映画情報どっとこむ ralph 現在、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町にて大ヒット公開中のハリー・ディーン・スタントン最後の主演作『ラッキー』。

公開初日より満席が続出と大反響。 と言うことで映画評論家の大久保賢一さんが登壇してのトークイベントが行われ、ハリー・ディーンが表紙を飾った1989年12月号『SWITCH』の特集で、彼の家へ行きインタビュー行った映画評論家の大久保さんが当時のやり取りや、ハリー・ディーンについて語りました。

日時:2018年3月21日(水・祝)
会場:アップリンク渋谷
登壇:大久保賢一(映画評論家)

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大久保さん:いまご覧になった『ラッキー』、主人公のラッキーを演じたハリー・ディーン・スタントンは一見、とてもぶっきらぼうにみえます。この作品は彼自身の生涯、生活、考え方、それに基づいて作られたのですが、ハリー・ディーン自身とすごく重なると思ったのは、ぶっきらぼうに見えて、まったくこびないという生き方をしてきたということ。

だと説明する。続いて当時を振り返り

大久保さん:1989年という遠い昔の話ですが、彼の自宅に行ってインタビューをしました。 デヴィッド・リンチの映画でおなじみのマルホランド・ドライブまでレンタカーを走らせてドアをあけると、ハリー・ディーンが手を合わせてお辞儀をしました。“日本式のお辞儀”だと言ってね。プライベートでは彼は絶対に、上から目線にならないという人でした。インタビュー中、ショーン・ペン、ジャック・ニコルソンから電話がかかってきて、そのやりとりを聞いていると、タメ口なんです。何歳であっても、骨のある、ゆずらないところがある、そんな映画人とは同じ目線で付き合うんですね。

と彼の人となりを表す話を披露。

映画にも登場し、ハリー・ディーンと実際、長きにわたる友人である デヴィッド・リンチについて

大久保さん:デヴィッド・リンチは、彼を自分の作品6本に出演させました。 リンチは彼の演技についてこう言っています。“普通の俳優はセリフを言うその瞬間に芝居をしようとする。でもハリーはそうじゃない。続いている時間の中で、口を開かないときのハリーがどれだけ素晴らしいか!”と。我々はそのことを彼の映画で十分に味わってきたと思う。

と俳優としての彼の存在を賞賛。

映画情報どっとこむ ralph 最後に・・・

大久保さん:インタビューの最初に、ハリー・ディーンが“まず最初に朗読を録音してほしい“と言いました。それがシアトル酋長の演説です。ワシントン州と後に呼ばれることになる土地を収めていた酋長が、大統領に届くように朗読しました。原文が存在せず、ねつ造とも言われています。でも、それでもいいと思うんです。この美しい言葉を、ハリーがとても好きだと言った。“俺たち全員にとって重要な言葉だから聞いてほしい”と。途中で電話がかかってきたり、テープがひっかかったり、犬がきて中断したりしまうが、聞いてほしいと思います。

と締めくくり、録音したハリー・ディーンのスピーチを会場に流した。

以下、シアトル酋長の演説より一部抜粋

--- 生命のつながり---
自分にもよくわからない。私たちの生き方はあなた方とは違う。白人の建てた都会の風景はインデイ アンの目に痛い。でもそれもインデイアンは未開人で 理解能力がないからなのだろう。
私たちの知らない間にバッファローがすべて殺され、野生の馬が飼い慣らされ、森の奥の秘密の 場所に人間のにおいがたちこめ、繁った岡がおしゃべりする針金(電線)で覆われるようになってし まった。茂みはどこにあるのか。今はもうない。鷲は どこにいるのか。今はもういない。

映画『ラッキー』は 新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか絶賛公開中。

プロファイル:
大久保賢一 (おおくぼ・けんいち) 
’75年に原将人らと雑誌「NEW CINEMA EXPRESS」を刊行、大林宣彦、大森一樹、高嶺剛、長崎俊一などのインディペンデント新作を上映。80年代にかけての日本映画の大変動に立ち会う。ロッテルダム、ベルリン、カンヌ、ウィーン、香港、ブリスベーン、オーバーハウゼン、トロント等の映画祭にプレス、審査員、プログラム持ち込みで参加。国際交流基金の企画で各国へ日本映画プログラムを出前。「中央アジア映画祭」などをディレクション。多摩美上野毛、東京造形、東北芸工の各大学で教え、現在大正大学客員教授。国際映画批評家連盟メンバー、コミュニティシネマセンター理事​。

映画情報どっとこむ ralph 映画『ラッキー』

新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開公開中

公式サイト:
http://www.uplink.co.jp/lucky/

Twitter:
@LuckyMovieJP

銀行強盗もしない、飛行機から飛び降りもしない、人助けもしない。
「人生の終わり」にファンファーレは鳴り響かない——

全ての者に訪れる「死」——
90歳の気難しい現実主義者ラッキーがたどり着いた、ある答え。

神など信じずに生きてきた90歳のラッキーは、今日もひとりで住むアパートで目を覚まし、コーヒーを飲みタバコをふかす。いつものバーでブラッディ・マリアを飲み、馴染み客たちと過ごす。そんな毎日の中でふと、人生の終わりが近づいていることを思い知らされた彼は、「死」について考え始める。子供の頃怖かった暗闇、去っていったペットの亀、「エサ」として売られるコオロギ——小さな街の人々との交流の中で、ラッキーは「それ」を悟っていく。
現実主義で一匹狼、すこし偏屈なラッキーを演じるのは、2017年9月に亡くなったハリー・ディーン・スタントン。名バイプレイヤーとして知られるジョン・キャロル・リンチが、全ての者に訪れる人生の終わりについて、スタントンの人生になぞらえて描いたラブレターともいえる初監督作品である。また、ラッキーの友人役として、映画監督のデヴィッド・リンチが出演。実際、長きにわたる友人である彼らを当て書きした脚本は哲学的で示唆に富んでおり、彼らの“素”を思わせるやりとりを見ることができる。

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監督:ジョン・キャロル・リンチ(『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』出演)
出演:ハリー・ディーン・スタントン(『パリ、テキサス』『レポマン』『ツイン・ピークス The Return』)、デヴィッド・リンチ(『インランド・エンパイア』『ツイン・ピークス』監督)、ロン・リビングストン(『セックス・アンド・ザ・シティ』)、エド・ベグリー・ジュニア、トム・スケリット、べス・グラント、ジェイムズ・ダレン、バリー・シャバカ・ヘンリー
(2017/アメリカ/88分/英語/1:2.35/5.1ch/DCP)

配給・宣伝:アップリンク
(c) 2016 FILM TROOPE, LLC All Rights Reserved

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