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松崎健夫、矢田部吉彦 が映画『迫り来る嵐』を紐解いた!トークイベント


映画情報どっとこむ ralph この度、1月5日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開となる映画『迫り来る嵐』のトークイベントが都内・京橋テアトル試写室にて行われました。
登壇したのは、東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部吉彦さんと映画評論家松崎健夫さん。
日時:12月19日(水)
場所:京橋テアトル試写室
登壇:松崎健夫(映画評論家)、矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミングディレクター)

映画情報どっとこむ ralph 東京国際映画祭での選定について

矢田部さん:中国は商業映画が多く、アート系の映画が少ない中で、(この作品は)工場のチェイスの迫力、雨のトーンの美しさに惹かれて、世界的に評価された「薄氷の殺人」ともまた違った優れた作品だと思って選びました。

と語ると

松崎さん:「めまい」とか「カンバセーション・・・盗聴・・・」の影響を受けたと東京国際映画祭の時に監督が話されていたんですが、「セブン」とか「ミッドナイトクロス」の影響も感じます。あと、工場の前で待つシーンは、リュミエールの「工場の出口」を再現したかのようにも感じて、映画がすごい好きな監督なのかなと思いました。

97年という時代

松崎さん:97年という時代設定なんだけど、監督は“いま”のことを描きたいんじゃないかなと感じました。香港返還の年で、中国の地方都市の人々にとって、返還された香港はあこがれの的だった。でも現在、地方と都市との格差があって、北京や上海に憧れを持っているのと変わりがないのかなと思いました。

矢田部さん:監督はその時代(90年代)、高校から大学の年齢で人格形成をしている時期で、その当時は何が起きているかわかっていなかったと言ってました。だから、それを理解するために、この時代を描いてみたかったと。主演のドアン・イーホンも同じようなことを言ってました。08年も北京オリンッピックがあって、もうひとつの大きな転換期だったと。20年経っても状況が変わっていないという指摘もそのとおりだと思うので、ただ、当時を振り返っただけの映画ではないですね。

最近の映画の傾向を

松崎さん:いま、過去を描くことによって、過去から今を再考してみるという作品の傾向があると思います。アカデミー賞関連でも(アルフォンソ・キュアロン監督の)「ROMA/ローマ」とか、バリー・ジェンキンスの「ビールストリートの恋人たち」とか、昨年のスピルバーグの「ペンタゴンペーパーズ」とか。自分たちがその当時、間違ってたんじゃないかと考え直す映画が増えていて、「迫り来る嵐」も40代の監督が描いていることに意味があるんじゃないかと思いました。

矢田部さん:それでいうと、今年の東京国際映画祭で上映した中国映画の「詩人」という作品も90年代を描いていて、ジャ・ジャンクーと同じくらいの世代の監督で、あの時代は重要で大きな転換期だったので、改めて触れたい、今にも通ずる話と言ってました。

演出について

矢田部さん:演出というか、この工場を見つけて、それを映画に取り込んだセンスがこの映画(の良さ)を決めたのかなと。工場が時代に取り残されていく恐竜に見えて、これはその中で争っているドンキホーテの話だなと。その視点に惹かれました。

松崎さん:僕が気づいた点でいうと、男女の恋愛に対する違いで、男は過去にこだわるけれど、女性は未来を見ている点です。二人が話していて、(女が男に)写真をあげるシーンで、女性は鏡を見ながら男性を見ている。視線が合っているのかなと思うんですが、実は男は(女ではなく)写真を見ているんですね。つまり過去を見ている。だから視線があっていないから、二人はそもそも結ばれることはなかったのかなと。

天候について

松崎さん:ずっと雨が降っているわけではないですが、降っている時に悪いことが起こる。雪になるところは、より厳しい状況になっていることを意味しているんだろうなと。そういう天候を演出として利用しているところが面白かったです。

矢田部さん:映画のイメージを雨で統一したいと監督は言ってました。ただ、雨降らしが大変だったようです。あと、壇上のシーンも含めて、雪の演出の効果も見事だったと思います。あれは事実だったかどうかもありますが、実は正解はなくて、目の前にあることを全て受け入れていいのか、疑問を持つべきだということを監督が話していたので、その判断は観客に委ねると。わかりやすいものに対する抵抗というものを感じました。

