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犬童一心監督が活弁シネマ倶楽部に初登場

『ジョゼと虎と魚たち』や『メゾン・ド・ヒミコ』などの犬童一心監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に初登場。最新作である『名付けようのない踊り』について、映画評論家の森直人を前に語りました。
犬童一心監督x活弁シネマ倶楽部
本作は、表現者・田中泯の存在に迫ったドキュメンタリー。
「俳優」として広く認知されている田中だが、彼の表現活動の根底にあるのは常に「ダンス」だ。1966年からソロでのダンス活動を開始し、1978年にパリ秋芸術祭で海外デビュー。これをきっかけとして、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現してきた。彼のダンスの公演歴は、現在までに3000回を超えている。やがて、映画『たそがれ清兵衛』から始まった映像作品への出演も積み重なり、これまでのフィルモグラフィーには、日本のみならず海外作品に至るまで、多彩な作品群が並んでいる。この映画は、『メゾン・ド・ヒミコ』への出演オファーを機に親交を重ねてきた犬童監督が、2017年8月から2019年11月まで、国内外を巡りながら田中の踊りに密着したものです。

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犬童一心監督x森直人トーク

トークは、犬童監督が田中との出会いを振り返るところからスタート。
犬童一心監督x活弁シネマ倶楽部「泯さんを『メゾン・ド・ヒミコ』にキャスティングするときに、ダンサーだということを知らないでキャスティングしたんです。それでご一緒した際、演技の質感のようなものが他の方々とまったく違うので、魅入っちゃうんですよね。そこで、ダンスをやられていることを知りました。それから、彼のダンスを観に行くようになりました」

さらに犬童監督は続ける。自身が脚本家として参加した映画『黄泉がえり』がアカデミー賞に選ばれ、授賞式に参加した際に田中と初めて会ったのだという。「にぎやかな会場の中で、一人だけ異質な方がいて。思わず目が留まっちゃうんですよね。その周囲には日本を代表する俳優の方々がいましたが、全然目に入らないんです。質の問題です。ちょうどこのとき、『メゾン・ド・ヒミコ』のキャスティングを進めていました。探していた役には、上手い俳優を求めていたわけではありません。それだとアンサンブルになってしまうので、とにかく異質な存在感を持つ方を探していたんです」と、田中との初対面時の印象と、彼に惹かれた理由を述べている。犬童一心監督x活弁シネマ倶楽部

「アカデミー賞授賞式の会場内とはいえ、見たことがなかったので、最初は伝説的なプロデューサーの方かと思いました。そしたらそこで、彼の名前が呼ばれたんですよね。『たそがれ清兵衛』の出演者として」と続ける監督。これに森は、「それ、すごく面白いですね。『たそがれ清兵衛』は観ていたんですよね。なのに、一致しなかったんですね」と、田中の持つ特異な存在感について、それぞれが持つ印象を語り合う。こうして犬童監督は、田中泯という存在、そして彼のダンスの世界に魅せられていったようだ。

「本作の制作のはじまりは、泯さんからポルトガルへの同行の誘いがあったことからなんですよね?」と森が口にすると、「ただポルトガルに一緒に行くお誘いをいただいただけなので、観光ですね。ヴェンダースの『ことの次第』の舞台がポルトガルの海岸線で、行ってみたいなと思ったんです。それで渡航の日が近づいてきて、泯さんに詳細を聞くと、『アートフェスティバルでも踊るけど、“場踊り”もする』と言うんです。フェスティバル中に好きな場所で、勝手に踊ると。これは撮らないともったいないなと思ったんです」と、ダンサー・田中泯にカメラを向けるに至った経緯を明かす。「ただ僕は泯さんの踊りをずっと観てきて、泯さん本人もそうなんですが、『簡単に撮ってもダメ』ということを分かっていました。例えば手頃なカメラで撮るのではダメだということ。ちゃんと映像の質も確かな機材を用意して、対象をきちんと撮れる人間と組まないと、結局は使い物にならない。だから機材をちゃんと用意して、カメラマンらと向かいました」と、この映画の完全なるスタート時のことを振り返っている。
犬童一心監督x活弁シネマ倶楽部
このトークでは、ダンサーとしての田中泯や、俳優としての田中泯だけでなく、田中泯という存在そのものにも肉薄。その魅力を語り尽くしている。制作の裏側や、他の映画の現場での田中に関する裏話、犬童監督の「ドキュメンタリーを撮るという気持ちはないのかもしれないですね」という発言も興味深い。田中泯の秘密に迫る『名付けようのない踊り』にあわせて、この収録回も必見だ。

映画情報どっとこむ ralph ■活弁シネマ倶楽部■

活弁シネマ倶楽部 公式HP:
https://katsuben-cinema.com/
活弁シネマ倶楽部 公式ツイッター:
@katsuben_cinema
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映画『名付けようのない踊り』

ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿バルト9、Bunkamura ル・シネマ他にて
絶賛上映中

公式サイト:
@unnameable-dance/

公式Twitter・Instagram:
@unnameabledance

名付けようのない踊り
1978年にパリデビューを果たし、世界中のアーティストと数々のコラボレーションを実現、そのダンスの公演歴は現在までに3000回を超える田中泯。映画『たそがれ清兵衛』(02)から始まった映像作品への出演も、ハリウッドからアジアまで広がっている。そんな独自の存在であり続ける田中泯のダンスを、『メゾン・ド・ヒミコ』(05)への出演オファーをきっかけに親交を重ねてきた犬童一心監督が、ポルトガル、パリ、東京、福島、広島、愛媛などを巡りながら撮影した。同じ踊りはなく、どのジャンルにも属さない田中泯のダンスを、息がかかるほど間近に感じながら、見るものの五感を研ぎ澄ます――そんな新たな映像体験を味わって欲しい。名付けようのない踊りポスター

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田中泯
石原淋 / 中村達也 大友良英 ライコー・フェリックス / 松岡正剛
脚本・監督:犬童一心
エグゼクティブプロデューサー:犬童一心 和田佳恵 山本正典 久保田修 西川新 吉岡俊昭 プロデューサー:江川智 犬童みのり
アニメーション:山村浩二 音楽: 上野耕路 音響監督:ZAKYUMIKO 撮影:清久素延 池内義浩 池田直矢 編集:山田佑介
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 協賛:東京造形大学 アクティオ
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ 制作プロダクション:スカイドラム
製作:「名付けようのない踊り」製作委員会(スカイドラム テレビ東京 グランマーブル C&Iエンタテインメント 山梨日日新聞社 山梨放送)
2021/日本/114分/5.1ch/アメリカンビスタ/カラー/G
© 2021「名付けようのない踊り」製作委員会
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