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公開記念トークイベント
映像制作集団分福の新鋭:孫 明雅監督の長編デビュー作『トロフィー』が現在全国公開中です。
自身も朝鮮学校に通っていた在日コリアン3世であり、本作が長編映画初監督作品となる。自らの経験と感情を起点に、いまの時代を生きる在日コリアンの、そしてその家族の中での葛藤を、みずみずしく、繊細な筆致で描き出しています。
この度、7月16日(火)に、孫明雅監督 × 李相日監督での公開記念トークイベントを実施しました!

公開記念トークイベント
日付:7月16日(火)
場所:テアトル新宿
登壇:孫明雅監督、李相日監督
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孫明雅監督、李相日監督
先週公開を迎えた本作は、作品をより深く楽しんでもらうため、全国各地の劇場でさまざまなイベントを実施中。イベント第1弾には井筒和幸監督、第2弾に元・東京国際映画祭ディレクターの矢田部吉彦氏を招いた舞台挨拶を行ったが、第3弾となるこの日は、『国宝』『フラガール』を手掛けた李相日監督をゲストに迎えたトークイベントが開催された。
当日はチケット完売となった会場に上映後、自然と拍手が沸き起こった。そんな温まった会場に孫監督と李監督が登場すると、「メッシすごかったですね」と時事ネタを交えた軽妙な挨拶で会場を和ませ、「武力でぶつかり合いが起こると、こうして長く遺恨を残すものなんだなと感じながら二度寝しました」と続け、笑いを誘った。
まず、本作を鑑賞した感想を聞かれた李監督は、「堂々たる初監督作品ですね」と開口一番に絶賛!

「僕自身もデビュー作『青〜chong〜』では自分のルーツを題材に映画を撮りました。ただ、その時代に比べると、これだけきちんとプロのスタッフや俳優たちとともに、第1作目から構えの立派な映画を作られたことに驚きました」とコメント。
さらに、「在日映画という括りにはしたくないのですが、これまで在日を描いた作品には、怒鳴り合いや暴力が描かれるものも多かった。しかし、本作はそうしたものとは一線を画している。今の空気感の中で、在日コリアンが社会に自然に溶け込んで生きていることを、さらっと見せてくれる堂々たる作品でした」と太鼓判を押した。
また、劇中にも登場する「国に帰れ」といった言葉にも触れ、「昨今、何かあると『反日だ』『国へ帰れ』と言われることがある。そういった言葉に対する一つの返答を見せてくれた作品のようにも感じました」と語った。
これを受け、孫監督は「『日本が嫌なら朝鮮に帰ればいいじゃん』というセリフは、実は自分自身が親に向けて言っていた言葉でもありましたし、日本の友人から投げかけられた言葉でもありました」と自身の経験を明かし

「矛盾ばかりの中で生きてきたこともあって、アイデンティティの葛藤やモヤモヤした気持ちをずっと抱えていました。でも、この映画を作ったことで、自分の中でひとつ区切りをつけることができたと思っています」と、作品に込めた思いを語った。
本作では、主人公ソヒのアイデンティティを象徴するものとして朝鮮舞踊が重要な役割を果たしている。自分のルーツを描く上で、文化的要素を使うことを
李監督は、「なぜ暴力として表出してしまうのか。それは、社会の中で攻撃されていると感じたり、強くなければいけないと思ってきた歴史の現れなのかもしれない」と話しつつ、「この映画では、それをセリフや芝居で声高に叫ぶのではなく、舞踊という文化の中に込めている。根無し草のように見えても、たんぽぽのようにどこかで根を張って生きていく、そんな思いが込められているように感じました」と語った。
孫監督も、「ソヒにとって舞踊はアイデンティティそのもの。舞踊を否定されて踊れなくなり、父を理解していく中で再び踊れるようになる。文化や芸能は、アイデンティティの揺らぎを表現しやすいと思い、舞踊を選びました」と説明した。
ラストを飾る舞踊シーンについては、「実際の共演大会では6分ほどの演目なんです。全部見せるのか、短くするのか、かなり悩みました」と制作過程を振り返る。その際に参考にした作品として挙げたのが李監督の『フラガール』だったという。「ラストの舞踊シーンの尺を測ったりしながら参考にしました。最初は6分で作っていたんですが、やはり長いと思って1分短くしたんです」と明かした。これに対し李監督は、「観客は舞踊そのものを見ているわけではないと思うんです。ここまでキャラクターを追いかけてきているからこそ、舞踊を見ながら、その人物が歩んできた道や、お父さんやお母さんの思いまで見ている。だから、ただの6分間ではないんです」と分析した。