松崎さん:それでいうと、男がトラックで轢かれるシーンがあって、主人公の角度からは見えないけど、違う角度から見れば見えたはずなんですが、見る角度によってものごとの見え方が変わるということを意味しているのかなと。

映画情報どっとこむ ralph 最後に・・・

矢田部さん:映像表現で語って、すべてわかりやすく説明はしないという監督の思いがあると思います。見れば見るほど発見があるので、何度見ても楽しめる映画だと思います。

松崎さん:私も2回目で気づいたことがありました。スルメのような映画だと思います。


映画『迫り来る嵐

2019年1/5(土)、新宿武蔵野館、ヒューマントラスシネマ有楽町ほか

「殺人の追憶」「薄氷の殺人」に続く、本格派サスペンス映画の誕生!

1997年。中国の小さな町の古い国営製鋼所で保安部の警備員をしているユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)は、近所で起きている若い女性の連続殺人事件の捜査に、刑事気取りで首を突っ込み始める。警部から捜査情報を手に入れたユィは、自ら犯人を捕まえようと奔走し、死体が発見される度に事件に執着していく。ある日、恋人のイェンズ(ジャン・イーェン)が犠牲者に似ていることを知ったユィの行動によって、事態は思わぬ方向に進んでいく…。果たして、ユィに待ち受ける想像を絶する運命とはー。



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監督/脚本:ドン・ユエ(董越)
出演:ドアン・イーホン(段奕宏)、ジャン・イーイェン(江一燕)、トゥ・ユアン(杜源)、チェン・ウェイ(鄭偉) 、チェン・チュウイー(鄭楚一)
中国/2017年/カラー/中国語/119分/シネスコ/5.1ch
配給:アット エンタテインメント   
映倫:G指定
© 2017 Century Fortune Pictures Corporation Limited 
   


松崎まことx松崎健夫『バグダッド・スキャンダル』とA24を語った!


映画情報どっとこむ ralph 国連の政治スキャンダルを描いたポリティカル・サスペンス『バグダッド・スキャンダル』が11月3日(土)よりシネマカリテ他全国順次公開致します。本作の公開を記念して下記の通り、松崎ブラザーズこと放送作家で映画活動家の松崎まことさん、映画評論家の松崎健夫さんゲストにお招きしたトークイベント付き特別試写会を行いました。


映画『バグダッド・スキャンダル』イベント試写会
日時:10月29日(月)
場所:IMAGICA第2試写室
登壇:松崎まこと (放送作家・映画活動家)、松崎健夫 (映画評論家)

映画情報どっとこむ ralph この度、11月3日(土)より公開される実話に基づく社会派サスペンス『バグダッド・スキャンダル』のトークイベント付き試写会が行われ、ゲストに放送作家で映画活動家の松崎まこと氏、映画評論家の松崎健夫氏、通称松崎ブラザーズのお二人が登壇した。

本作は「石油・食料交換プログラム」における内部告発を題材としており、初めに
松崎まことさん:石油・食料交換プログラム事件」をどれだけの人が知っていますか?

と観客に問うと、数名が頷く程度で、

松崎健夫さん:僕は覚えていなかった。

と、いかにこの事件が世に埋もれてしまっているかが明確となった。告発系映画というジャンルについて、

松崎健夫さん:こういった映画はフィクションの形をとりながら事実を多くの人に知らしめることができる。エンタテイメントの力を借りて分かりやすく見せるツールとして有効です。

と述べた。一方、

松崎まことさん:「国が悪くなると告発系の映画が増える」と森達也監督といっています。期待してはいいのか分からないけれど、日本も告発系映画が増えるのでは?

と苦笑しながらも示唆し、会場から笑いが起きた。

映画情報どっとこむ ralph 話題は、ヒット作を連発する米の新鋭スタジオ「A24」の勢いについて。

本作も「A24」が手掛けた作品で、巧みな演出とスリルある展開は松崎ブラザーズも圧倒されたそう。まず、
松崎健夫さん:11月日本公開の映画が『バグダッド・スキャンダル』を含め4本もあるA24は、2012年に設立されたばかりで、いまや年間20本も映画を作っている。本当に勢いがあります!

