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町山智浩が徹底解説!『アンダー・ザ・シルバーレイク』公開記念トークショー


映画情報どっとこむ ralph 2015年アメリカで4館から1600館に異例の拡大公開、さらには全世界で大ヒットとなり、クエンティン・タランティーノに「こんなホラーは観たことがない」と言わしめた『イット・フォローズ』のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の最新作『アンダー・ザ・シルバーレイク』が、遂に10月13日(土)より全国公開となりました!

セレブやアーティストたちが暮らすL.A.の街<シルバーレイク>を舞台に、忽然と消えた美女を探すうちに、街の裏側に潜む陰謀を解明することになるオタク青年サム(アンドリュー・ガーフィールド)の暴走と迷走を描いた本作。

この度、そんな業界騒然の本作の公開記念トークショーが東京・新宿バルト9で行われ、映画評論家の町山智浩さんが登壇。劇中に数多く隠された謎について持論を展開しました。


『アンダー・ザ・シルバーレイク』公開記念トークショー
場所:新宿バルト9
登壇:町山智浩(映画評論家)

映画情報どっとこむ ralph 初日は各劇場満席が続出するヒットスタートとなった本作。
登壇するや早速映画を観終えたばかりの観客から感想や疑問を聞きに回って

町山さん:シルバーレイクいう街は、16~7年前は変な人しか住んでいなかった。僕が訪れた時も、首元に垢のついたワイシャツを展示する服飾アーティストや、テルミンしか使用しないバンド、ゲテモノしか置いてないレンタルビデオ屋に一日中いるZ級映画の研究家など、ピンクのキャデラックを乗り回す職業不明の金髪美女など、「この人たちは何をしている人なんだろう」って分からない人たちが沢山住んでいたんです。コーエン兄弟も売れていない時にシルバーレイクで女優とシェアハウスしていました。でもジョセフ・ゴードン=レビットやジェームズ・フランコが家を買ったことで、土地の値段が上がり、一気にオシャレな街になった。却ってアート系の人々が住めなくなり、昔の文化としては廃れてしまいましたが

と説明した。

アンドリュー・ガーフィールド演じる本作の主人公・サムについても

町山さん:明らかには描かれていないが、そうしてシルバーレイクがオシャレになり家賃が高くなったことで、今まで通り住めなくなってしまった人物だと推察します。サムのような人は、本当にハリウッドに多い。

と語った町山さん。


客席から「劇中のシーンが、どこから夢でどこから現実なのか分からない」と聞かれると、

町山さん:確かに、サムが見たからといってそれが現実なのかは途中から全く分からなくなる。辻褄を合わせようとするとどんどん深みハマってしまう作りになっているところが面白いです。

と解説。

さらに、町山さんは、ヒッチコックやマリリン・モンローなど本作に登場する無数のオマージュについて、

町山さん:本作は、“夢”に関する映画が多く元ネタになっている。劇中、サムの母親が大好きな映画として登場するジャネット・ゲイナーの「第七天国」も、ラストが夢なのか現実なのか、当時から論争になった作品です。この作品を観たデイミアン・チャゼル監督が、「求めている願望が現実として描かれるエンディングが素晴らしい」と感銘を受け、『ラ・ラ・ランド』のラストで描かれる、“別の時間軸”のエンディングを作ったんです。

と話した。

話題が『ラ・ラ・ランド』へと移ると、町山さんは

町山さん:本作は『ラ・ラ・ランド』が明らかにこの映画の軸になっています。どちらの映画もグリフィス天文台が登場して『ラ・ラ・ランド』のセバスチャン(ライアン・ゴズリング)とミア(エマ・ストーン)ではプラネタリウムを上に向かっていきますが、本作のサムは、どんどん地下に潜っていく。これは、デヴィット・ロバート・ミッチェル監督自身が実際に10年くらいシルバーレイクに住んでいて、サムのように中々芽が出なかった時の想いや経験を反映されているんです。