話題は、主人公ソヒを演じた恒那へ。李監督から「どうやって見つけたんですか?」と問われると、孫監督は「オーディションですね。入ってきた瞬間に『この子を撮りたい!』と思ったんです」と即答。「写真もプリクラも嫌いで、自意識がまったくない。それがすごく良かったんです。カメラがないかのように芝居をしてくれるんですよね」と、その魅力を語った。李監督も「本当に自然体でしたね。その空気感に周囲の俳優たちも巻き込まれて、自然さが伝播していくように見えました」と絶賛。恒那は約1年をかけて朝鮮舞踊を猛特訓し、さらにハングルもゼロから習得し本作に挑んだ。
また、ラストの舞踊シーンの撮影方法について話が及ぶと、李監督は「僕は実は、歌舞伎の映画を撮っているんですが、、」とジョークを交えながら『国宝』を引き合いに出し「舞台と観客席の間には一本の線がある。カメラがその線を越えるかどうかで、映画の意味が変わってくる」とコメント。本作では、その線を越えない撮影が選ばれている。孫監督は、「これは撮影の山崎裕さんの提案でした。私自身もずっと迷っていたんですが、親の目線、観客の目線で見せるのかという選択もあり、山崎さんの考えを信じました」と明かす。李監督も「あの判断は本当に良かったですよね。すごく納得させられました。ちなみに『国宝』はガンガン越えていきますが、あれは演じている側の目線なんです」と会場を沸かせた。本作の撮影を担当したのは、是枝裕和監督や西川美和監督作品でも知られる85歳のレジェンドカメラマン・山崎裕。孫監督は「山崎さんがいることで現場が本当に楽しかった。みんな山崎さんが大好きでした」と振り返り、李監督も「カメラマンと監督がギスギスすると現場は本当に辛いですからね」と笑いを誘った。
さらに李監督は、孫監督の演出にも言及。ソヒが父・サンジュの勲章を売ってしまうエピソードについて「僕は、サンジュ本人がどう語るのかと思いながら見ていたんですが、その説明をきたろうさん演じる友人の親に語らせていた。その構成が本当に上手いと思いました」と評価した。孫監督は、「是枝裕和監督から『言いたいことを本人に直接語らせるな』と教わってきたんです。いかに間接的に伝えるかということは、ずっと教え込まれてきました」と、師から受けた影響についても語った。

イベント後半では、孫監督から李監督への質問も。「映画の準備をしていた時、『国宝』が大ヒットしていました。自分が真正面から在日の話をするより、李監督の作品が多くの人に届くことの方が、差別をなくすことにつながるのではないかと思ったんです」と切り出し、「子どもの頃、浴衣を着るなと言われて育ったこともあり、歌舞伎や着物といった日本文化に触手が伸びなかった」と明かした。これに対し李監督は、「『青〜chong〜』を撮った時、学校の先生に『誰でも一生に一度はいい作品を作れる。それは自分のルーツを描いた作品だ』と言われたんです」と振り返る。一方で、「作品を撮り終えた時に、30年は、在日の映画はやらないと決めました。在日監督ではなく、映画監督になりたかったからです」と告白。『国宝』については、「最初の入り口は歌舞伎という伝統文化ではなく、女形という存在そのものでした。女形の生き方やあり方に惹かれたんです。歌舞伎をたくさん見ていたわけではありません。女形に惹かれて、その先に歌舞伎の世界が広がっていったんです」と語った。
イベントの最後に李監督は、「親戚だからとか、在日というテーマだから応援しているわけではありません(笑)純粋に映画として素晴らしい作品です。この世代の難しい瞬間を自然体で切り取っている。これからが本当に楽しみな監督が現れたと思います」とエールを送った。