ハリウッド映画は近年、原作ものやリバイバル、続編などデータがきちんと取れているものを制作しがちで、リスク回避しているのが実状。そんな中、A24は純粋なアメリカ映画ではなくアメリカ国外からひろってきた作品を発表してきた。『バグダッド・スキャンダル』もその1つ。個性的でアート性とエンタテイメント性を融合させたオリジナルで挑戦している。映画へのアンテナ感度が高い人は、あのロゴは間違いがないと思うまでの会社になっているのでは。

と太鼓判。

松崎まことさん:これからもA24作品が賞レースを賑わす予感がします!

と述べました。

映画『バグダッド・スキャンダル』原題:Backstabbing for Beginnersは11月3日(土)よりシネマカリテ他全国順次公開です。

Story
2002年。24歳のアメリカ人青年マイケルは、念願だった国連事務次長の特別補佐官に任命され、国連が主導する「石油・食料交換プログラム」を担当することになった。これはイラクがクウェートに侵攻したことによる経済制裁の影響で、貧困にあえぐイラクの民間人を救う人道支援計画。国連の管理の元でイラクの石油を販売し、食料に変えてイラクの国民に配るというプロジェクトだ。一見理想的な政策に見えるこのプロジェクトに実はフセイン自身が関与し、国連を中心とした世界各国の企業や官僚機構が関わっていることが判明。やがて世界に例を見ない巨額の汚職事件に発展していく。実話を基にしたポリティカル・サスペンス。

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原作:マイケル・スーサン
監督・脚本:ペール・フライ
脚本:ダニエル・パイン

出演:テオ・ジェームズ、ベン・キングズレー、ジャクリーン・ビセット、ベルシム・ビルギン

2018年/デンマーク=カナダ=アメリカ/106分/5.1ch/シネスコ/カラー
配給:アンプラグド
©2016 CREATIVE ALLIANCE P IVS/ BFB PRODUCTIONS CANADA INC. ALL RIGHTS RESERVED. 公式HP:http://baghdad-s.com/


映画『女は二度決断する』 松崎健夫熱弁をふるう!


映画情報どっとこむ ralph 第75回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞、第70回カンヌ国際映画祭ではダイアン・クルーガーが主演女優賞を受賞した、ドイツの名匠ファティ・アキン監督最新作『女は二度決断する』が、4月14日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAにて他にて全国公開となります。

この度、公開に先立ち開催した一般試写会の上映後に映画評論家・松崎健夫さんが登壇しました!

『女は二度決断する』開催概要
日時:4/4(水)
会場:ゲーテ・インスティトゥート 東京ドイツ文化センター
登壇:松崎健夫(映画評論家)

映画情報どっとこむ ralph 『女は二度決断する』に関連するという作品のDVDを片手に登壇した松崎健夫さん。

MCから『女は二度決断する』について聞かれると

松崎さん:このジャンルはビジランテ(自警)もの。古くは1960年代のマカロニウエスタンに遡るのですが、超法規的手段で悪者を懲らしめる、という物語の傾向が流行ったんです。今でこそ、俳優としてだけでなく、監督としての地位も確立しているクリント・イーストウッドは、その当時イタリアに出稼ぎに来ていて『夕陽のガンマン』(1965年/セルジオ・レオーネ)などに出演し一躍ブレイク。そしてアメリカに戻ってからも『ダーティハリー』
(71/ドン・シーゲル)などに出演し人気俳優街道に乗っかるわけですね。イーストウッドはビジランテ出身者!

