映画情報どっとこむ ralph 2018年に『ファーストラヴ』で第159回直木三十五賞を受賞し、これまでにも『ナラタージュ』『Red』などの著作が映画化されてきた作家、島本理生の傑作恋愛小説『よだかの片想い』(集英社文庫刊)が映画化、2022年の公開が決定いたしました。
『よだかの片想い』
主演は元々島本作品のファンであり念願叶っての映画化と主演を務めることになった松井玲奈と、共演に『偶然と想像』(21/濱口竜介監督)などの出演作の公開が控える中島歩。

長編映画監督デビュー作の『Dressing Up』(12)で第14回TAMA NEW WAVEのグランプリや第25回日本映画プロフェッショナル大賞新人監督賞を受賞した新鋭・安川有果監督がメガホンをとり、そして『アルプススタンドのはしの方』『愛なのに』の城定秀夫が脚本を担当し、遅い「初恋」を通して成長する女性の内面を瑞々しく表現し、彼女が一歩前に踏み出す姿が、様々なものを抱えて日々を生きる全ての人の心に響く作品が完成しました。

本日11月3日(水・祝)に角川シネマ有楽町にて会期中イベントとなる「Q&A」が、本作の記念すべきワールドプレミア上映後に開催されました。ティーチインでは、安川有果監督と、脚本を担当した城定秀夫が登壇。世界初上映ということもあり、映画を観客と一緒に鑑賞していた2人は客席から呼び込まれた。
よだかの片想い_東京国際映画祭TIFFワールドプレミア

映画『よだかの片想い』Q&Aセッション

日時:11月3日
会場:角川シネマ有楽町
登壇:安川有果監督、城定秀夫(脚本)