と語り、

町山さん:そんなサムをエマ・ストーンの元婚約者のアンドリュー・ガーフィールドにやらせたのも良いなと(笑)、本作は残酷なキャスティングも面白いです。

と独自の視点で称賛。

映画情報どっとこむ ralph 最後に・・・

町山さん:この映画は日本で言えば、六本木とか吉祥寺でも作れる話だなと思いますよ(笑)『あそこで有名な人が歌っていた曲を探っていくと実はこんな謎が隠されていた』みたいな物語。こういう話は実はいっぱいある。ロバート・アルトマン監督の「ロング・グッドバイ」が非常に近い。あとは、ミッチェル監督も言っていましたが、アルドリッチ監督作『キッスで殺せ!』や、デヴィッド・リンチ監督作『マルホラント・ドライブ』の要素もある」と次々に例を挙げて解説。「主人公が途中まで何を追っているのか観客には分からない、とんでもない”ハリウッド迷宮もの”を監督は作りたかったんじゃないか」と分析しつつ、「本作は、北米公開が日本よりも後。皆さんが先に観た感想をアメリカ人が読みますよ(笑)中々珍しいですよね。

と貴重な機会として本作をPRした。

『アンダー・ザ・シルバーレイク』
公式HP:
gaga.ne.jp/underthesilverlake

公式インスタグラム:
underthesilverlake_japan

物語・・・
“大物”になる夢を抱いて、L.A.の<シルバーレイク>へ出てきたはずが、気がつけば仕事もなく、家賃まで滞納しているサム。ある日、向かいに越してきた美女サラにひと目惚れし、何とかデートの約束を取り付けるが、彼女は忽然と消えてしまう。もぬけの殻になった部屋を訪ねたサムは、壁に書かれた奇妙な記号を見つけ、陰謀の匂いをかぎ取る。折しも、大富豪や映画プロデューサーらの失踪や謎の死が続き、真夜中になると犬殺しが出没し、街を操る謎の裏組織の存在が噂されていた。暗号にサブリミナルメッセージ、都市伝説や陰謀論をこよなく愛するサムは、無敵のオタク知識を総動員して、シルバーレイクの下にうごめく闇へと迫るのだが。

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監督・脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル『イット・フォローズ』『アメリカン・スリープオーバー』
出演:アンドリュー・ガーフィールド『ハクソー・リッジ』『アメイジング・スパイダーマン』、ライリー・キーオ『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ほか
原題:UNDER THE SILVER LAKE/2018/アメリカ/カラー/シネスコ/5.1ch/字幕翻訳:松浦美奈
© 2017 Under the LL Sea, LLC
配給:ギャガ 


押井守、町山智浩も賛辞 伝説の超大作『恐怖の報酬 オリジナル完全版』メインビジュアル、場面写真を解禁


映画情報どっとこむ ralph ウィリアム・フリードキン監督『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』(11/24公開)のメインビジュアル、場面写真を解禁します。

解禁にあたり映画監督の押井守さん、映画評論家、町山智浩さんからも本作への熱いコメントを頂きました。

南米奥地の油井で大火災が発生。祖国を追われ、その地に流れてきた4人の犯罪者は、1万ドルという「報酬」と引き換えに一触即発の消火用ニトログリセリン運搬を引き受ける。2台のトラックに分乗した男たちは、道なき道を300キロ、ジャングルの奥へと進んでいくが、その先に待ち受ける彼らの運命とは―?
『恐怖の報酬』(77)は、『フレンチ・コネクション』(71)でアカデミー5部門受賞、『エクソシスト』(73)で全世界にオカルト・ブームを巻き起こした巨匠ウィリアム・フリードキンによる、手に汗握る緊張と興奮のサスペンス巨篇。

今回解禁されたメインビジュアルは、「密林の果てに、地獄を見た―。」というコピーが添えられ、今にも崩れ落ちそうなつり橋の上を、ニトログリセリンを積んだトラックが、大きく傾きながらも、決死の覚悟で橋を渡ろうとする瞬間が捉えられている。
1978年の日本公開時は、約30分カットされた92分の【短縮版】が配給され、黙殺同然に公開終了となったが、それから40年、フリードキン自ら監修した4Kデジタル・リマスター、121分の【オリジナル完全版】が遂に日本初公開となる。