と話した。


解説はさらに続きなぜ今本作が作られるに至ったのは、

松崎さん:『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85/ロバート・ゼメキス)では、1950年代への憧れが描かれているんです。マイカーやマイホームと言った、幸せな家や家族を象徴するアイテムが登場します。実際のアメリカも(少なからず事件はあったものの)、時代としては平和なイメージがあった。ところが60年代に入るとベトナム戦争の勃発や、それに付随する悲しい事件が頻発し、アメリカ国民は「自分の身は自分で守らねば!」という意識を持ったのだと思います。そこで先ほどのクリント・イーストウッドに戻る訳ですが、その当時の映画はハッピーエンドだけでは済まないものも多くなっていきました。

と時代の流れとそれに影響される映画の傾向について語った。

映画情報どっとこむ ralph そしてなぜ今『女は二度決断する』がドイツで作られたかについて

松崎さん:今のヨーロッパはまさに移民・難民の取り締まりや、右傾化の傾向とそれに反発する動きなど、社会が不安定な状態。『女は二度決断する』はファティ・アキン監督というトルコ系ドイツ人監督の手により作られましたが、アキン監督は常に自分のルーツを顧みて移民の目を持つ作品を手掛けてきました。
それは、『消えた声が、その名を呼ぶ』のように悲しいものもあれば、彼の陽気な性格が表れているような『ソウル・キッチン』『50年後のボクたちは』などもまた、よくよく見てみると同じキーワードが見えてくるんです。そんなアキン監督だからこそ、今の時代の真っただ中を描く、この作品を作ったのだと思います。

と世界情勢と映画がどのように関わっているのかを分かりやすく説明した。


主演のダイアン・クルーガーについて

松崎さん:ダイアン・クルーガーのこれまでに印象に残ってる作品は『ミシェル・ヴァイヨン』(03/ルイ=パスカル・クーヴレール)。綺麗な女優さんが出て来たな、という印象でお人形さんのようでした。ドイツ出身の彼女は、ハリウッド映画界で言うところのニコール・キッドマンやマーゴット・ロビーなどオーストリア出身女優や、南アフリカ出身のシャーリーズ・セロンと同じく“類まれな美貌の持ち主”。『トロイ』や『ナショナル・トレジャー』などの大ヒット作にヒロインとして出演し、実際そういう役しかしばらくは来なかったんだけど、彼女たちは自分で監督や作品を選んだ結果、そこから脱却してファティ・アキン監督のような作家性の強い監督と組むという道を自分で切り拓いた、自らの力で輝く方法を見つけたんです。アキン監督とダイアンの最初の出会いはカンヌで彼女から同郷のアキン監督に声をかけたのがきっかけだったそうですよ。『女は二度決断する』の主人公カティヤと通じるものがある。そのイメージをも自分で掴み取っていくということですね。

映画情報どっとこむ ralph 美しさと演技力、聡明さを含めダイアン・クルーガーを絶賛した!

映画『女は二度決断する

2018年4月14日、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!

“Aus Dem Nichts”
物語・・・
ドイツ、ハンブルク。カティヤはトルコからの移民であるヌーリと結婚し、幸せな家庭を築いていた。ある日、白昼に爆弾が爆発し、ヌーリと愛息ロッコが 犠牲になる。トルコ人同士の抗争を警察は疑うが、人種差別主義者のドイツ人によるテロであることが判明する。しかし、裁判は思うように進まない。突然愛する 家族を奪われたカティヤ。憎悪と絶望の中、カティヤの魂はどこへ向かうのか

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監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュ、ヌーマン・アチャル、ウルリッヒ・トゥクール
2017/ドイツ/106 分
提供:ビターズ・エンド、WOWOW、朝日新聞社
配給:ビターズ・エンド
©2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions, Pathé Production,corazón international GmbH & Co. KG,Warner Bros. Entertainment GmbH


アカデミー脚本賞『君の名前で僕を呼んで』松崎健夫と中井圭がトークイベント


映画情報どっとこむ ralph 第90回アカデミー賞で4部門にノミネートされ、3月5日(日本時間)に行われた授賞式で、ジェームズ・アイヴォリーが最優秀脚色賞を受賞した『君の名前で僕を呼んで』。これで、64部門受賞 217部門ノミネート!(3/5現在)

その日本国内で最速となる一般試写会が3月5日(月)に都内で開催。上映後には映画評論家の松崎健夫さんと映画解説者の中井圭さんによるトークショーが行われました。


日程:3月5日(月)
場所:ユーロライブ
登壇:松崎健夫(映画評論家)、中井圭(映画解説者)

