“映画を語る”WEB番組「活弁シネマ倶楽部」に『カスリコ』の監督・高瀨將嗣(たかせ・まさつぐ)が出演した。
本作の主人公・岡田吾一(石橋保)は、「賭博の終着駅」と言われる“手本引き”にのめり込んで全てを失い、途方に暮れていた。ある人物との出会いがきっかけでカスリコに立場を変えて再び賭場へと出向き、常連客の引き立てや、商売人の才覚も相まって少しずつ収入を得ていく。しかし、様々な困難が吾一を襲い、人生最後の大勝負に挑むことになる。 「令和」へと時代が移り、日本にカジノを誘致しようという動きも高まる中、昭和40年代の“賭博”を“モノクロ”で描いた本作。高瀬監督は「(本作は)モノクロというか、明確なカラーをなるべく抑えたほうが、時代性が出るという想いがあった。そうしたらなんと、脚本の國吉(卓爾)さんから“この映画はモノクロで描いてほしい”という直々のご希望があった。これは結果として大正解でした。」とコメントし、モノクロで描くことで、現代の雰囲気を打ち消し、昭和40年代の世界観を作り上げたと語った。 また、高瀬監督はギャンブルを「人生の縮図」と表現し「ある部分でコントロールができると錯覚はするんですけど、どうしても魔性の波の中に飲まれていってしまう。そしてそれが実は苦痛ではなく、快楽であったりもする。」と語った。また、作品にも紐づけてコメントを続け、「(ギャンブルには)引き分けというのがない世界だが、本作で描きたかったのは、“醜い勝ち”よりも“潔い負け”。特に主人公の人生がこの一言に反映されている。」とギャンブルの中に見るある種の美学を明らかにした。 ■活弁シネマ倶楽部■ ▷「活弁シネマ倶楽部」公式ツイッター: ■『カスリコ』■ あらすじ が、常連客であるコバケンの引き立てや、商売人の才覚もあり、少しずつカスリを増やしていく。ところがある日、コバケンが自殺したことを知る。コバケンは、賭博で抱えた巨額の借金で追い詰められていたのだという。吾一は大きくショックを受けるが、実は、こういった賭場客の地獄を近くで見ることこそ、賭博から足を洗うのに必要だ、という荒木の考えがあったことを知る。 三年の歳月が流れ、すっかり賭博をやめた吾一だったが、かつて激しい勝負をした伝説の賭博師・寺田源三(高橋長英)が現れ、すっかり忘れていた「手本引き」への思いを揺さぶられる。そんな頃、荒木が組同士の抗争の始末で刑務所に入ったことを知り差し入れをすると、荒木から再び店を始めるよう勧められた。荒木の思いに応えたい吾一は、開店準備を始める。 |