映画情報どっとこむ ralph 今回の【オリジナル完全版】に対して、コメント

今回の【オリジナル完全版】は、フリードキンという監督が単なるヴィジュアリストに留まらない優れたドラマ演出家であることを証明しています。
登場人物の過去を描いた冒頭部分の手際の良さは見事というしかなく、人物描写に奥行きを与えることに大きく貢献しているだけでなく、この作品の時代背景にスケール感を与えています。リメイク作品は評価されにくいものですが、私はクルーゾーの『恐怖の報酬』よりもフリードキンの『SORCERER』を選びます。フリードキン自ら監修した4Kデジタル・リマスター版で、是非ともこの傑作を堪能して戴きたい。
押井守(映画監督)

完全版はさらに非情!殺伐!絶望!悪党どもの『オズの魔法使い』!黄色いレンガ道は地獄の吊り橋だ!
町山智浩(映画評論家)

映画情報どっとこむ ralph 恐怖の報酬【オリジナル完全版】
原題:SORCERER(魔術師)

今秋11月24日(土) シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
URL: SORCERER2018.com


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出演:ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドゥ
監督・製作:ウィリアム・フリードキン
脚本:ウォロン・グリーン
原作:ジョルジュ・アルノー
音楽:タンジェリン・ドリーム
【1977年|アメリカ映画|カラー|ヴィスタサイズ|5.1ch|DCP|上映時間:121分】
提供:キングレコード
配給:コピアポア・フィルム
© MCMLXXVII by FILM PROPERTIES INTERNATIONAL N.V. All rights reserved.


スウェーデンが生んだ巨匠!「ベルイマン生誕100年映画祭」 開催へ!


映画情報どっとこむ ralph このたび、スウェーデンが生んだ“20世紀最大の巨匠”イングマール・ベルイマン監督の生誕100年を記念し、特集上映「ベルイマン生誕100年映画祭」を、7月21日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次にて開催いたします。

2018年7月14日は、ベルイマンの100回目の誕生日。この記念すべき日を祝すため、前夜と当日の二日間連続で、スペシャルなイベントを開催する運びとなりました。


映画情報どっとこむ ralph 【7/13(金)前夜祭】
町山智浩さんによる特別レクチャー! ~ベルイマンを知らないあなたのためのベルイマン講義~ 町山智浩さんによる、YouTube ライブのスペシャル・トークショーの開催が決定!

アンドレイ・タルコフスキー、フランソワ・ト リュフォー、スタンリー・キューブリック、ロバード・アルトマン、デヴィット・リンチといった往年の巨匠から、ミヒャエル・ ハネケ、ラース・フォン・トリアー、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、グザヴィエ・ドラン、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、 ギレルモ・デル・トロといった近年の映画作家に至るまで、計り知れない影響を与えたベルイマンのフィルモグラフィーを様々な 角度から徹底解解説!生涯で 5 回も結婚するなど、波乱万丈な生涯を送ってきたべルイマンの私生活が作品にどんな影響を与えた のか、ベルイマンの映画がどれほど後の映画に影響を与え、“真似”されてきたのか‥‥などなど、カリフォルニア州バークレーの 自宅からたっぷり1時間、ベルイマンの魅力を語りつくします。

【日時】7/13(金)23:00~24:00(予定)
【ゲスト】町山智浩(映画評論家)
【視聴方法】YouTube の<zaziefilms 公式チャンネル>
www.youtube.com/user/zaziefilms/)より生配信!

映画情報どっとこむ ralph 【7/14(土)生誕祭】
世界の巨匠たちと菊地成孔とともに、ベルイマンの誕生日を祝おう! ベルイマンの 100 歳の誕生日当日は、総勢 25 名に及ぶ有名監督・俳優たちがベルイマンへの思いを語る未公開の傑作ドキュメン タリー『グッバイ!ベルイマン』を特別上映!(2016 年トーキョーノーザンライツフェスティバルで限定上映)。今後、劇場公開・ソフト化の 予定もないため、今回の一回限りの上映がラストチャンスとなる可能性が高く、見逃せません。さらに、本編上映前には、映画だ けでなく食文化・音楽など北欧カルチャー全般に対する造詣が深い菊地成孔さんをお迎えしてトークショーも実施。ベルイマンを 「世界映画史上最強のインフルエンサー」と称す菊地成孔さんが独自のベルイマン論を語ります。

