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井上明監督『劇場版 かげる針路』インタビュー到着

『劇場版 かげる針路』
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映画情報どっとこむ ralph

井上明監督インタビュー

 
7月31日(金)に池袋シネマ・ロサほか全国順次公開する『劇場版 かげる針路』。
 
2025年5月の地上波放送(第34回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート)を経て、大きな反響を呼び、「劇場版」として完全にリメイクした福島テレビ初のドキュメンタリーとなっています。
テレビ版では、NPO法人 放送批評懇談会での第63回ギャラクシー賞にて「奨励賞」を受賞し、各メディアからも高い注目を集めています。
『劇場版 かげる針路』
   
この度、井上監督のQ&Aインタビューが到着しましたのでご紹介。
 
井上明監督インタビュー
 
Q1. 本作のタイトル『かげる針路』には、原発事故後に福島が選んだ「再エネ先駆けの地」という針路が、徐々に暗雲に覆われていく危機感が込められていると感じます。このタイトルに決めた決定的な理由や、芥川賞作家・玄侑宗久氏に題字を依頼された経緯を教えてください。

A. 未曾有の原発事故を経験した福島県は、原発に代わり再生可能エネルギーを推進することを決めました。特に、太陽光パネルは「復興の象徴」となり県内各地に敷き詰められ、発電能力は全国1位に。“理想”に位置付けた「再エネ先駆けの地」が生まれつつあります。しかし、東日本大震災と原発事故から15年が経過するなか、県内の再エネを取り巻く環境は大きく変わってきました。急拡大したメガソーラーは、景観の悪化など県内各地で軋轢を生み、住民による反対運動だけでなく、行政による規制強化も顕著になってきました。この逆風が強まる“現実”は、原発事故の教訓から“理想”に掲げられた再エネ推進という「針路」に、影を落とし始めています。
そのような“かげり”が見えるのは 福島だけではないと感じています。国はAI(人工知能)普及によるエネルギー需要の増大などに応えるため、「原発回帰」を鮮明に打ち出しました。過酷な事故を起こした東京電力も原発を再稼働させ、“原子の火”の存在感は今後さらに高まっていくとみられています。事故が起きた福島第一原発では、廃炉作業が難航を極め、完了の道筋が見通せていないにもかかわらず…。原発事故の教訓から“理想”に掲げられた「脱原発」という「針路」にも、かげりがあるのではないでしょうか。
 そのような現状認識から、「かげる針路」というタイトルを採用しました。

玄侑宗久氏は、弊社の夕方のニュース番組で「日々変転する社会で心の持ちようを語るコーナー」を長らく担当してもらうなど縁がありました。また、政府が震災直後に創設した「東日本大震災復興構想会議」のメンバーでもあり、その後も福島復興を見続け、発信を続けられています。そういった経緯から題字を依頼し、自身初という番組名への揮毫となりました。

Q2.本編の中で浪江町谷津田地区の「太陽光パネルに囲まれたお墓参り」の映像は強烈なインパクトを残します。かつて有数の米どころだった水田が“青い海”に変貌した光景を、監督自身が最初に目にした時、どのような感情を抱かれましたか?

A.  原発事故で被災した浪江町谷津田地区は、地区住民の賛成によりメガソーラーが建設されました。取材に応じてくれた方々は、寂しさを滲ませつつも「しょうがない」といった諦念のような思いを抱いているように感じました。原発事故で避難を強いられ、難しくなってしまった米作り。稲穂に代わり、日を浴びるようになったメガソーラーの周囲には、普段人影はほとんどありません。このメガソーラーがある光景は、少なくとも2040年までは続くことになっています。いったい、復興とは何なのか―。「太陽光パネルに囲まれた墓参り」を見た後から繰り返し自問してきましたが、未だ答えを出せずにいます。

Q3.「原発事故の発生から15年」という節目を私たちは迎えています。事故直後は「脱原発、これからはクリーンな再エネだ」と誰もが理想を疑わなかったはずです。しかし15年が経った今、その再エネが地域に深い軋轢を生んでいるという皮肉な現実があります。この「15年という歳月がもたらした理想と現実の乖離」について、取材を続けられてきた監督はどのように感じていますでしょうか。

A.  いま日本のエネルギー政策は、大きなターニングポイントを迎えているように思います。次世代のエネルギーとされてきた再生可能エネルギーに逆風が吹く一方、脱炭素電源の確保や中東情勢の緊迫化などから原発の存在感が増しています。“理想”と“現実”が乖離する現状は、「福島、日本の現在地」です。これから、どのような針路を歩んでいくことになるとしても、歩みを確かにするためには、現状を知り・理解することが大切になるはずです。その入口としての役割を、議論の入り口となるような役割を、私たちの映画が担えたら嬉しいです。
 

映画情報どっとこむ ralph

『劇場版 かげる針路』

 
2026年7月31日(金) 池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
 
公式HP:
https://kagerusinro-movie.com
 
公式X:
https://x.com/kageru_movie
 
世界最悪レベルの原発事故を経験した福島県は“脱原発”に舵を切り、再エネを推進してきた。メガソーラー
が急拡大し、各地で山が削られた。手抜き工事や景観の悪化による軋轢も顕在化し、再エネへの“逆風”が強
まっている。一方、国は事故を起こした福島第一原発の廃炉完了の絵姿が未だ見えないなか、エネルギー政策
の方針を転換し“原発回帰”を鮮明に。再稼働に向けた動きが強まっている。
いま岐路を迎えた福島・日本のエネルギー政策に… 私たちの針路に… “かげり”はないだろうか?
 
『かげる針路』

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監督:井上明
撮影:「かげる針路」撮影班 題字:玄侑宗久(福聚寺住職)
撮影・編集:小野靖晃 音響効果:新國伸太郎
制作協力:福島映像企画 取材:「かげる針路」取材班
制作:福島テレビ
配給:ギグリーボックス
2025年/日本/95分/G/ドキュメンタリー/カラー
©福島テレビ

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