映画情報どっとこむ ralph まず話題はこの日の午前中に開催されたアカデミー賞授賞式のことに。

見事、ジェームズ・アイヴォリーが脚色賞に輝いたが、アイヴォリーといえば、『眺めのいい部屋』、『モーリス』『日の名残り』といった傑作を送り出してきた名匠であり、本作には脚本家、そしてプロデューサーとして名を連ねています。
本作は、北イタリアの避暑地で出会った2人の青年、エリオ(ティモシー・シャラメ)とオリヴァー(アーミー・ハマー)の恋を描いていますが、

松崎さん:これまでもいくつかの作品で、オブラートに包む形で同性愛的なものを描いてきた彼が、いま89歳にしてこうして脚本でこの物語を描いていることが意義深いですね。

と語り、中井さんは、アイヴォリー自身が同性愛者である点に触れつつ

中井さん:いまなお瑞々しさを、こうして物語にしていて、受賞も納得です。

と称える。

映画情報どっとこむ ralph さらに今回のオスカーで主演男優賞ノミネートのティモシー・シャラメに関しても絶賛!
日本でまだ知名度が高いとは言えないティモシーだが

中井さん:ここ10年以内で主演男優賞を獲ると言われています。

と語り、松崎さんは、NY大学出身で劇中の流暢なイタリア語やフランス語、ピアノ演奏など多才ぶりを称えつつ、何よりもその透明感について、ルカ・グァダニーノ監督の「彼のいましかない瞬間を撮りたかった」という言葉を紹介。

相手役を務めた、実生活では石油王の一族の御曹司であるハマーに対しても「1930年代の美形スターの系譜」という一般的なイメージに言及しつつ

松崎さん:彼自身はどう見られるかをわかっていて、挑戦的な役柄を選んでいる。

と語り、ティモシー、ハマー共に作品選びのセンスが卓越していると賛辞を贈る。

そして、中井さんは本作の“本質”とも言える部分として、惹かれ合う同性の2人を描いた作品ではあるが

中井さん:僕はこの作品を見て、LGBTを全く意識しませんでした。普通の恋愛映画と感じました。

と告白。

映画情報どっとこむ ralph 『ブロークバック・マウンテン』が作品賞を逃してから、昨年『ムーンライト』が作品賞に輝くまで、LGBTを扱った映画とアカデミー賞との相性、アメリカ社会の変化がたびたび論じられてきたが、もはや“LGBT”をことさらに強調しない同性による“ごく当たり前の”恋愛映画が製作され、評価される時代がようやく訪れたと言及し、松崎さんもこれに深く同意し

松崎さん:自然にこういう作品が候補に入るようなってきた。この20年くらい、戦い続けてきた人がいて、それを認めていこうという人たちもいて、それがこうして叶うようになってきた。ダイバーシティの考えがこういう作品を後押ししてる。

とこれまでの歴史的経緯を踏まえつつ、この変化がいかに大きなものかを強調した。松崎さんは、足を重ねて寝るというショットを、あえてティモシーひとりのシーンでも映しておいて、その後、2人が足を重ねるシーンに繋げていくことで

松崎さん:無意識に観客の中でそれが繋がっていて、嫌悪感を抱かせないように作ってある。

と指摘すると、

中井さん:行為そのものではなく、感情の機微を見せる描写が多く、そこも含めて上質な恋愛映画を見た気がしています。

とうなずく。
また、松崎さんはカメラの位置がやや低く、ティモシー演じるエリオの視線の高さで描かれていることに

松崎さん:観客の多くが自然とエリオの目線で感情移入するような画作りになっています。

と、すると

中井さん:全体的に奥行きのあるショットが多いですね。物語はシンプルだけど、関係性をセリフに頼ることなく観客に伝えている」とその卓越したカメラワークが映画の美しさだけでなく、感情までも描いていると語り「腕のない監督が撮っていたら、もっと平べったい物語になっていた。ルカ・グァダニーノの手腕が光ってます。

と監督の技術を称えた。


さらにメインの2人に加えて、マイケル・スタールバーグが演じたエリオの父親役の重要性についても言及!