【日時】7/14(土) 16:00 開場/16:20 開演/19:00 終了予定
【会場】YEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区恵比寿 4-20-2 恵比寿ガーデンプレイス 内)
【料金】¥1500‐均一
【上映作品】『グッバイ!ベルイマン』(原題:Trespassing Bergman)
【トークゲスト】菊地成孔(音楽家/著述家/映画評論)

【作品概要】 ベルイマンが暮らしたフォール島の自宅。「侵入禁止」の立て札が見える敷地内に、世界各国から集まった映画監督たちがカメラと ともに入っていく…。憧れの人の暮らした場所の空気に包まれて高揚する者、ハリウッドのオフィスで冷静に分析する者、パリで、 東京で、コペンハーゲンで…世界中の映画作家たちが、敬愛してやまないスウェーデンの巨匠について熱く語り始める。ベルイマ ンの生涯とフィルモグラフィーの紹介も分かりやすく、入門編としても最適な珠玉のドキュメンタリー。

原題:Trespassing Bergman
英題:Bergmans video
監督:ヤーネ・マグヌッソン、ヒネク・パラス
出演:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、トーマス・アルフレッドソン、ジョン・ランディス、クレール・ドゥニ、ミヒャエル・ハネケ、ダニエル・エスピノーサ、アン・リー、マーテ ィン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ウェス・アンダーソン、ウディ・アレン、フランシス・フォード・コッポラ、ハリエット・アンデション、ラース・フォン・トリアー、ローラ・ダー ン、アレクサンダー・ペイン、リドリー・スコット、チャン・イーモウ、ウェス・クレイヴン、北野武、ホリー・ハンター、イザベラ・ロッセリーニ、モナ・マルム、ペルニラ・アウグスト、ト マス・ヴィンターベア
2013 年/スウェーデン/113 分/DCP

映画情報どっとこむ ralph 開催を1週間後に控えた「ベルイマン生誕100年映画祭」の予習としても絶好の機会となる、前夜祭と生誕祭、そして各国の名だたる映画監督が寄せたベルイマンへのコメントも到着しました!

世界中の名だたる映画監督から、ベルイマンへの愛溢れるコメントも到着! 敬称略・順不同
ベルイマンの映画にとてつもない衝撃を受け、彼のようになりたいと心底思った。
――フランシス・フォード・コッポラ

ベルイマンの作品は一つ残らずすべて観た。
電話で話したこともないし、何通手紙を書いても返事ももらえなかった。
話したいことがたくさんあったのに、それが叶わず悩んだよ。
自分なりに理解して、諦めたんだ。ベルイマンなんてクソくらえだ!
僕にも自分の人生がある。連絡したくないなら、こっちも忘れようと思った。
でも彼を敬愛している。悔しいが、僕にとって彼は全てだ。
――ラース・フォン・トリアー

大半の人は、自分の人生に満足していないだろう。
誰もが困難に直面し、様々な思いを抱えてもがいているのだろう。
ベルイマンは問題を簡単に扱わずに、人間の営みをそのまま描く。
年齢や状況によって人の考え方は変わるが、彼の映画は普遍的なことを描いているから、
国籍や民族が違っても共感できるんだ。
今の時代、彼のような偉大な映画監督を生み出すのは難しいだろう。
――チャン・イーモウ

僕は 18 歳だった。初めてベルイマンの映画を観た。あの日のことは忘れない。まるで啓示を受けた気がしたんだ。
どれほど衝撃的だったが、きっとわかってもらえないだろう。まるでベルイマンに童貞を奪われたような気分だったよ。
――アン・リー

ベルイマンは、ジャン=リュック・ゴダールやアンディ・ウォーホルのように、新しい映画の定義を作り出した。
彼は世界中の多くの映画作家にとって、強大な影響力をもつ存在だ。
――マーティン・スコセッシ

僕はベルイマンの時代をくぐり抜けてきた。彼が作った作品は全て観ている。素晴らしいものばかりだ!
――スティーブン・スピルバーグ

私の人生で最も偉大な映画人だ。
――ウディ・アレン

あなたの映画は常に、私の心を揺さぶった。
作品の世界観を作り上げる巧みさ、鋭い演出、安易な結末の回避、
そして人間の本質に迫る完璧な人物描写において、あなたは誰よりも卓越している。
――スタンリー・キューブリック

