映画情報どっとこむ ralph この度、11月22日(金)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開する映画『テルアビブ・オン・ファイア』の特別試写上映後に、フードコーディネーター/中東料理研究家の越出水月さんと日本国際ボランティセンター・パレスチナ事業担当の渡辺真帆さんのトークショーを行ないました。

日時:11月12日(火)
場所:映画美学校試写室(東京・渋谷)
登壇:
越出水月(フードコーディネーター/中東料理研究家) 
渡辺真帆(日本国際ボランティセンター・パレスチナ事業担当)
 

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映画に出てくるフムスは現地の人にとって、どんな食べ物なのでしょうか?
越出さん:もともとアラブ地域の食べ物で、パレスチナ以外でもレバノン、トルコ、エジプトなどでも食べられていて、前菜やおかずのひとつといった感じです。日本だと定食についている漬物みたいな存在で、メインじゃないけど絶対あるものです。ただ、イスラエルでは、日本でいうラーメンみたいな存在で、フムスだけが出てくるレストランが多くあって、イスラエル人は、自分のお気に入りのフムス屋さんを持っていたりします。また、作る側もとてもこだわっています。名店と呼ばれるところはアラブ人が作っていますね。アラブに対する憧れがあるんじゃないでしょうか。映画の中のアッシも、そうだと思います。

日本でもフムスは作れるんでしょうか?
越出さん:乾燥したひよこ豆を茹でて、プロセッサーで潰せば作れます。缶詰のひよこ豆もありますけど臭いので、乾燥したものがオススメです。でも、作るのが大変なので、中東でも家で作っている人は少ないです。
渡辺さん:外で買って食べますね。ただ、スーパーとかで売っているのはおいしくないです。

ラマッラーやエルサレムについて
渡辺さん:ラマッラーはヨルダン川西岸地区の中心都市で、エルサレムは、イスラエルもパレスチナも中心の場所と考えられていますが、実質、イスラエルに入ります。主人公のサラームみたいなパレスチナ系の人もいます。彼はイスラエルに住む権利があるので、ラマッラー(パレスチナ側)にも行けますが、ラマッラーなど西岸地区のIDしか持ってない人はエルサレム(イスラエル側)には入れません。それを管理するのが検問所ですね。(検問所に軍司令官の)アッシみたいな人がいると、通過するのに時間がかかります。

検問所についてエピソードございますか?
渡辺さん:日本語をしゃべる兵士がいますよ(笑)。  両親のどちらかが日本人のようで、ラマッラーからエルサレムにバスで行った時に、バスの中に彼が乗ってきて、日本語で「どちらですか?」って聞いてきて、「埼玉です」と答えたことがあります(笑)。
パレスチナ人にとっては、検問所を通るのは日常なので、雰囲気的には、けだるい感じで、気分のいいところではないですね。最近、建物が新しくなって、日本の歯医者みたいにリラックスした音楽がかかるようになって、すごく皮肉な感じを受けます。

オスロ合意の前後の世代でギャップがありますか?
渡辺:私もちょうどオスロ合意ぐらいの時期に生まれたんですが、それより上の世代は、第1次インティファーダという抵抗運動を経験してきた人たちで、それがあったからオスロ合意に至ったので、自分たちが戦ったという自負があります。ただ、今でも平和はおとずれていなくて、その時よりもパレスチナの状況は悪化しています。上の世代の時はイスラエル側に自由に行き来できましたが、パレスチナ自治政府となってからは逆に狭いところに閉じ込められてしまって、「和平ってどこにいったの?」というのが若い人の感想だと思います。サラームも同じ境遇だと思います。

イスラエル人とパレスチナ人との恋愛もあったりするんでしょうか?
越出さん:ほぼないですね。あったらニュースになります。最近、アラブ人とユダヤ人の夫婦が和平のためにレストランを始めた、というのが実際ニュースになっていました。笑
渡辺さん:人権弁護士と活動家が結婚したとか、なんらかの意識がある人たちでしょうね。ありふれてはないと思います。

東京でもパレスチナ料理が食べられるそうですね。
渡辺さん:十条に食べられる店があるんですが、東京で一番おいしく作られるのは、越出さんだと思います!
越出さん:ありがとうございます。ちょうどアラブ料理が食べられるお店をはじめましたので、よかったら食べにきてください。

映画情報どっとこむ ralph 『テルアビブ・オン・ファイア』

11/22(金)、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

映画『テルアビブ・オン・ファイア』
人気ドラマの結末をめぐり、民族が対立!? 笑撃のラストに、世界が大絶賛!!
エルサレムに住むパレスチナ人青年のサラームは、 パレスチナの人気メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の制作現場で出演者の言語指導として働いている。撮影所に通うため、毎日面倒な検問所を通らなくてはならない。ある日、サラームは検問所のイスラエル軍司令官アッシに呼び止められ、咄嗟にドラマの脚本家だと嘘をついてしまう。アッシはドラマの熱烈なファンである妻に自慢するため、毎日サラームを呼び止め、脚本に強引にアイデアを出し始める。困りながらも、アッシのアイデアが採用されたことで、偶然にも脚本家に出世することになったサラーム。
しかし、ドラマが終盤に近付くにつれ、イスラエル側を良く見せたいアッシ、リアリティを求める制作陣とパレスチナ側のドラマのスポンサー。結末の脚本をめぐって対立するイスラエルとパレスチナの間で、サラームは窮地に立たされるー。果たして、彼が最後に振り絞った“笑撃”のエンディングとは!?

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監督:サメフ・ゾアビ
脚本:サメフ・ゾアビ、ダン・クラインマン
出演:カイス・ナシェフ、ルブナ・アザバル、ヤニブ・ビトン
2018年/97分/ルクセンブルク・仏・イスラエル・ベルギー/カラー/アラビア語=ヘブライ語
配給:アット エンタテインメント 
© Samsa Film – TS Productions – Lama Films – Films From There – Artémis Productions C623

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