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トーク付き試写会イベント
フリーヌル・パルマソン監督による最新作『きれっぱしの愛』が7月3日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国順次公開となります。

19世紀のアイスランドを舞台に、若き牧師の布教の旅を壮大なスケールで描き、多くの映画ファンを魅了した『ゴッドランド/GODLAND』。いま最も注目を集めるアイスランドの気鋭監督フリーヌル・パルマソンが最新作で描くのは、片田舎に暮らす、ごく普通の家族のささやかな日常。大きな事件は起こらない。移りゆく四季とともに、ときにブラックに、シュールに、ユーモラスに紡がれる日常のスケッチが映し出すのは、変わりゆく夫婦、家族、そして失われてもなお残る愛の行方――。監督の実子たちと愛犬パンダが家族役として出演。私的でありながら、豊かな陰影に満ちたビターでスウィートな家族劇。第78回カンヌ国際映画祭への正式出品を経て、第98回アカデミー賞®アイスランド代表作としても選出された注目作がついに日本公開を迎える。
6月8日(月)、日本公開が約1か月後に迫った本作の最速試写会を開催。映画の上映後には北欧ジャーナリスト・エッセイストとして活躍する森百合子さんと映画ジャーナリストの立田敦子さんが登壇しトークイベントを実施した。

トーク付き試写会イベント
日付:6月8日(月)
登壇:森百合子、立田敦子
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森百合子、立田敦子登壇
“パルマソン監督のファン”と語る森さんは、本作について「この監督の作品でこんなに笑うとは思わなかった」と絶賛の言葉を口にした。「過去作の『ゴッドランド/GODLAND』や『ホワイト、ホワイト・デイ』など、難しいテーマを描く人だという印象がありましたが、本作はすごく明るくて爽やかで笑えて、とても意外な作風でした」と作風の変化に驚きつつも楽しんだことを語った。離婚した元夫婦とその家族たちの日常を描く本作に関して森さんは、「北欧の作品では夫婦が離婚しているという設定はよくあるように思います。そして離婚を決めた大人たちが、あまり子どものために無理をしないというか、その決断は自分に正直に生きるための選択だと捉えられています。そして子どもたちはとばっちりを受けつつも、強くたくましく大人の選択を尊重してくれるという関係性が多いですね」と北欧の家族の在り方について解説。

立田さんはパルマソン監督ならではの映画制作システムに触れ「ほとんどの映画は制作が決まってから撮影に入りますが、この映画はパルマソン監督が日常的にカメラを回して撮り溜めていた映像を多用しているんですね。四季の移ろいを2年ぐらいかけて捉えていたり、冒頭の家が解体されていく印象的なシーンは10年前に撮影していた素材だと聞きました。また本作のテーマは“監督の身の回りを映す”ということだったようで、登場人物の子どもたちと犬のパンダは実際に監督の実子と愛犬。彼らの成長を映像で目にすることができるのも面白い点です」と他とは違う映画の見どころについて語った。
アイスランドの大自然が目にも楽しい映画である本作について立田さんは「彼らのスローライフともいえる生活が羨ましいほど魅力的。キノコ狩りやベリー摘み、そして動物たちとも自然に触れ合っているライフスタイルが素敵でした」と口にすると森さんは「あれはとても北欧らしい風景です。日本の都会にいると、いちご狩りに行くといったことはスペシャルなアクティビティだと思われがちですが、北欧では自然が身近な暮らしをしているので、当たり前のことなんです。映画に登場したキノコ狩りのための特別なナイフや、ベリーを積む器具なども普通にスーパーに売っています」と北欧ならではのライフスタイルを教えてくれた。
また北欧の日常を捉えながらも、時折マジックリアリズム的な映像表現が取り入れられていることについて森さんは「アイスランドでは精霊や妖精を信じている人たちが多く、そういうものを信じている人たちを受け入れてくれる社会構造があります。それはおそらく、自然に根付いた生活の中で自然を尊重する思いから来ているんだと考えています。だから日常風景の中に突然非現実的な表現を入れることについては、制作者にとっても自然な表現方法であり、観客も違和感なく受け入れられるのではないかと思っています」と説明した。
また北欧独特のユーモアについても話が及び、立田さんが「面白いんだけど、笑っていいのか少し戸惑うようなユーモアですよね」と感想を語ると、森さんは「これも先ほどのマジックリアリズムと通ずるような、おとぎ話のようなオチの付け方といいますか、それがすこしブラックなんですけれど北欧らしいなと思います。私も北欧の人々と触れ合う中で、彼らが真顔で冗談をいう場面をよく目にします。表情を変えないので大変分かりにくいんですが(笑)、あとから『あれは冗談だっのか』と気付くという体験をよくします」と笑った。
長年パルマソン監督作品を追ってきた森さんは、監督が描くジェンダー格差についても注目していると語る。「過去作から見ても監督はずっと“男らしさの弊害”を描いてきたと思っています。アイスランドは16年連続ジェンダーギャップ指数第1位を獲得している国ですが、登場人物である元夫のマグヌスのようにアップデートできていない男性ももちろんもいるんです。彼は漁船で働いていますが、男社会が残っている世界なので“男らしさ”が大事だと感じている。対して元嫁アンナの職業は芸術家でマグヌスとは正反対の前進的な世界にいる人。これまでは男性を主人公にそのようなテーマを描いてきましたが、今回は女性を主人公にたててジェンダーの意識の対比を見せていてとても面白いなと思いました」と語り、“ジェンダー平等”を謳っている北欧の国でも実際には深いギャップがあることを強調した。
最後に、北欧映画特有の光の捉え方について森さんは「北欧は緯度が高いので、太陽の昇る位置が日本とは違い、その地でしか見ることができない光を写していると思います。このシーンは夕方七日夜なのか、真っ暗ではないけど薄闇みたいな光が残っているとか、そんな北欧の光を楽しめるのも本作の魅力だと思うので、ぜひ2度3度楽しんでみてください」と繰り返し楽しむ鑑賞方法を伝授し、トークイベントは終了した。
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『きれっぱしの愛』
7月3日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
公式HP:
@kireppashi_ai_NOROSHI/
公式X:
https://x.com/noroshi_gaga
北欧・アイスランドの田舎町。
芸術家のアンナは、しっかり者の長女イダ、わんぱくでいたずら好きな双子グリムールとソルギス、そして愛犬パンダと暮らしながら、芸術家としての道を模索していた。若くして結婚したものの、今や<もう夫婦ではなくなった>はずの元夫マグヌスは、いまだに情を断ち切れず、何かと理由をつけては家を訪ね、食卓を囲み、ピクニックにまで付き合う始末。気がつけば、まるで<まだ家族>であるかのような日常を再び送るようになるが――。
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監督・脚本:フリーヌル・パルマソン 『ゴッドランド/GODLAND』
出演: サーガ・ガルザルスドッティル、スベリル・グドナソン
配給:NOROSHI、ギャガ/原題:Ástin sem eftir er(英題:The Love That Remains)/2025年/アイスランド、デンマーク、スウェーデン、フランス/カラー/ビスタ/5.1ch/109分/字幕翻訳:松岡葉子/G
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