ベルイマンの作品において最も心打つ特質は、いっさいの虚飾をはいで、その<本質>だけをむきだしにした性格である。
この世に生をうけ、この世にある者なら、だれもが、そのすばらしさを理解し、評価することができよう。
――フランソワ・トリュフォー


恐ろしいまでに圧倒される演技、息を飲む撮影技術。痛み、病、悲しみ、そして孤独の描写のなんという繊細さ!
――グザヴィエ・ドラン

ベルイマンの映画は、すべてにおいて完璧だった。
――リドリー・スコット

小学校の時に、はじめて観たベルイマン監督の作品が、我が人生のトラウマになってしまった。
1960年代にベルイマンの映画を観るという事は、
スウェーデンのポルノ映画を観ることとなんら変わりないほどに、過激な事であった。
スウェーデンポルノ映画を観るのと同時に、当時の私はベルイマンの『沈黙』や『叫びとささやき』を見て、
あるいは高校の時に映画館で見た『不良少女モニカ』で、そしてリヴ・ウルマンという名前を聞くだけで、
いまだに幼少時の性の目覚めを思い出し、暗闇の中でドキドキした記憶で疼くのだ。
神だの、原罪だのはこれらの映画が植えつけたんだ。
ベルイマンとは、私にとって北欧の妖しく暗く輝く性の業を、幼い私の心の底に刻んだ罪深い黒い宣教師だ。
――園子温

私のベルイマン最高傑作群は、『処女の泉』、『野いちご』、『恥』、『秋のソナタ』、
そして、『ファニーとアレクサンデル』。
『処女の泉』のすごさは、イノセンスの終焉を潔く迎える親力に拠る。
自然をもコントロールできる神々しい映画作家の姿もある。
中世の森の光と罪を洗い流す水の清らかさを謳って、黒澤明の『羅生門』と双璧をなす。
『羅生門』を年月かけて醗酵させたものが、『処女の泉』である、とも思う。
彼の作歴で忘れてならないジャンルは「先ず女優ありき」の作品群だ。これは「先ず母ありき」とリンクする。
『秋のソナタ』では魂の愛人リヴ・ウルマンと国家の母性イングリッド・バーグマンを競演させ、
ベルイマン自身の親としての不安を謳い上げた。結婚と離婚を繰り返し、子孫を残した巨匠だから、
子供たちへの贖罪の感覚がある。それが強烈な表現者の矜持に転化されて名作を産む。
その最高峰が『ファニーとアレクサンデル』。ここには、母への愛があり、親力の凄みがある。
神の家と演劇の家と魔術師(映画人)の家が香り高く同居している完璧なベルイマン映画は、
家族映画の至高のスペクタクルとなり、ベルイマンはこの一作で、映画作家の桃源郷に君臨している。
――原田眞人

別に統計をとったわけではないものの、その世界的な評価の圧倒的な高さと比べるとベルイマンの日本での上映機会は不当
に少なかったのではないだろうか。今回の特集上映は、その遅れを一気に取り戻せる絶好の機会である。主要な作品のほとん
どがオリジナル企画で脚本も自身で書く作家性の塊のような監督である上に、「神の沈黙」とか「愛と憎悪」とか「生と死」とか
Wikipedia に書かれているのを見ると、つい重苦しそうで尻込みをしてしまうが、実際に見てみると驚くほどのユーモアと色気に
満ちている。
『夏の夜は三たび微笑む』では男も女もだらしなくしかし真剣に艶やかな恋愛ゲームに明け暮れ、死をストレートに題材にした
「メメント・モリ」映画の代表格『第七の封印』でさえ、有名な死神とのチェスの様子はそれだけでユーモラスだ。一方で油断し
ていると『処女の泉』のような鈍器で観客を殴りつけるようなエネルギーに満ちた作品もある。ぜひ先入観を一度なくして自由
で多彩なイングマール・ベルイマンの小宇宙を再発見して欲しい。
――深田晃司

映画情報どっとこむ ralph ベルイマン生誕100年映画祭

公式サイト:
http://www.zaziefilms.com/bergman100/

7/21(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次開催!