松崎さん:お父さんはたびたびエリオにもオリヴァーにも『それでいいの?』という言葉を投げかけている。

と指摘し

松崎さん:20年前の映画なら、もうちょっと説教臭かったり、(2人の関係に)反対するキャラとして描かれていたはず。

と時代の変化と共に息子の性的な志向に対して、肯定的に捉える周囲の存在を描いている点の意義を語った。
映画情報どっとこむ ralph 最後に・・・

中井さん:この作品はLGBTの映画ではなく、ごく普通の恋人たちの作品。人間の機微を描いたエモーショナルな作品です。(LGBTを)特別視している状況がもう違います。

松崎さんはアカデミー賞で歌曲賞にもノミネートされた点を踏まえ、オリジナル曲に加えて、坂本龍一の曲や物語が展開する1983年公開の映画『フラッシュダンス』の楽曲が引用されていることも紹介し

松崎さん:サントラが素晴らしいです。

とサウンド面にも言及しイベントを終えました。

君の名前で僕を呼んで
原題:Call Me By Your Name

は4月27日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー。
  
cmbyn-movie.jp

物語・・・
1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていく。

賞レースを席巻中!現在、64部門受賞 217部門ノミネート!(3/5現在)

第90回アカデミー賞 4部門ノミネート(作品賞、主演男優賞、脚色賞、歌曲賞)/ 第71回英国アカデミー賞 5部門ノミネート(作品賞、監督賞、主演男優賞、脚色賞、ライジングスター賞) / 第43回 ロサンゼルス映画批評家協会賞 主要3部門受賞(作品賞、監督賞、主演男優賞俳優賞) / 第75回 ゴールデングローブ賞 主要3部門ノミネート(作品賞(ドラマ部門)、主演男優賞、助演男優賞 and more.

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監督:ルカ・グァダニーノ(『ミラノ、愛に生きる』、『胸騒ぎsのシチリア』)
脚色:ジェームズ・アイヴォリー(『眺めのいい部屋』『モーリス』『ハワーズ・エンド』『日の名残り』)
原作:アンドレ・アシマン 「Call Me By Your Name」
出演:ティモシー・シャラメ(『インターステラー』、『Lady Bird(原題)』)、アーミー・ハマー(『コードネーム U.N.C.L.E.』)、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサールほか
2017年/イタリア、フランス、ブラジル、アメリカ/カラー/ビスタ/5.1ch/132分/PG12
©Frenesy, La Cinefacture 
提供:カルチュア・パブリッシャーズ/ファントム・フィルム 配給:ファントム・フィルム 


手塚眞が語る 父・手塚治虫とのリンチエピソード『デヴィッド・リンチ:アートライフ』公開記念イベント


映画情報どっとこむ ralph 新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中の映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ』。

その公開を記念し、1月31日(水)に新宿シネマカリテにて第2弾トークイベントが、ゲストにヴィジュアリストの手塚眞さん、聞き手に映画評論家の松崎健夫さんを迎え、リンチについて、またご自身の映画作りについてトークが繰り広げられました。


日時:1月31日(水)
会場:新宿シネマカリテ
ゲスト:手塚眞(ヴィジュアリスト)
聞き手:松崎健夫(映画評論家)

映画情報どっとこむ ralph ゲストは 映画『星くず兄弟の新たな伝説』の監督で、ヴィジュアリストの手塚眞氏、聞き手に映画評論家の松崎健夫氏が登壇。リンチについて、またご自身の映画作りについて熱いトークが繰り広げられました。

本作は、映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチが、美術を専攻した学生時代の「退屈」と「憂鬱」、悪夢のような街フィラデルフィアでの暮らし、そして長編デビュー作『イレイザーヘッド』に至るまで自ら語ったドキュメンタリー映画。

本作の感想を聞かれ

手塚さん:リンチの学生時代の友人としてジャック・フィスクが出てきて感動しました!彼は『ファントム・オブ・パラダイス』やテレンス・マリック監督の美術監督で、リンチとは学生時代に途中で袂を分かつんですよね。その後フィスクは世界的に活躍し、『キャリー』のシシー・スペイセクと結婚しちゃったりする(笑)。リンチが『イレイザーヘッド』を撮っていた頃、フィスクはもちろん、それまでの仲間たちがもう既にバリバリ活躍していたはずだから、リンチは相当口惜しさがあったんじゃないかな。