映画情報どっとこむ ralph 冒頭の挨拶で安川監督は、「今日は劇場に足を運んでくれてありがとうございます。今年5月に撮影をして7月に完成していたのですが、初めてお客様にご覧いただいて自分もその場に立ち会えて幸福に思います。」と喜びを伝えると、よだかの片想い_東京国際映画祭TIFFワールドプレミア脚本を担当した城定も「このような素敵な映画祭で初上映ということで光栄に思います。僕は初号に行けなくて初めてみなさんと今日一緒に見て、まだ余韻に浸っています。監督お疲れ様でした」と、よだかの片想い_東京国際映画祭TIFFワールドプレミア初めて鑑賞した感動を伝えるとともに、監督に労いの言葉をかけた。
映画情報どっとこむ ralph 本映画の成り立ちを聞かれると、安川監督は「主演の松井玲奈さんが島本理生さんの原作の本作への思い入れがとても強く、企画を模索されていたところ、私が2年ほど前に手掛けた舞台をみて制作会社のプロデューサーが本作の相性がよいのではないかということで声をかけてくれたところから始まりました」と経緯を明かし、「プロデューサーから城定さんを勧めていただいたのですが、私自身も作品のファンでしたのでぜひとお願いさせていただいた次第です」と、城定脚本で作品を作れることの喜びを伝えた。城定も「原作を読んでやりがいがあると思って取り組みました。色々な要素が多かったので映画化をするにあたってどこを選び取るかを監督と思案しながらでしたが、本当に監督自身の映画になっているなと本日見て改めて思いました」と監督の手腕に感嘆する。
よだかの片想い_東京国際映画祭TIFFワールドプレミア
さらに場内からの質問では、「デビュー作の『Dressing up』から今作へ、意識したことは?」という質問に対し、安川監督は「『Dressing up』は亡くなった母親が昔殺人鬼だったことを知るという主人公だったのですが、この作品を撮るときには昔の作品を意識はしませんでした」と新たな作品への意気込みを伝えた。さらに、「今作のエンディングシーンがとても長いシーンでいいシーンだなと救われた気持ちになったのですが、城定さんの脚本からでしょうか」という質問には、「原作小説にはないシーンで、城定さんが加えてくださったシーンでした。実は私は反対していたのですが(笑)、考えた末に今の形になりました。脚本上は5行くらいのシーンですが1カット長回しで撮りきることにしました。それで城定イズムを感じてくれたならありがたいと思いました(笑)」と安川監督が明かし、会場の笑いを誘った。城定も、「僕は素晴らしいラストカットだと思います、長さがいいと思いましたし、いろいろ構成上考えて切ってしまったりすることもあると思うので僕だったら撮れなかったシーンで、改めて素晴らしいと思いました。」
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また、「顔にあざがある主人公、ということでデリケートなシーンも多く、女性の視点を要求されたことも多かったのでは」という質問に対して安川監督は「女この題材がそもそも私にいただけたのがそういう視点を求められたからなのかもしれませんね。社会がよしとしている美の価値観から受ける抑圧は感じていて、そういう中で強く生きている女性を描けるのはありがたいと思って取り組んでいました」と語る。さらに、飛坂監督の監督としてのステータスをどのように想定していたかという映画ファンならではの質問が飛ぶと、安川監督は「原作ではとても売れている監督という設定だったのですが、私がリアルに日本で監督として過ごしている中で、すごくいいマンションに住んでいる映画監督のイメージを持てなかったので(笑)、CMを撮っているなどセリフを足させていただいたりしました」と実体験を生かし、城定も「俺よりかは売れてる監督だなと思いました(笑)。」と会場を和ませた。
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最後に、松井さんと中島さんのセリフと空気感の繊細さについて、ふたりの掛け合いは意識して作り上げたのかという質問に対して安川監督は、「撮影に入る前に本読みの時間をとらせていただいて、ふたりの時々の空気感を話し合って、現場でも話し合いました。飛坂の見え方難しく、純粋さも野心も持ち合わせているという要素を入れたくて、わかりやすくクズな描写をしたくなかった。」と語ると、城定も「台詞はいろいろ変わっているのですが、飛坂は確かに難しいキャラクターでとてもいけすかない感じになっていくと嫌だなと思っていく中で、監督の粘りみたいなのがすごく出ているなと。中島さんにしか出せない独特の印象がありまして、絶妙なクズさがいいなという感じになっていると思います。表現の可逆性も伝わるいいキャラクターになったなと思います。」と、終始質問の絶えない質疑応答の時間となった。よだかの片想い_東京国際映画祭TIFFワールドプレミア
映画情報どっとこむ ralph

『よだかの片想い』

公式HP:
https://notheroinemovies.com/
公式Twitter:
https://twitter.com/NotHeroineM
公式Instagram:
https://www.instagram.com/notheroinem/

【ストーリー】
物語の主人公は、理系女子大生の前田アイコ(松井玲奈)。彼女の顔の左側にはアザがある。幼い頃から、からかいや畏怖の対象にされ、恋や遊びはあきらめていた。大学院でも研究一筋の生活を送っていたが、「顔にアザや怪我を負った人」のルポルタージュ本の取材を受けて話題となってから、状況は一変。本が映画化されることになり、友人の編集者・まりえ(織田梨沙)の紹介で、監督の飛坂逢太(中島歩)と会う。話をするうちに彼の人柄に惹かれ、作品にも感動するアイコ。飛坂への片想いを自覚してから、不器用に距離を縮めていくが、相手は仕事が第一で、女性にも不自由しないタイプ。アイコは飛坂への想いを募らせながら、自分のコンプレックスとも正面から向き合うことになる・・・。

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原作:島本理生「よだかの片想い」(集英社文庫刊)
監督:安川有果
脚本:城定秀夫
出演:松井玲奈、中島歩
藤井美菜、織田梨沙、青木柚、手島実優、池田良、中澤梓佐
三宅弘城
企画協力:グリック、SPOTTEDPRODUCTIONS
制作プロダクション:ダブ / 配給:ラビットハウス
©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会

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