映画情報どっとこむ ralph 第 69 回カンヌ国際映画祭でフィリピン映画界に三大映 画祭で初めての主演女優賞をもたらした『ローサは密告された』が 7月29日(土)より、シ アター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開となります。

この度、公開を記念して一般のお客さんに『ローサは密告された』を初お披露目!

上映後には 「ここ数年のアジア映画で No.1」と本作を絶賛してくださった作家の石井光太さんをが登壇するトークショーが行われました。

日時:7月3日(月)
場所:映画美学校試写室
登壇:石井光太(作家)

映画情報どっとこむ ralph 本作は、第69回カンヌ国際映画祭で、クリステン・スチュワート、シャーリーズ・セロン、イザベル・ユペー ルらを抑えて、ローサを演じるジャクリン・ホセにフィリピン初の主演女優賞をもたらした。

試写会後の反応では

「普通の店で麻薬を売っているのも驚きな ら、それを取り締まる警察の荒廃振りも驚き。フィリピンで今、起きている「現実」を前に、我々には成す術のない無力感が、観た後も 重く腹に響く。」「食料品屋が覚醒剤を何の不思議もなく置いてるの に衝撃!」と一般の方々からフィリピンの現実を突きつけられた衝撃の声が並んだ本作。

石井さんはどうご覧になったのか?

本作の感想を聞かれ

石井さん:映画だからこそできる人間の生き方を描いた素晴らしい映画だと思っています。

と第一声から 本作を大絶賛!

石井さん:スラムに住む彼らの、ひいては人間の生き方をリアルながらもドラマチックに描いた作品だと思います。この地域に住む人々は白黒はっきりする生き方をできません。生きるために麻薬を売ったり、売春したり、人を騙したり。彼らは生きるために悪いことを していますが、人間の尊厳をギリギリ保っているのです。それは日本にも通じるところがあると思います。この『ローサは密告された』は、 そのグレーの世界を政府が白黒をはっきりさせようとしたときに、その世界のバランスは崩壊してしまう、というお話しです。

映画情報どっとこむ ralph スラム街はリアルそのもの!実際にあったコワい経験を語る!

実際にスラム街を取材されたことのある

石井さん:『ローサは密告された』のスラム街はリアルそのもの。

と大絶賛。

石井さん:貧困と麻薬は結 びづきが強いけれど、海外には日本にない‘麻薬の恐ろしさ’が存在します。それは、麻薬の資金は、反政府組織だとか、テロリストに繋がっていくのです。だから、貧乏なジャンキーが一人増えた、というだけの話ではありません。そのため政府は貧困層の中毒者にも 容赦無く、制裁を加えようとするわけです。

と、激化の一途を辿るフィリピンの麻薬撲滅戦争の根強い問題をあげた石井さん。

「実際 のスラムで怖い経験はありましたか?」という問いには、

石井さん:この状態は気をつけろ、と自分で決めているものがあります。ひとつは、相手が正 気な状態かどうか。中毒者であれば突然、「バン!」と撃たれて「ドス」と刺される可能性がありますからね。もうひとつには、取材する 人の周りに人がいるかどうか。知り合いがいると、かっこつけて危ないことをしようとする人がいます。だから集団でいる人たちへの取材 は極力避けます。でも気をつけても、トビラ開けたらぶっ壊れている人間が 10人ぐらいいる部屋に入ってしまったときには「オーマイガ ー!」ってなりましたね(笑)

と気を付けていても危険に出会ってしまう、スラム街の怖さを語りま した!

映画情報どっとこむ ralph 驚愕!フィリピンの警察は腐りきっている!!

「なぜフィリピンの警察の汚職が進んでしまうのでしょうか」という問いには、

石井さん:そもそも警察の給料がかなり低いんですよね。だから警察の仕事していても生きていけません。だから、あのような密告事件 が多発し、捕まった人たちへの高額な見逃し料の要求に繋がります。また、取り締まる人と捕まる 人との教育レベルの差が日本人の我々が想像する以上にあります。売人には幼稚園さえ出ていない、という人間もいるのです。そうすると常識というものがズレこむんですよね。さらに多国籍な国 だと言語が通じないこともある。そうすると、なにか騒ぎがおきると銃が出てきちゃうわけです。事件は減ることを知りません。

とフィリピンの警察が直面している容疑者との関係、そして汚職が生まれてい く原理を解説しました。

最後に

「物語に登場する食べ物の味はいかがものなんでしょう?」という問いに

石井さん:マズいに決まってるでしょう!(笑)血の塊を固めたもの、ご覧になっていた皆さまも、食べたいとは思わないでしょう?

と石井さんの冗談に会場は大きな笑い声が。そして大きな拍手の中、トークイベントは終了しました。

ローサは密告された

7月29日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開
www.bitters.co.jp/rosa

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監督:ブリランテ・メンドーサ
出演:ジャクリン・ホセ、フリオ・ディアス
2016/フィリピン/110 分
配給:ビターズ・エンド

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