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早稲田大学「マスターズ・オブ・シネマ」日本映画では『万引き家族』以来、8年ぶりのオリジナル脚本となります是枝裕和監督最新作『箱の中の羊』が大ヒット上映中です。 この度、多彩な映像制作者たちをゲストに招き、制作にまつわる様々な事柄を語る早稲田大学の人気授業「マスターズ・オブ・シネマ」に、是枝裕和監督がゲスト登壇。 |
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是枝裕和登壇イベントの前半では、事前に学生から募った質問に監督が一問一答形式で答える形で進行した。映画づくりの哲学から、プライベートに至るまで、その質問の幅は多岐にわたった。最初の質問は、本作も出品された「カンヌ国際映画祭」についての話題からスタート。 これまで8度にわたってレッドカーペットを歩いてきた是枝監督も「毎回作品が違うから、慣れるということはない。やはり緊張しますし、新鮮ですよ」と率直な心境を明かした。 世界中の映画祭をまわる是枝監督だが「一番好きな映画祭」はどこなのか。この質問に対し、是枝監督は「サン・セバスティアン国際映画祭ですね」と即答。その理由は「ご飯がおいしいから」と明かし、会場を笑わせると、さらに「もちろんそれだけでなく、三大映画祭(カンヌ・ヴェネツィア・ベルリン)と違って、賞を狙うという空気がなく、リラックスできるんです。取材も入りますが意外に自由時間があって、街をブラブラ散歩していると、他の監督とバッタリ出会ったりする。散歩していても日本とは違う美しい風景に出会えるし、街そのものが好きですね」と返答。 そして海外から帰国して一番食べたいものは、という質問に「おそば」と答えた是枝監督。「赤坂に美味しいおそば屋さんがあって、天ざるが大好きなんです。この前も食べに行こうとしたら、タッチの差で閉まっていて……まだ食べられていないんです」と明かし、会場を沸かせた。 さらに「自身の作品にお風呂や電車がよく出てくることを自覚している?」と指摘された是枝監督は、「意識しているわけではないんですが、ホームドラマを描こうとすると、どうしても“お風呂”と“食事”が大事になってくる。そこを描かずにホームドラマを作る方がかえって難しい。電車がよく出てくるのは、“車”を描くのが難しいから。それは車のない家で育ったからかもしれませんが、移動手段といえばやはり電車になりますね」と明かした。 一方で、脚本に関しては「やはり坂元裕二さんに書いてもらった時(映画『怪物』)のように、自分には書けないものを書いてもらうのは本当に楽しい作業。僕なら絶対に書かないセリフがあるのでそれは楽しいですね」と語るなど、柔軟な姿勢を見せるひと幕も。 またキャスティングに関して、「メインキャストとは撮影前に必ず一度はご飯を食べる?」という質問も。それには「家族になる(キャストの)人たちには、事前にそういう時間を過ごしてもらうので、そこについて行って一緒にご飯を食べることもあります。でも必ずではないですね。やった方が良ければ……という感じですね」とコメントした。 さらに子どもの演出において「子役には台本を渡さずに、口伝えでセリフを伝える」というアプローチ方法が有名な是枝監督だが、「実は最近は台本を渡すようにしていて。やり方を変えつつあります」と明かす。今回の現場でも、「里夢くんはそんなにセリフを覚えてなくて。現場で綾瀬さんや大悟さんと一緒にやって掴んでいくタイプでした。それが良かったんですよね。意外と柔軟にニュアンスを変えられる子だったので。撮っていて面白かったです」と明かした。 続いて授業の中盤では、最新作『箱の中の羊』について深掘りするトークセッションに。是枝作品でしばしば舞台となる「鎌倉」について質問を受けると、「鎌倉になったのはたまたまですよ」と笑う是枝監督。「最初は街を限定せずに制作部に探してもらって。建築家が設計していた自分の家を探してくださいとお願いしたんです。