢を生み、住民による反対運動だけでなく、行政による規制強化も顕著になってきました。この逆風が強まる“現実”は、原発事故の教訓から“理想”に掲げられた再エネ推進という「針路」に、影を落とし始めています。 玄侑宗久氏は、弊社の夕方のニュース番組で「日々変転する社会で心の持ちようを語るコーナー」を長らく担当してもらうなど縁がありました。また、政府が震災直後に創設した「東日本大震災復興構想会議」のメンバーでもあり、その後も福島復興を見続け、発信を続けられています。そういった経緯から題字を依頼し、自身初という番組名への揮毫となりました。 Q2.本編の中で浪江町谷津田地区の「太陽光パネルに囲まれたお墓参り」の映像は強烈なインパクトを残します。かつて有数の米どころだった水田が“青い海”に変貌した光景を、監督自身が最初に目にした時、どのような感情を抱かれましたか? A. 原発事故で被災した浪江町谷津田地区は、地区住民の賛成によりメガソーラーが建設されました。取材に応じてくれた方々は、寂しさを滲ませつつも「しょうがない」といった諦念のような思いを抱いているように感じました。原発事故で避難を強いられ、難しくなってしまった米作り。稲穂に代わり、日を浴びるようになったメガソーラーの周囲には、普段人影はほとんどありません。このメガソーラーがある光景は、少なくとも2040年までは続くことになっています。いったい、復興とは何なのか―。「太陽光パネルに囲まれた墓参り」を見た後から繰り返し自問してきましたが、未だ答えを出せずにいます。 Q3.「原発事故の発生から15年」という節目を私たちは迎えています。事故直後は「脱原発、これからはクリーンな再エネだ」と誰もが理想を疑わなかったはずです。しかし15年が経った今、その再エネが地域に深い軋轢を生んでいるという皮肉な現実があります。この「15年という歳月がもたらした理想と現実の乖離」について、取材を続けられてきた監督はどのように感じていますでしょうか。 A. いま日本のエネルギー政策は、大きなターニングポイントを迎えているように思います。次世代のエネルギーとされてきた再生可能エネルギーに逆風が吹く一方、脱炭素電源の確保や中東情勢の緊迫化などから原発の存在感が増しています。“理想”と“現実”が乖離する現状は、「福島、日本の現在地」です。これから、どのような針路を歩んでいくことになるとしても、歩みを確かにするためには、現状を知り・理解することが大切になるはずです。その入口としての役割を、議論の入り口となるような役割を、私たちの映画が担えたら嬉しいです。 |
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『劇場版 かげる針路』
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監督:井上明
撮影:「かげる針路」撮影班 題字:玄侑宗久(福聚寺住職)
撮影・編集:小野靖晃 音響効果:新國伸太郎
制作協力:福島映像企画 取材:「かげる針路」取材班
制作:福島テレビ
配給:ギグリーボックス
2025年/日本/95分/G/ドキュメンタリー/カラー
©福島テレビ








