映画情報どっとこむ ralph イギリス出身、来日30年目のジョン・ウィリアムズ監督(「いちばん美しい夏」、「スターフィッシュホテル」、「佐渡テンペスト」)が、100年前に書かれたフランツ・カフカの不条理文学「審判」との類似点を見出し、現代の東京を舞台に映画化。

カフカの名作をもとに、サスペンスとブラックユーモアを織り交ぜて制作した意欲作が完成した。

「審判」では、得体の知れない巨大な力、システムにコントロールされた理不尽で滑稽な出来事が、次々と主人公Kの身に降りかかる。その不条理な状況を前に、主張も反抗もしない主人公の姿は、現在の日本、ひいては世界中に漂う不穏な社会の波に翻弄される私たちの姿を暗示している。

主人公Kこと木村陽介を演じるのは、個性派俳優・にわつとむ。

また、品川徹、高橋長英らの名優たちが、それぞれ弁護士・田辺と叔父を演じ、23年ぶりの映画出演となる歌舞伎界の名脇役・坂東彌十郎が、“殴る男”役で重厚な印象を与える。

木村を誘惑する4人の女に扮するのは、隣人の鈴木役に常石梨乃、廷吏の妻・アンナ役に川上史津子、鈴木の友人と名乗る望月役に早川知子、そして看護師・アズキ役に関根愛(めぐみ)。
  
木村を逮捕しにやってくる小倉と相馬役を、それぞれ田邉淳一と工藤雄作が演じ、判事と人形遣いの二役で村田一朗が出演するほか、 大宮イチが、郊外の怪しげな学校の体育館を一時的に使った「裁判所」の廷吏役で出演する。

映画情報どっとこむ ralph ジョン・ウィリアムズ監督とにわつとむさんからコメント到着!

<ジョン・ウィリアムズ監督 コメント>

この映画の原作は、30歳の誕生日の朝に“目覚める”男の物語です。カフカはおそらく、この年齢を慎重に、あえて選んだのだと思います。ただ目を覚ますわけではなく、ありふれた日常の中で、些細な悟りの瞬間を体験する物語の主人公を選んだのです。

目覚めてしまうと、もう、まわりを見る目はどんどん変わってしまいます。毎日の生活、仕事、従順に守ってきた社会のルール・・・「逮捕された」という最悪の事態を目の前にすると、(実際、男は何の法律違反もしていないのだが)この世界がぜんぶ無意味に思えてくる―。最近よく、こう感じるのです。「私たちは誰しも、何かしらの罪で逮捕されてもおかしくない世の中で生きているんじゃないか」―ということは、どうやって無罪を主張するのか。あなたは、あなたの「無実」を証明することはできますか?

カフカが1915年に執筆したこの物語は、いつ映画化されてもその時代に通じるものがあります。顕著なのはオーソン・ウェルズの作品でしょう。フィルム・ノワールの照明スタイルと表現派を彷彿とさせるセットで、冷戦時代の悪夢を見事に描いています。でも、私は現代の東京を選びました。悪夢が現実の世界に浸食するように、観る人が、日本、そして世界で実際に起きていることを思い浮かべてくれたらいいな、と思っています。

秘密保護法、ブレグジット、トランプ、共謀罪、モリカケ問題。同じようで、違う世界。毎日新しくなる現実で、目を覚ます私たち。この世界を変えることはできるのか、それとも、おかしいと思いながらも受け入れるのか。受け入れるとしたら、それは「逮捕」されている、ということ?疑問を持つ人はどうなる?そもそも、この世界への違和感を覚える自由、考える余裕すら、今の私たちにあるのか?

本作は、知らず知らずのうちに、私たちを支配している奇妙で、怠惰なシステムについての映画です。巨大すぎて、ほとんどの人は気にもせず、ぼんやりと見過ごすだけ。政府や、テレビや新聞や、たいていのメディアは私たちの思考を停止するのに一生懸命。少しずつ、民主主義がそぎ取られていませんか。政府なんかよりもっと陰湿で、人目につかない「何か」にさりげなく、少しずつ。

この映画が、ぼんやり寝ぼけた頭を突き刺すモーニングコールになることを願っています。その、うっとうしい目覚まし時計はこう鳴り響いています。

「お・き・ろ!」

<にわつとむ コメント>

人生について明確な答えを持っている人間はいないと思います。
主人公Kもそうだと思います。
Kを演じるにあたっては、共演者に対して、 身に降りかかる不条理な出来事に対して、心身をさらけ出してその瞬間、瞬間に居続けることだけを目標にしました。
果たして作品の中でKは 、様々な出来事に翻弄されながら答えを見つけることが出来たのでしょうか?この映画も、カフカの小説同様、見て頂いた方々の数だけ、解釈、感想が全く違ってくると思います。上映後見て頂いた方々に聞いて回りたい勢いです(笑)是非、情報化社会の荒波の中、必死で生きる皆様に見ていただきたいです。

映画情報どっとこむ ralph 審判

6月30日に渋谷・ユーロスペースにて公開ほか全国順次。

公式HP:
www.shinpan-film.com  
Twitter:
@shinpan_film

物語・・・
木村陽介。銀行員。
30歳の誕生日に、逮捕。
罪状不明。

現代の東京。銀行員の木村が30歳の誕生日の朝、自宅マンションのベッドで目覚めると、部屋にはふたりの見知らぬ男たちが佇んでいた。彼らは「逮捕」を告げにきたと言う。でも罪状は不明。無実を主張すればするほど、蜘蛛の巣のような“システム”に絡みとられ、どんどん身動きができなくなっていく。ここから抜け出す方法はあるのか?救いを求めてあがくものの、期待はことごとく外れていく。そして、木村は出口のないこの迷路の終焉に、気づき始めるのだった¯。

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にわ つとむ
常石 梨乃  田邉 淳一  工藤 雄作
川上 史津子  早川 知子  関根 愛  村田 一朗  大宮 イチ
坂東 彌十郎(特別出演)   高橋 長英   品川 徹  

監督・脚本 ジョン・ウィリアムズ
原作 フランツ・カフカ「審判」
音楽 スワベック・コバレフスキ
プロデューサー 高木 祥衣 古川 実咲子 塩崎 祥平
撮影 早野 嘉伸   照明 大久保 礼司
録音 小川 武   美術 中村 三五   
編集 稲川 実希   
音響効果 堀内 みゆき   監督補 高田 真幸
助監督 岩崎 祐   ヘアメイク 西尾 潤子   松本 幸子   
衣装 斎藤 安津菜   制作担当 竹上 俊一

後援 上智大学ヨーロッパ研究所 公益財団法人日独協会
製作・配給・宣伝 百米映画社 
2018年/日本/アメリカンビスタ/5.1ch/118分
©100 Meter Films 2018

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