そういうのはけっこう建築雑誌に載っているので。埼玉とか吉祥寺とかいろいろ(ロケハンに)行きましたが、鎌倉はどうですか……となり。最初は、鎌倉で綾瀬さんとなると、どうしても『海街Diary』になってしまうので、どうしようかなと思ったんですけど、行ってみたらもうここしかないかという感じになりました。であるならば、この家を撮りつくそうと。鎌倉という土地もうまく活かせるといいなと思いながら脚本を書きました」と明かした。 また、劇中でヒューマノイドの翔がかぶっていた帽子について「あれはドクターイエローですか? 作品では江ノ電への言及はありましたが、JRへの言及は少なかったように思います。そんな中でイエローの帽子をかぶるというのは何かの意味があるように感じました。そもそもドクターイエローは幸運を運ぶ電車だと言われていますし、何か意図があったのでは?」という指摘も。そのユニークな視点からの質問には是枝監督も思わず笑ってしまいながらも、「あれは単純に翔が黄色が好きというところから選びました。ドクターイエローが幸運を運ぶ色ということですが、そう考えると残酷な話ですね……」と少し考え込むような表情で応じた。 また、大悟の歩く後ろ姿がまるで北野武のようだ、という指摘があった、ということに、「大悟さんはもちろんお芝居も良かったんですけど、ただしゃがんだり、歩いたり、走ったりするところがすごく良くて。踏切のシーンでも、翔を先に歩かせて、後ろからついていくというところがあったんですけど、ちょっと足を引きずりながら歩いていく、その背中が本当に良くて。これはずっと見てられるなと思って。どうやら大悟さんは、武さんにも褒められたことがあるそうで。大悟が歩いているのをずっと撮っていたいと言われたそうです」と振り返った。 翔がヒューマノイドのリーダーから「君たちは人間の過去じゃない、未来だよ」と告げられる一方で、音々からは「あなたの過去の産物」と表現されることについて、「人間の手を離れた先にどのような世界が待ち受けているのか」という視点からの質問も寄せられた。 授業後半には学生との質疑応答が行われ、作品のテーマや創作の背景に迫る質問が相次いだ。 また、人間の姿をしたヒューマノイドを登場させた意図についての質問も寄せられた。これに対し是枝監督は、「ヒューマノイドそのものではなく、ヒューマノイドを求めてしまう人間を描いている」と説明。「人間らしさとは何か」という問いについては、「曖昧さをどれだけ愛せるか」と言及し、人間ではない存在が現れたときにこそ、人間らしさについて観客とともに考えたいという思いを明かした。 学生たちは、監督の言葉に熱心に耳を傾けていた。創作の裏側にある思考のプロセスから作品に込めた問いまで、率直な言葉で語られた今回の特別講義。答えを提示するのではなく、観客それぞれに問いを託す――そんな是枝監督の創作哲学に触れた時間は、『箱の中の羊』が投げかけるテーマについて改めて考える貴重な機会となった。 |
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『箱の中の羊』大ヒット上映中! 公式サイト: 公式X: 公式instagram: 現代社会やそこに生きる人々を鋭く温かい眼差しで描き作品を作り上げてきた是枝監督が、最新作『箱の中の羊』で選んだ舞台は、“少し先の未来”。息子を亡くした夫婦はヒューマノイドを迎え入れ、再び家族としての時間が動き出します。やがて一家を待ち受ける、想像を超えた<未来>とは。 物語・・・ |
出演:綾瀬はるか 大悟(千鳥)
桒木里夢 清野菜名 寛一郎
柊木陽太 角田晃広 野呂佳代 星野真里 中島歩
余貴美子 田中泯
監督・脚本・編集: 是枝裕和
音楽:坂東祐大
製作: フジテレビジョン ギャガ 東宝 AOI Pro.
制作プロダクション:AOI Pro.
配給:東宝 ギャガ
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