現在、絶賛公開中の、世界中の人びとを虜にした伝説のフラメンコダンサー、ラ・チャナの波乱に満ちた人生とその情熱の源に迫るドキュメンタリー映画『ラ・チャナ』。
31日(金)アップリンク渋谷にて、シンガーソングライターの柴田聡子さんと、聞き手に『Sister Magazine』『Scarlet & June』といったwebサイト創設者のつかささんを迎え、 上映後にトークイベントを開催しました。 柴田さんには、ラ・チャナと同じ「表現者」という立場から、本作の魅力についてたっぷりと語 日時:2018年7月31日 |
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本作の観た感想と印象に残ったシーン 柴田さん:ラ・チャナがフラメンコにおける技術と魂、リズムと創作の関係について語っているところが、とても印象に残っています。 フラメンコは、技術などが先立つ芸術だと思いますが、技術に根差して創作しているというところに信頼がおけるし、腑に落ちます。ラ・チャナが「自分の中に揺らぎないものがあれば、何をやってもうまくいく」という事を言えることは、超クールだと思います。そんな風に言える人はなかなかいないですよね。 ラ・チャナが、旦那からのDVなど男性社会から抑圧を受けながらも大きく活躍していたことについて 柴田さん:ラ・チャナが受けた家庭内暴力や男性社会からの抑圧があったという点は、当然見過ごすことができませんでしたが、映画は彼女にひたすら耳を傾け、焦点を合わせ、エネルギーの尊さや力強さを鈍ることなく描いており、更に深く感動しました。大変な時ほど、踊っている時の快感や煌めきがすごい。幅があるほど煌めくので、 どん底から復活したラ・チャナの踊りはすごい煌めきでした。だけど、ラ・チャナはそういった状況下になくとも、同じだけ煌めくことが出来ると思うし、そこは忘れたくないですね。 ラ・チャナの娘が、踊るラ・チャナを観てあまりの創造的なパワーに「お母さん死んじゃうんじゃないか」と恐怖を覚えたことを語るシーンについて 柴田さん:わたしも、ステージ上で毎回死んだほうがいいと思っていますね (笑)。死ねないぐらいなら、やらないほうがいいって。もちろん死んだらダメですが、簡単に死なないということもわかりつつ、死んでしまったほうがいいと思いながらやったほうがいいのかも。それを、ラ・チャナは思うまでもなくやっている。器はもう限界。軽自動車にポルシェのエンジンのっけて走るみたいな状態。人間という体は、中の情熱に対しては、かなり脆いし時間も短い。死んじゃいそうなのは、それだけ魂、表現の欲求が凄い。人間の体である限り、魂に肉体が追い付かないのはしょうがない。だからこそ、ラ・チャナの踊りに感動できたのかと。 同じ表現者としてどう感じましたか 柴田さん:私は自分で作詞作曲をしていますが、同じ表現者として、 フラメンコに とてつもない情熱を傾ける姿、語る言葉、力強い舞台、ユーモアあふれる生活の映像に感動しました。技術と魂、リズムと創作の関係の話は 、 強く心に焼き付いています。音楽や芸術などの表現だけではなくあらゆる人生の場面において、大切なヒントとして受け取ることが出来ると思います。これからもずっと、この世界にラ・チャナが居るということを胸に残して、私も音楽に向かいたいと思いました。 |
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映画『ラ・チャナ』
は、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中。 公式HP: Twitter:
若くしてその才能を開花させたラ・チャナ(本名アントニア・サンティアゴ・アマドール)は、18歳で結婚・出産。夫がマネージャーとなりフラメンコダンサーの活動をつづけた。ダリを魅了し、映画『無責任恋愛作戦』で共演したピーター・セラーズにハリウッドに招かれるも、封建的なヒターノ(ジプシー)社会で女性が自らの意見を言うことは許されず、彼女がハリウッドに進出することはなかった。その後も彼女の人気は衰えることを知らず、テレビ出演や世界ツアーなど、全てのアーテストが目指す頂点にいたラ・チャナだったが、ある日突然、表舞台から姿を消した。 本作では、彼女をとりまく状況を丁寧に解き明かしていく。結婚、出産、キャリアの頂点での引退、男性社会で女性が活躍することの難しさ、家庭内暴力、そしてどん底からの復帰と、人生を共に歩む運命の相手との出会い、迫りくる老い――ラ・チャナの人生は困難に満ちたものだったかもしれない。しかし、絶望すら受け入れ前に進む強さを彼女は教えてくれる。画面からあふれださんばかりのパワフルな踊りとチャーミングな人柄、そして生み出す言葉の一つ一つが私たちを魅了する。 世界中の映画祭で観客賞を受賞!! |
監督:ルツィア・ストイェヴィッチ
出演:ラ・チャナ、アントニオ・カナーレス、カリメ・アマヤ、ほか
(2016年/スペイン、アイスランド、アメリカ/86分/カラー、モノクロ/16:9)
提供・配給・宣伝:アップリンク
提供・宣伝:ピカフィルム