映画情報どっとこむ ralph 標高4,800メートルの地にあるブータンの秘境ルナナ村に都会から赴任した若き教師と村の人たちや子どもたちの心の交流を描き、各国の映画祭で絶賛され、第93回アカデミー賞国際長編映画賞ブータン代表に選出された感動作『ブータン 山の教室』がいよいよ4月3日(土)より、岩波ホール他にて全国順次公開となりました。

この度日本公開に先駆け、3月30日(火)、ブータン留学生の受け入れなど長年ブータンとの交流を続けている星槎グループの全国にある学校にて、オンライン教室試写会と題した本作の特別先行上映を実施!

北は北海道から南は沖縄まで、それぞれの教室にて中学生など生徒たち、先生、関係者そしてブータンからの留学生など幅広い年代の参加者が本作をオンラインで鑑賞後、本作のパオ・チョニン・ドルジ監督とともにオンライン上でティーチインを行いました。
ブータン 山の教室_星槎八王子でのティーチイン (2)
オンライン教室試写会と特別先行上映
日付:3月30日(火)
場所:星槎国際八王子&星槎グループの全国にある学校
オンラインゲスト:パオ・チョニン・ドルジ監督

映画情報どっとこむ ralph この日の試写を前に、前日にはブータンから来日し職員として働いているジミーさんから事前レクチャーを受けたそうで、生徒たちは一様に真剣な表情で本作を鑑賞。その後、ブータンの伝統衣装「ゴ」を着て登場したパオ監督を大きな拍手で迎え、オンラインでティーチイン開始。 冒頭、パオ監督は「このような素敵なイベントを企画してくれた皆様に御礼を申し上げたいです。日本は私に色々な刺激を与えてくれた国です。ですので、私の映画をこのように迎えてくれ、また日本で公開されることは本当に光栄に思っています」と挨拶。

今回、陸上や柔道の選手としてブータンから来日した留学生も本作を初めて鑑賞し、「この映画をみて泣きそうになりました。本当によかったです」と流暢な日本語で答える学生も。星槎高校の生徒からは「ブータンではどのような生活をしていて、学校でどのような授業を受けているのか色々知れてよかった。さらにもっとブータンのことを知り、日本とうまくつながっていければよいなと思いました」という感想や、「教育の原点をみせてくれたと思います」という年配の参加者、さらに「とてもおもしろかった!この映画をみて、すぐにブータンに行きたくなった」という生徒など様々な感想が語られた。
ブータン 山の教室_オンライン参加中の監督キャプチャー
パオ監督は「映画は観客から認められることが重要だと思っています。そして観てもらってはじめて完成するものだと。観客の皆さんの言葉がアーティストを鼓舞し、もっと作りたいという気持ちにさせてくれますね!」と嬉しそうに受け、「この映画の舞台ルナナ村は、ブータンでも一番辺鄙な土地で電気も通っていないため、100%太陽電池を使って作った作品です。それがこうやって世界中の人たちと映画を通して繋がれたことが本当に素晴らしいことだと思っています。“自分の居場所を探す”という人間の普遍的な気持ちを描いているから、色々な国の方に理解してもらえるのでしょう」と続けた。

そして、生徒からルナナ村に実際行ったときの様子を聞かれたパオ監督は「ブータン人は強くて丈夫だと思っていたが、撮影隊の多くが高山病にかかってしまい働けなくなった」という過酷な裏話も披露しながら、劇中も語られる地球温暖化の状況を説明し、「氷河が解けて洪水を起こし、村人が亡くなったこともあり、ルナナの人たちはそれを恐れているんです」という話には生徒たちも熱心に耳を傾けていた。

そしてオンライン上ではあるが日本の学校との貴重なやりとりを受け、「この映画は、教育や学校について、また自分の幸せや自分の居場所を探すことについて描いています。そしてこの映画の中で一番大切な要素というのは、文化を保存することの大切さだと思っています」と語るパオ監督。そして「私は日本で上映されることが特に嬉しいんです。なぜならこの映画のインスピレーションのもとになっている一つが、谷崎潤一郎さんなんです」と意外な言葉を続け、「谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読んで、東洋の伝統や文化を保存することの大切さを知りました。東洋的な文化には、影の中、あるいは暗闇の中に生き、その中から学ぶものがある、と。一方、西洋的な文化は、常にものを光で照らそうとしている。つまり谷崎潤一郎の考えは、暗闇や影を享受し、そこから学ぶことによって、はじめて明るさ、光と言うものを理解できるのだ、ということだと思うのです」と説明。「世界がグローバル化して、この映画の主人公ウゲンのようにブータンの若者は光を求めがちです。本作でいうとオーストラリア・シドニーという現代社会に幸せを求めていますよね。ルナナはブータン語で“暗闇の谷”という意味なのですが、本当に一番遠くの僻地で、グローバリゼーションとは真逆のところです。そこを旅する、つまり暗闇の谷を通ることで自分の文化の大切さを、それを保存することの大切さを初めて知るのです」と話す。そして「オンライン上の画面越しにたくさんの生徒の顔がみえます。今回、ぜひアドバイスを申し上げるとしたら、みなさん、日本あるいはブータンそれぞれの伝統文化というものを大切にしてください。そしてそれを大切にすることが、教育、学校の定義になってくると思います」と強いメッセージを送った。
ブータン 山の教室_星槎八王子でのティーチイン (1)
最後には、パオ監督、参加者とともにブータンの言葉(ゾンカ語)で「カデェンチェラ(ありがとう)」と言って貴重なオンラインティーチインイベントは締めくくられた。

映画情報どっとこむ ralph 『ブータン 山の教室』

公式サイト:
bhutanclassroom.com

4月3日(土)より 岩波ホール他にて全国順次公開!
ブータン 山の教室_パオ・チョニン・ドルジ監督写真
ストーリー
若手教師のウゲンは、ある日教官に呼び出されブータンの秘境、ルナナにある学校に行くよう告げられる。「オーストラリアに行き、ミュージシャンになりたい」という夢を抱きながらも、渋々ルナナ村に行くことに。1週間以上かけ辿りついたその地には、「勉強したい」と真っすぐな瞳で彼の到着を待つ子どもたちがいた。ある子どもは「先生は未来に触れることができるから、将来は先生になることが夢」と口にする。慣れない土地での生活に不安を拭えなかったウゲンだったが、村の人々と過ごすうちに自分の居場所を見つけていく。
『ブータン 山の教室』ティザービジュアル

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監督・脚本 : パオ・チョニン・ドルジ
出演:シェラップ・ドルジ、ウゲン・ノルブ・へンドゥップ、ケルドン・ハモ・グルン、ペム・ザム 他
【2019年/ブータン/ゾンカ語、英語/110分/シネスコ
英題:Lunana A Yak in the Classroom
日本語字幕:横井和子
字幕監修:西田文信
後援:在東京ブータン王国名誉総領事館
協力:日本ブータン友好協会  
配給:ドマ
(c)2019 ALL RIGHTS RESERVED  
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