映画『エンドレス・ポエトリー』はミュージカル?!サントラも時空や地域を超えるようなマジックリアリズム!
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国で大ヒット中の映画『エンドレス・ポエトリー』の公開を記念し、12月5日(火)の渋谷アップリンクでは、音楽評論家の渡辺亨さんと、ビームス創造研究所クリエイティブディレクターでありライターとしても活躍する青野賢一さんが登壇し、熱いトークが繰り広げられました。 |
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アレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『エンドレス・ポエトリー』の公開記念イベントが12月5日、アップリンク渋谷で行なわれ、ゲストに音楽評論家の渡辺亨氏とビームス創造研究所クリエイティブディレクターでありライターとしても活躍している青野賢一さんが登壇。音楽に精通する2人が、ホドロフスキー映画における音楽をテーマに熱弁をふるいました。
本作は、ホドロフスキー監督自身の青春時代を描いた自伝的映画。 青野さん:人がひしめきあっているパーティーのシーン。 を好きな音楽シーンとすると、 渡辺さん:あのシーンはフランスのロックバンド、イーグルス・ギフトの曲が少し流れている。他のシーンでもオリジナルのスコア、クラシック、既成曲などが少しずつ使われていて、つながりがうまい。映画の舞台は1950年代のチリ・サンティアゴだが、クラシック音楽から現代音楽、チリだけではなくアルゼンチンやメキシコの音楽、トム・ウェイツやフランスのロックバンドなど、あらゆる時代のあらゆる地域の音楽が使われている。ホドロフスキー監督の掲げるマジックリアリズムには、時空や地域を超えるという意味がある。サントラも、マジックリアリズム的な選曲、構図になっています。 と説明した。 また、 青野さん:映画と音楽全体がすんなり入ってきて、シーンと音楽が不可分になっている。そういう意味で僕は音楽をそこまで意識せずに見ることができた。 と語り、 渡辺さん:最初から最後までずっと音楽が流れているようだ。音楽が流れていないシーンもあるが、主役のアダンがフレッド・アステアのようにステップを踏んだり、突然フラメンコを踊ってみたり、音楽が途切れているシーンも含めて映画全体がミュージカルみたい」と言及。また、青野氏は「前作に引き続き主人公の母親がオペラを歌っているし、動きがデフォルメされていることでミュージカル要素が強くなっている。 と述べた。 その後話題は、先日のアダン来日時のエピソードへ。アダンにインタビューしたことに 渡辺さん:アダンは、西岡恭蔵、岡林信康、友部正人、中川イサト、荒井由実のレコードを購入し、井上陽水、金延幸子のレコードを贈ってもらい、喜んでいた。アダンは、とても日本のロックに深い関心がある。ロックやパンクがバックボーンにありながら、クラシック音楽から南米音楽、そして日本音楽まで色んな音楽から影響を受けている。 とアダンの音楽性について言及した。 |
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映画『エンドレス・ポエトリー』
新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開中 公式サイト:
舞台は故郷トコピージャから首都サンティアゴへ。 撮影監督は『恋する惑星』(94年/ウォン・カーウァイ監督)など、手持ちカメラを使った独特の映像で知られるクリストファー・ドイル。 自身の青年時代を虚実入り交じったマジック・リアリズムの手法で瑞々しく描き、「生きること」を全肯定する青春映画の傑作。 |
監督・脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
撮影: クリストファー・ドイル
出演:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・ターブ、イェレミアス・ハースコヴィッツ
配給:アップリンク
2016年/フランス、チリ、日本/128分/スペイン語/1:1.85/5.1ch/DCP
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