——–上映作品 【計13本】——–

『夏の遊び』(51)
(C) 1951 AB Svensk Filmindustri


『夏の夜は三たび微笑む』(55)
(C) 1955 AB Svensk Filmindustri


『第七の封印』(57)
(C) 1957 AB SVENSK FILMINDUSTRI

『野いちご』(57)
(C) 1957 AB Svensk Filmindustri

『魔術師』(58)
(c) 1958 AB SVENSK FILMINDUSTRI

『処女の泉』(60)
(C) 1960 AB Svensk Filmindustri

『鏡の中にある如く』(61)
(c) 1961 AB SVENSK FILMINDUSTRI

『冬の光』(63)
(C) 1963 AB Svensk Filmindustri

『沈黙』(63)
(c) 1963 AB SVENSK FILMINDUSTRI

『仮面/ペルソナ』(66)
(c) 1966 AB Svensk Filmindustri

『叫びとささやき』(73)
(c) 1973 AB SVENSK FILMINDUSTRI

『秋のソナタ』(78)
(C) 1978 AB Svensk Filmindustri

『ファニーとアレクサンデル』(82)
(c) 1982 AB Svensk Filmindustri, Svenska Filminstitutet. All Rights Reserved.


配給:ザジフィルムズ、マジックアワー

後援:スウェーデン大使館

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セクハラ問題で撮り直しに10億円!等々『ゲティ家の身代金』を町山智浩大いに語った!公開記念トーク


映画情報どっとこむ ralph フォーチュン誌によって、世界で初めての億万長者に認定された石油王ジャン・ポール・ゲティ。

1973年ローマで彼の孫が誘拐され、当時史上最高額ともいえる身代金を要求されたものの、その支払いを拒否した世界一有名な誘拐事件が、巨匠リドリー・スコットの手によりついに映画化。

『ゲティ家の身代金』が5月25日(金)に日本公開となります。この公開に先駆け、本日5月7日、映画評論家・町山智浩を招き公開記念トークイベントを行いました。

映画『ゲティ家の身代金』公開記念トーク
日時:5月7日(月)
場所:神楽座
登壇:町山智浩(映画評論家)

映画情報どっとこむ ralph 足元の悪い中、本イベントを楽しみにしていた多くのファンが会場へ詰めかけた本イベント。
登壇も早々、劇中に使用されているZOMBIESの「Time of the Season」について、

町山さん:この歌は歌詞の中で“who’s your daddy”という部分があるのですが、”お金持ちのお父さんがいるよ“という意味で、歌詞が内容とリンクしているんですよ。リドリー・スコット監督が使う劇中に使用している楽曲は必ず意味があるので、そこにも注目して見てください。

と見どころを説明。

さらに、完成のかなり前からリドリー・スコット監督にインタビューができる予定だったという

町山さん:12月のクリスマス公開予定だったが、ケビン・スペイシーのセクハラ問題で、10月くらいに、公開できないかもという話があって、映画が公開できないかもしれないとなりました。普通であれば、このまま中止か、長い時間をかけて取り直すところですが、彼は一ヶ月前から、急遽撮り直し、そのままの日程で公開したので、すごいです。しかも、取り直しのシーンは、10億円かかっていると言っていましたね。

と映画内容同様、日本だと考えられない金額も飛び出しました。


また、リドリー・スコットに、ケビン・スペイシーのことをどう思うかを聞いたという町山さんは

町山さん:“行方不明で見つからず、弁護士としか連絡がとれないから、ぶっ殺したいよ!”と言っていましたよ!彼は、巨匠という感じではなく、メイキングでは、Fワードをやたら言うおじいちゃんなんですよ。

と話すと、会場は大きな笑いに包まれた。 さらにキャスティングについて

町山さん:監督はゲティ役を元々クリストファー・プラマーで予定していましたが、映画会社から人気のあるケビン・スペイシーでと言われ、キャスティングされたので、結果として変更になり良かったので喜んでいました。ただ、全て同じ構図で取り直したにも関わらず、違う映画になってしまったと言っており、ケビン・スペイシー版は、冷酷非情の金持ちに見えるが、 クリストファー・プラマー版は、人情を感じる人柄となっています。そんなクリストファー・プラマーはまったく本人について調査せず、ケビン・スペイシー版のフィルムも見ず、台本だけ読み、自分の解釈で演じたと語っていますが。それでアカデミー賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞のノミネートでもオファーから一ヶ月ないというスピードというのだから、本当にすごいです。