孫監督も、「高校生の時に『フラガール』を映画館で観て、大学時代には李監督の『悪人』を観て、その体験が映画業界に入るきっかけの一つになりました。これからも背中を追い続けたいと思います」と感謝を述べ、イベントは締めくくられた。
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イベント予定
▪️7月16日(木)
【企画】孫明雅監督&李相日監督 トーク付き上映
【時間】18:10回 上映後トーク(上映は『トロフィー』のみとなります)
【場所】テアトル新宿
【登壇】孫明雅監督、李相日監督
※チケット完売
https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/topics/
▪️7月17日(金)
【企画】孫明雅監督 ティーチイン付き上映・パンフレットサイン会
【時間】16:20の回 上映後ティーチイン・サイン会
【場所】キネマ旬報シアター
【登壇】孫明雅監督
※パンフレットの販売数には限りがございます。
※チケット販売
https://kinejun-theater.com/showing/69fa9c852e176254759c9716
▪️7月18日(土)
【企画】『トロフィー』『夢のつづき』併映・孫明雅監督×菅井友香さんトーク付き上映
【時間】14:00回 上映後トーク(『夢のつづき』『トロフィー』の順に上映予定)
【場所】丸の内ピカデリー ピカデリー2
【登壇】孫明雅監督(『トロフィー』『夢のつづき』監督)、菅井友香(『夢のつづき』主演)
※チケット販売中!(残りわずか)
https://www.smt-cinema.com/site/marunouchi/index.html
▪️7月19日(日)
【企画】孫明雅監督 ティーチイン付き上映・パンフレットサイン会
【時間】13:50回 上映後ティーチイン・サイン会
【場所】ミリオン座
【登壇】孫明雅監督
※パンフレットの販売数には限りがございます。
※チケット販売
https://eiga.starcat.co.jp/schedule/detail/?thumbnail=12322
▪️7月22日(水)
【企画】孫明雅監督&松本壮史監督 トーク付き上映
【時間】18:30回 上映後トーク
【場所】アップリンク吉祥寺
【登壇】孫明雅監督、松本壮史監督
※チケット販売
https://joji.uplink.co.jp/movie/2026/31672
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『トロフィー』
K-POPアイドルのライブにいくためにソヒが売ったのは父が大切にしていた、祖国・北朝鮮の勲章だった——。
7月10日(金)全国公開中
Introduction
在日コリアンのひとつの〈今〉を描いたオリジナルストーリー
近くても分かり合えない父との関係、朝鮮舞踊に対する社会からの視線。そして思春期ならではの未熟さ。
家族、友達、そして朝鮮舞踊。そのすべての間で揺れながら、少女は少しずつ自分自身の世界を見つけていく。是枝裕和監督や西川美和監督の監督助手を務めてきた新鋭・孫明雅監督の鮮烈な長編デビュー作。監督自身の在日コリアンのルーツを起点にした、波立つ少女の日常と心を美しく繊細な感性で紡ぎ出した映画『トロフィー』が誕生した。
物語・・・
在日コリアンのルーツを持つ14歳の少女・ソヒ(恒那)は、朝鮮学校に通い、部活で朝鮮舞踊に打ち込む日々を送っている。ある日、日本学校との交流会で日本人の未来(梨里花)とK-POP好きという共通点で仲良くなり、ソヒは少しずつ外の世界と繋がりを持っていく。そんな中、ふたりは推しのK-POPアイドルのライブチケット代を稼ぐために、ソヒの家にある不用品をフリマサイトで売ることに。そこで意外にも高値で売れたのは、朝鮮学校の校長である父・サンジュ(井浦新)が持っていた一枚の北朝鮮のCDだった。それに味をしめたソヒたちは、サンジュが祖国・北朝鮮から授与された”勲章”までも売ってしまうー。

監督:孫明雅 Profile
Son Myong A
1989年、大阪出身。在日コリアン3世。
関西大学卒業後、テレビの制作会社に勤務。2017年より分福に所属。
西川美和監督の『すばらしき世界』、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』で監督助手を務めた。
そして初監督作品である短編映画『夢のつづき』がショートショートフィルムフェスティバル&アジア2025秋の国際映画祭で上映された。
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監督・脚本 孫 明雅
恒那 / 梨里花 原田花埜 禾本珠彩 千就 / ちすん 笠松将
ソウジ・アライ 黒田大輔 山中崇 白川和子 YOU きたろう / 市川実和子 / 井浦新
音楽 Yonrimog 撮影 山崎裕 照明 山本浩資 録音 島津未来介
美術 徐賢先 大原清孝 衣裳 小林身和子 メイク 知野香那子
助監督 ⻆屋拓海 中島 将 石井 翔 制作担当 井上純平 キャスティング 田端利江 山下葉子
編集 小原聡子 音楽プロデューサー 本谷侑紀
製作 紀伊宗之 プロデューサー 小出大樹 ラインプロデューサー 村岡伸一郎
製作・配給 K2 Pictures 企画 分福 制作プロダクション K2 Pictures Production ©2026 K2 Pictures
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