映画情報どっとこむ ralph 7月にSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019で観客賞を受賞した、新人理学療法士が主人公の映画『歩けない僕らは』(出演:宇野愛海、落合モトキ、板橋駿谷、堀春菜、細川岳、門田宗大、山中聡、佐々木すみ江)が、11月23日(土)〜新宿K’s cinema他にて公開される。

本作で劇場デビューを果たす佐藤快磨監督が、11月1日(金)19:30〜22:00に、母校・ニューシネマワークショップ(以下、NCW)にて特別講座「映画監督になる方法教えます2019」に登壇し、来歴や、最新作『歩けない僕らは』などについて語った。
佐藤快磨監督_特別講座

特別講座「映画監督になる方法教えます2019」
日付:11月1日(金)
場所:ニューシネマワークショップ
登壇:佐藤快磨監督

映画情報どっとこむ ralph Q. 2012年からNCW映画クリエイターコースを受講したんですよね?

佐藤監督:映画クリエイターコース[ベーシック]で監督した15分の『舞い散る夜』は、大学生が童貞を捨てようとする話でした。作品自体は課題がたくさんあるけれど、初めて撮ったので、クラスメートと一つのことをするというのが楽しかったです。 同じ年に、映画クリエイターコース[アドバンス]で自分の企画『ぶらざぁ』が選ばれ、監督しました。大学1年の時に5歳上の兄が僕の東京の家に居候しに来た実話が元です。NCWのOBの今泉(力哉)監督が「Movies-High」(ムビハイ:映画クリエイターコースの実習作品やOBが作った作品をー般にお披露目する映画祭)に来て面白かったと言ってくれました。監督として映画を撮り続けられたらなと思い、ぴあ(フィルムフェスティバル)を目指そうという想いを持って大学を卒業しました。

Q. その後、様々なサポートが受けられるNCW制作部に所属して『ガンバレとかうるせぇ』を監督したんですよね?

佐藤監督:制作部の人たちの中で短編の企画コンペがあって、選ばれた人が援助金をもらって撮れるのですが、高校までのサッカーのモヤモヤ・未練を込めた脚本を出したんですけれど、短編のコンペに長編のシナリオを出しました。企画が選ばれ、援助金の制度を使うなら縮めなくてはいけないという話になったけれど、30分には収まらなく、自主で撮って、最終的には結果70分の映画になりました。

Q. 企画コンペに通ったんですが、長編で撮りますということで、蹴っちゃったんですよね?

佐藤監督:これでぴあに行くっていう目標がありました。高校までサッカーをやってきたので、サッカーへのモヤモヤ・未練を1回吐き出したいという想いがあり、100万円くらいUFJの(カードローン)バンクイックからお借りして撮りました。サッカー部のマネージャーが主人公なんですけれど、「脚本自体は秋田で撮る必要はない」と言われたけれど、クラスメートや俳優20人に夜行バスで秋田に1週間来てもらって、秋田の母校のサッカー部の1年生の控えの子たちを勝手に撮影に連れて行って、勢いのまま撮りました。

Q. 女子マネージャーが堀春菜さんで。ぴあで映画ファン賞と観客賞の2つの賞を獲って、かなり評価されましたよね?

佐藤監督:ぴあに入選したと電話で聞いた時は嬉しかったです。この後どうなるんだろうという期待。その後のことはプランなどなかったですが、釜山国際映画祭などに選ばれ、この映画に色々なところに連れて行ってもらったなというのがあります。映画の世界が見れた気がしました。ぴあに選ばれていなかったら、借金だけが残っていたかもしれないです。

Q. そして、『ガンバレとかうるせぇ』を公開しようと?

佐藤監督:公開したいという想いはずっとあったけれど、アクションを起こしていなくて。

ぴあのスカラシップでなんとか次の作品を撮りたいという想いがあり、脚本を2本くらい書いたんですけれど、結果落ちてしまいました。次の作品を撮らなければという想いだったんですけれど、同じくぴあで受賞した飯塚俊光監督(『ポエトリーエンジェル』)は既にVIPOのndjc(若手映画作家育成プロジェクト)で撮ることが決まっていて、話も聞いたりしました。その年、松永大司監督が『トイレのピエタ』でオリジナル脚本で長編デビューされて、岨手由貴子監督も『グッド・ストライプス』というオリジナル脚本で商業デビューされていて、どちらもndjc出身で、その時出会ったプロデューサーと商業デビューされていたので、オリジナル脚本で長編デビューできるチャンスがあるんだと想い、ndjcに応募しました。

Q.翌年の2015年、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』の企画がndjcに選ばれたんですよね?

佐藤監督:それまでスタッフはクラスメートにお願いしていたのですが、プロデューサーを含めて、撮影照明スタッフさんたちは商業映画を撮られている方達だったので、自分に何ができるんだろうということを学べたし、監督は演出しなきゃだめなんだなという課題・目標もできて、ターニングポイントになりました。

Q.今やスターとなった(仲野)太賀と岸井ゆきのが主演ですよね?