彼の演技力を裏付ける話も語った。

映画情報どっとこむ ralph 続いてMCから、「今から45年前に実際に起きた事件ということですが、アメリカでは相当有名な事件なんでしょうか」とふられ

町山さん:犯人から、誘拐された息子の耳が送られてきた段階で、日本でも大きく報道されていました。アメリカでも、『クリスマスキャロル』のスクルージのような“とんでもないケチ親父”ということで、有名で、クリスマスに公開する意味は、スクルージなんだという意味もあるんです。リドリー・スコット監督が本作を撮ろうと思った理由も、“母が頑張った”というところに惹かれたからで、監督の頭の中には、シェイクスピアの『リア王』があり、末娘のコーデリアを裏に見たとも言っていました。

と本作のモデルとなった作品についても触れた。

さらに、

町山さん:この作品は、見終わった後、登場人物がその後どうなったかを調べると、さらに面白いですよ。ゲティは孫が14人、奥さんが5人いますが、どの奥さんとも一緒に暮らしておらず、子供ができると捨てていくような人物で、お金を持っているが寂しい男を表す象徴的なセリフもあるので、注目していただきたいです。

と注目ポイントについても話し、さらにリドリー・スコット自身に実在する当時の誘拐犯のグループ(イタリアのカラブリア州を仕切っている”ンドランゲタ“)から、脅迫状が届いたという衝撃のエピソードも飛び出し、

町山さん:彼らの組織は、世襲制になっており、レストラン等も含め経営し、街の経済を仕切っている上に、イタリアのGDPの3%は彼らの組織で、国家権力も刃向かえないんです。それを踏まえて見てみるとさらに楽しめます。また、本作の原題である『All the Money in the World』は、「世界中のお金があっても、◯◯は買えない」などに使うイディオムでもあり、まさにゲティを象徴しているんです。

と原題の意味について説明すると会場から、感嘆の声が。

そして、ミシェル・ウィリアムズのゲティから信じられないことを言われ、酷すぎて逆に笑ってしまうような演技が素晴らしいという町山は、彼女とマーク・ウォルバーグとの賃金格差の問題についても、

町山さん:ハリウッドの通例通り、男のほうが高い金額をもらったことを後で知った監督も怒ったこの騒動ですが、その後マーク・ウォルバーグは、セクハラ被害者のための基金「Time’s Up」寄付したりなど、#MeTooムーブメントに一番影響を受けた映画なんですよ。

と今の時代を象徴する作品であるということについても言及した。

映画情報どっとこむ ralph
続き、戦う女性を描き続けている監督についても

町山さん:リドリー・スコット監督は、フェミニスト映画のパイオニアでもあって、『テルマ&ルイーズ』や『G.I.ジェーン』など、一貫して、強い女性を描いています。何故、そういった作品を撮り続けるのか聞いたら、彼のお母さんがそういう人で、自分たち兄弟をあまり家にいなかった父の代わりに一生懸命育ててくれたので、女性といえばお母さんのイメージになっていると語っていて、それはまさに、本作にも反映されています。

と語り、

最後に・・・

町山さん:この映画は強烈ですよ!!目ん玉開いてガッツリ見てください。タランティーノですら、カメラをよけたシーンが、“俺はそんなぬるいことはやらねえ!”と言って撮ったやんちゃ親父の強烈な作品です。

とこれから作品を鑑賞する観客を煽り、イベントは幕を閉じた。

ゲティ家の身代金
原題:『All the Money in the World』


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監督:リドリー・スコット
脚本:デビッド・スカルパ
上映時間:133分 2017年アメリカ
全米公開:2017年12月25日

出演:ミシェル・ウィリアムズ、クリストファー・プラマー、ティモシー・ハットン、ロマン・デュリス、チャーリー・プラマー、マーク・ウォールバーグ
原作:ジョン・ピアースン著『ゲティ家の身代金』(ハーパーコリンズ・ジャパン刊)
配給:KADOKAWA
©2017 ALL THE MONEY US, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
   


