映画情報どっとこむ ralph 3月17日(土)より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開中のハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』。 本作の公開を記念し 戌井昭人さんと佐々木誠さんが登壇しました。

日時:2018 年3月17 日(土)
会場:新宿シネマカリテ
ゲスト:戌井昭人(劇作家、作家)、佐々木誠(映画監督、映像ディレクター)

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劇作家の戌井昭人氏と映画監督の佐々木誠氏が登壇。愛される俳優 ハリー・ディーン・スタントンについてそれぞれの思いを熱く語った。

本作は、自由で堅物で一匹狼、90 歳の頑固じいさんラッキーとちょっと風変わりな街の人々の交流を描いた物語。『パリ、テキサス』『レポマン』『エイリアン』など 200 本以上の作品に出演したハリー・ディーン・スタントンの人生になぞらえて描いたラブレターともいえる作品。

かねてよりハリー・ディーン・スタントンの大ファンを公言している戌井さんは、本作の感想を聞かれ

戌井さん:昔からいろんな映画で観ていたハリーが全部いる、というような映画でしたね。まるでこれまでの彼の役柄がドキュメンタリーだったかのような。端々にいろんなキャラクターが見え隠れしていた。90 歳でこんな映画が制作されたなんてすごいことですよ。撮影だって、こんな喉乾きそうな場所で…それに、デヴィッド・リンチも印象的でしたよね、いつもリンチが人にやらせているような役を自分が演じている。ところで佐々木さん、最初にハリーを認識したのってどの作品でした?僕は『レポマン』だったんですけど。

と質問。

佐々木さん:僕は『パリ、テキサス』ですね。あのころ既に 50 半ばだったんですよね。遅咲きでしたけど、とにかく名作にたくさん出演している。『エイリアン』や『暴力脱獄』『断絶』…『エイリアン』では実は最初にエイリアンに殺された歴史的人物なんですよね!それに、船長役だったトム・スケリットとこの映画で 40 年ぶりくらいに共演してるんです。それがあの重要な会話のシーンかと思うと、映画ファン的にはたまらないですね…!

と、これまでの作品を踏まえたスタン愛を披露。

映画情報どっとこむ ralph 続けて

佐々木さん:メジャーからインディーズ、本当に幅広い作品に出ている。 とにかく、みんなに愛されていたんでしょうね。しかしこの映画、戌井さんの作品の世界観と通じるところがありますよね。

と話すと、

戌井さん:ハリーはガンガンいく感じじゃないところがいいですよね、”さびれてる”かっこよさ。『レポマン』は実はエミリオ・エステベス目的で観たんですが、そこでハリーを知って、”おじさんでもかっこいい人っているんだ”と思いましたね。役者役者してなくて。。。それに、ハリーが表紙を飾る昔の『SWITCH』(1989 年 12 月号)インタビューでこの映画と全く同じこと言ってるんですよね。”孤独と一人は違う”、と。

と述べた。

映画情報どっとこむ ralph 最後に・・・

佐々木さん:これが最後の主演作なんですよね。映画人生の集大成が、これまでに自分が演じたキャラクターや、自分の発言や行動、死生観を反映させた、まさに人生の集大成でもあると。それって奇跡みたいなものですよね。ラストカットでのハリーの表情にはとてもグッときましたね。

と本作を絶賛し、締めくくった。

映画『ラッキー』は 新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか絶賛公開中。

プロファイル:

戌井昭人(いぬい・あきと)
1971 年 世田谷区生まれ。昭和に生まれたから昭人。調布市育ち。作家、パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」の旗揚げに参加、脚本を担当。『鮒のためいき』で小説家デビュー、2013 年『すっぽん心中』で第 44 回川端康成文学賞、16 年『のろい男 俳優・亀岡拓次』で第 38 回野間文芸新人賞を受賞。最新刊は『ゼンマイ』。

佐々木誠(ささき・まこと)
映画監督/映像ディレクター。 主な劇場公開作品に『フラグメント』(2006 年)、『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』(2015 年)がある。「TRANSIT」「週刊金曜日」等に映画コラムを寄稿する他、和田誠やロバート・ハリスらと映画に関するトークイベントも行なっている。最新作『ナイトクルージング』が現在制作中。

映画情報どっとこむ ralph 映画『ラッキー』作品情報

銀行強盗もしない、飛行機から飛び降りもしない、人助けもしない。
「人生の終わり」にファンファーレは鳴り響かない——

全ての者に訪れる「死」——
90歳の気難しい現実主義者ラッキーがたどり着いた、ある答え。

神など信じずに生きてきた90歳のラッキーは、今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。いつものバーでブラッディ・マリアを飲み、馴染み客たちと過ごす。そんな毎日の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされた彼は、「死」について考え始める。子供の頃怖かった暗闇、去っていったペットの亀、「エサ」として売られるコオロギ——小さな街の人々との交流の中で、ラッキーは「それ」を悟っていく。
現実主義で一匹狼、すこし偏屈なラッキーを演じるのは、2017年9月に亡くなったハリー・ディーン・スタントン。名バイプレイヤーとして知られるジョン・キャロル・リンチが、全ての者に訪れる人生の終わりについて、スタントンの人生になぞらえて描いたラブレターともいえる初監督作品である。また、ラッキーの友人役として、映画監督のデヴィッド・リンチが出演。実際、長きにわたる友人である彼らを当て書きした脚本は哲学的で示唆に富んでおり、彼らの“素”を思わせるやりとりを見ることができる。

【公式サイト】
http://www.uplink.co.jp/lucky/

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監督:ジョン・キャロル・リンチ(『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』出演)
出演:ハリー・ディーン・スタントン(『パリ、テキサス』『レポマン』『ツイン・ピークス The Return』)、デヴィッド・リンチ(『インランド・エンパイア』『ツイン・ピークス』監督)、ロン・リビングストン(『セックス・アンド・ザ・シティ』)、エド・ベグリー・ジュニア、トム・スケリット、べス・グラント、ジェイムズ・ダレン、バリー・シャバカ・ヘンリー
(2017/アメリカ/88分/英語/1:2.35/5.1ch/DCP)
配給・宣伝:アップリンク

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