佐藤監督:当時から有名でしたけれど、プロの役者さんとスタッフさんとご一緒するいい機会になりました。

Q. その後色々作り続けていて、『歩けない僕らは』を撮らないかという話がきたんですよね?

佐藤監督: 『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』を撮った後に、色々なプロデューサーから名刺を頂戴して、何かあるんじゃないかと期待しかなかったです。でも、ぴあもndjcもプロデューサーと出会う場でしかなくて、その時面白い脚本が手元にあれば、どうにかなったのかなとも思うんですけれど、結局受け身だったので、何もなくて。その時に『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』を見たという方から、PRムービーを作らないかというオファーがあったんですけれど、蓋を開けてみたら、僕の作品を見ていなかったんです。それがショックで、腐っている時に、ぴあで名刺をいただいていたプロデューサーから、回復期リハビリテーション病院を舞台にした映画を作らないかという電話があり、二つ返事でOKしました。脳卒中で半身麻痺が残ってしまった方などが入院している病院で、簡単な気持ちで撮っちゃいけない題材だなと思ったんですけれど、今まで自分の内側から出てきた自分の話しか撮ってこなかったので、自分の外側のもので自分は何が撮れるかなと思って、受けました。撮影した栃木の病院に1年くらい通わせていただいたんですが、通っても通っても脚本が書けなくて。最後にバーッと書けたという感じです。

Q.『歩けない僕らは』でこだわった部分は?

佐藤監督:セラピスト(理学療法士)役の宇野愛海さんも半身麻痺役の落合モトキさんも、セリフはあるけれど、身体的な動作は二人が役作りしてくださいました。監修の方たちも本番直前までかなり細かく見てくださったので、二人は動きを現場でどんどん吸収してくれました。身体的な要素が大きくてセリフのニュアンスも変わるような映画なので、役者さんやセラピストの方たちが頑張ってくれた映画だと思います。

Q. 自分としては納得できる撮影ができたんですか?

佐藤監督:初めましての方もいらっしゃったんですけれど、『ガンバレとかうるせぇ』のカメラマンなどスタッフは気心の知れた方が多かったです。今回は俳優さんたちとお互い話しました。一緒に取材に行った時など、クランクインする前から色々話しました。身体的にもセリフの掛け合いも、ぶつかり合いが映っていると思います。

Q.これで劇場デビューですからね。11月23日から公開なんですけれど、(現時点では、長野の上田映劇以外は)『ガンバレとかうるせぇ』が同時上映なんですよね?

佐藤監督:やっとというか。良かったです。

映画情報どっとこむ ralph ニューシネマワークショップ(NCW)の2020年度4月コースは、1/14(火)より申込受付開始となります。

詳しくはホームページをご覧ください。
https://www.ncws.co.jp

映画情報どっとこむ ralph 映画『歩けない僕らは』

11月23日(土)より新宿K’s cinemaにて公開他全国順次

歩けない僕らは

公式サイト:
www.aruboku.net

Twitter:
@uno_narumi_proj

【STORY】
宮下遥(宇野愛海)は、回復期リハビリテーション病院1年目の理学療法士。まだ慣れない仕事に戸惑いつつも、同期の幸子(堀春菜)に、彼氏・翔(細川岳)の愚痴などを聞いてもらっては、共に励まし合い頑張っている。担当していたタエ(佐々木すみ江)が退院し、新しい患者が入院してくる。仕事からの帰宅途中に脳卒中を発症し、左半身が不随になった柘植(落合モトキ)。遥は初めて入院から退院までを担当することになる。「元の人生には戻れますかね?」と聞く柘植に、何も答えられない遥。日野課長(山中聡)と田口リーダー(板橋駿谷)の指導の元、現実と向き合う日々が始まる。

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宇野愛海 落合モトキ
板橋駿谷 堀春菜 細川岳 門田宗大
山中聡 佐々木すみ江

監督・脚本・編集:佐藤快磨(『ガンバレとかうるせぇ』、『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』、『きっとゲリラ豪雨』)

プロデューサー:登山里紗 撮影:加藤大志
撮影助手:勝亦祐嗣 照明:高橋拓 録音:吉方淳二 音楽:田中拓人

衣裳:馬場恭子 ヘアメイク:橋本申二
ヘアメイク助手:西田美香
助監督:葉名恒星
制作部:福島成人、原田親 スチール:西永智成
協力:医療法人社団友志会、十一合同会社、MotionGallery、独立映画鍋、ニューシネマワークショップ、アクターズ・ヴィジョン、
栃木県フィルムコミッション、栃木市
配給:SPEAK OF THE DEVIL PICTURES
©映画『歩けない僕らは』 2018 / 日本 / カラー / 37分 / 16:9 / stereo

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