と分析。それに対し

松崎さん:私の映像制作時代の師匠は撮影監督の栗田豊道さんなんですが、栗田さんがちょうどリンチと同じころAFI(アメリカン・フィルム・インスティチュート)に通っていて、聞いた話だと “デヴィッド ” とかという変人が卒業もせずにずっと映画を作っていると。それが後の『イレイザーヘッド』だったそうです。

と松崎さんもリンチの学生時代について語った。

映画情報どっとこむ ralph また、本作が『イレイザーヘッド』で終わる、ということをどう思うかという質問に

手塚さん:少年時代とか、監督デビューした当時の話など、そのところがリンチにとって“良き思い出” になっているからでしょうね。むしろ『イレイザーヘッド』から後の話はまだ語り切れない、時間が経たないと話せないものがあるのではないんでしょうか。その気持ちは僕もよくわかるんです。

答えた。

また、自著『父・手塚治虫の素顔』(新潮文庫刊)で父・手塚治虫先生とリンチについて語り合ったエピソードに触れ

手塚さん:父は本当に映画が好きでよく観ていたのですが、『ブルーベルベット』を観て“僕は大嫌いだ!学生映画だ”と、怒っていました。リンチの映画は編集がすごく変わっていて、普通はやっちゃいけない手法を平気でやる。僕はそこが好きだったんですが、父には“安っぽい”と映ったようです。

と話した。


映画情報どっとこむ ralph リンチと自身の共通点について聞かれると

手塚さん:全く逆。リンチは映画作家である以前からアーティスト。アートを志してその中で映画を発見していく。僕は最初から映画を撮りたくて、映画にしか興味がなかった。映画をやっていくなかでアートを見つけていった。

と説明、現在公開中の『星くず兄弟の新たな伝説』について話が及ぶと、

手塚さん:もともと『星くず兄弟の伝説』は、僕にとって「アクシデント」みたいなもの。近田春夫さんに頼まれて作り始めた。素人同然の人たちが集まって、さらにその知り合いなんかが出演した作品が、たまたまバブルの時代に乗っかって“商業映画”になってしまい、さらに今でいう“カルト映画”的な評価を受けた。新作ではその約30年後を描いてるわけですが、とにかく自由な作品になった。それに、リンチが『イレイザーヘッド』以降についてまだ語っていないように、僕も10年前だったら『星くず兄弟の伝説』の続編は作ってなかったし、話す気にすらならなかったと思います。

と自身を振り返った。

映画『デヴィッド・リンチ:アートライフ
原題:David Lynch: The Art Life

は 新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか絶賛公開中。

リンチが紡ぐ「悪夢」はどこから生まれるのか?

『ツイン・ピークス The Return』で再び世界を騒がせる、映画界で最も得体の知れない監督――その「謎」が「謎」でなくなる、かもしれない。

映像作品のみならず、絵画、写真、音楽など様々な方法で表現活動を続けているデヴィッド・リンチ。「その頃の僕の世界はとても小さく、近所の数ブロックに全てがあった」ハリウッドにある自宅兼アトリエで語られる過去。「恐怖が垂れ込める意地の悪い街」フィラデルフィアでの日常。その中に潜む「恐怖」「苦悩」は、まるでリンチ作品の登場人物のような姿で私たちの前に現れては消えていく。

アメリカの小さな田舎町で家族と過ごした幼少期、アーティストとしての人生に憧れながらも溢れ出る創造性を持て余した学生時代の退屈と憂鬱。後の『マルホランド・ドライブ』(2001 年)美術監督である親友ジャック・フィスクとの友情。生活の為に働きながら、助成金の知らせを待った日々。そして、当時の妻ペギーの出産を経てつくられた長編デビュー作『イレイザーヘッド』(1976 年)に至るまでを奇才デヴィッド・リンチ自らが語りつくす。

映画情報どっとこむ ralph 手塚眞監督作品
三浦涼介×武田航平『星くず兄弟の新たな伝説』初日舞台挨拶
http://eigajoho.com/96607


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監督:ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム(『ヴィクトリア』脚本)
出演:デヴィッド・リンチ
配給・宣伝:アップリンク
2016 年/アメリカ・デンマーク/88 分/英語/DCP/1.85:1/