紗倉まな~山田宏一まで著名人絶賛コメント!映画『早春 デジタル・リマスター版』


映画情報どっとこむ ralph 1972年の日本初上映以来長らく劇場上映の機会がなく、ソフト化もされていないことからカルト的が高まっていた、イエジー・スコリモフスキ監督映画『早春 デジタル・リマスター版』が、いよいよ今週1月13日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA他にて待望の劇場公開。本作はロンドンの公衆浴場に就職した15歳のマイク(ジョン・モルダー=ブラウン)が、婚約者がいながら奔放な 性生活を働く年上の女性スーザン(ジェーン・アッシャー)の恋心を抱き、徐々にエスカレートしていく彼女への執着を描いた伝説の青春映画。

イエジー・スコリモフスキ監督独特の映像美がデジタル・リマスター版として鮮やかによみがえります!
この度本作の公開に寄せて 、 著名人より絶賛のコメントが到着しました!

映画情報どっとこむ ralph 恋は何故こんなにも人を面倒臭くさせるのだろうか。’好き’が次々と爆発して、どうしても真っ直ぐに進めない、その不器用さ。いつまでも観たくなりました。
紗倉まな(AV女優/作家)

映像の時代的古めかしさはむしろ新鮮で、おしゃれにすら映って楽しめる。少年の恋を思春期の危うさとともに描いているが、片思いのいら立ちを知っている者ならきっと感情移入する。これは確かに、「死ぬほどの恋」だ。
蒼井ブルー(作家/写真家)

誰もが気恥ずかしくも夢中で一度は死ぬほどの恋をする。滑稽で悲痛な、甘美で苦しい、初恋。スコリモフスキの『早春』は永遠に危うく不安な青春映画の傑作だ。
山田宏一(映画評論家)

童貞をこんなにも美しく、残酷に描いた映画があるだろうか。プールに浮かぶ少年と美女の看板のラブシーンは永遠に不滅だ。
町山智浩(映画評論家)

黄色いコートに身を包んだナイフみたいなジェーン・アッシャー。彼女が切り裂いた少年の心から流れた血が、透明な水にたゆたう。無垢が潰える瞬間をこんなにも残酷に、硬質に、甘美にとらえた映画も他にない。
山崎まどか(コラムニスト)

子供と大人の狭間。美しさと汚さの狭間。現実と夢の狭間…。どちらにも転ばない全てが危ういバランスで成り立つ儚い世界! 段々と笑えてきさえする青臭さ全開な主人公の行動が最高に愛おしいと思いました…!
テンテンコ(アーティスト)

「青春映画の幻の古典」とされているが、ロンドンのポップと東欧の暗さが絶妙にミックスされている混血的珍品。とまれ、様々な元ネタの塊である、魅力的で斬新なショットの数々。デジタルリマスターの威力ハンパねえ。
菊地成孔(音楽家/文筆家)

映画情報どっとこむ ralph ★イエジー・スコリモフスキ監督直筆ロゴをデザインしたオリジナルTシャツ限定販売!

サイズS.M.L 各3,800円(税込)で1月13日より劇場にて販売開始!

★劇場公開記念!映画批評家・廣瀬純トークショー

「暴力は色彩表面においてそのdeep endに達する」
1/19(金) YEBISU GARDEN CINEMA19:30上映終了後に開催決定!

映画情報どっとこむ ralph 早春 デジタル・リマスター版

1月13日よりYEBISU GARDEN CINEMAにてロードショー

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監督・脚本:イエジー・スコリモフスキ
脚本:イエジー・スコリモフスキ、イエジー・グルザ、ボレスワフ・スリク
撮影:チャーリー・スタインバーガー
出演:ジェーン・アッシャー、ジョン・モルダー=ブラウン、ダイアナ・ドース、カール・マイケ ル・フォーグラー、クリストファー・サンフォード、エリカ・ベール音楽:キャット・スティーヴンス、CAN 1970年
イギリス・西ドイツ
原題:Deep End
カラー
92分
デジタル・リマスター
提供:マーメイドフィルム、ディスクロード
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:VALERIA
協力:ディスクユニオン
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