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『ちょっと思い出しただけ』トークイベント

松居大悟監督が、主演に池松壮亮と伊藤沙莉を迎えて描くオリジナルラブストーリーで公開中の映画『ちょっと思い出しただけ』。現在もロングラン公開中です。

この度、映画『ちょっと思い出しただけ』の公開を記念して3月16日(水)、東京・新宿のテアトル新宿にてW主演のひとりである池松壮亮と松居大悟監督によるトークセッションが行われ、撮影時のエピソードや公開後の反響などについて語ったほか、本作のタイトルが実は池松さんの発案によるものだったことが初めて明かされました。
『ちょっと思い出しただけ』トークイベント
映画『ちょっと思いだしただけ』舞台挨拶
日付:3月16日(水)
場所:テアトル新宿
登壇:松居大悟監督、池松壮亮

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松居大悟監督、池松壮亮 登壇

池松さんと松居監督がそろっての舞台挨拶は2月の公開初日の舞台挨拶以来となるが、公開から約1か月の間で、様々な声や反響が2人にも届いたよう。池松さんは俳優仲間やスタッフ陣から本作について「すごく言われます。みんな、恋愛映画、好きですねぇ」と笑う。「役者からもメールが来たりするし、現場で会っても言われます。昨日は(過去に松居監督の『君が君で君だ』に出演している)YOUさんから『本当によかった』とメールがあって『ニアミスがあったけど、私も出たかった』とおっしゃっていました」と明かした。

一方、本作で初めてラブストーリーを手がけた松居監督の元には、次々と恋愛映画のオファーが届いているそう。松居監督は「これまで10年やってきて、何なんだ⁉」と苦笑しつつ、浮かれることなく「健全に活動していかないと」と謙虚に語っていたが、池松さんからは「(恋愛映画を)おかわりしちゃおうよ(笑)」との甘いささやきが…。

この日は、事前に寄せられた質問を軸にトークが展開。池松さんと共に主演を務めた伊藤沙莉さん演じる葉が、夫と子どもが待つ家にケーキを買って帰ってきたシーンについて「どのような気持ちで撮影したのか?」という質問に松居監督は「最初の段階の台本では、葉は夜の空を見て、照生(池松さん)は朝まで飲んで帰って、明け方の空を見るという話だった」と明かし、その後、スタッフとの話の中で「葉にも明け方を見せた方がいい」という話が出たことで「決定稿の前に、葉も夜勤明けで、明け方の空、つまり照生と同じ空を見ることにしました」と説明。現場ではかなりテイクを重ねたそうで「なんで何回も撮ったかというと、葉が(照生のことを)引きずっているように見せたくなくて、吹っ切れているように見せたかったから」と語った。

池松さんは、そのシーンを完成した映画で見て「素晴らしかった」と絶賛。「葉ちゃんにも夜明けをちゃんと見つめてほしかったし、夜明けを見た上で言う『ちゃうねん。明日ねん。明日がいい』というセリフに含みが見えたし、すごくいい塩梅で…。僕の劇場での別れと同じくらい重要な、裏に潜む物語が見えるシーンですごくよかったと思います」としみじみと語っていた。

また、劇中で使用されるクリープハイプによる3曲「ex ダーリン」「君の部屋」「さっきの話」の選曲の経緯についての質問には、松居監督は「尾崎(世界観)くんと話し合いました。『exダーリン』については、尾崎くんから『踊りがあるからリズムがない方がいいので、この曲が良いと思う』という話があり、別れの曲なのでいいなと思いました。(『君の部屋』と『さっきの話』の2曲が流れる)ライブハウスのシーンは、ピッチの違う2つの曲がよくて、僕がどうしても『君の部屋』を使いたかったので、もう1曲はゆっくりのやつにしようと思い、リハーサル中にギターを変えずにそのままやれる曲がよくて『さっきの話』にしました」と明かした。

この日、司会を務めた和田プロデューサーによると「ex ダーリン」が流れるシーンは、松居監督から撮影前日になって「1カットでいく」という提案があったという。このシーンについて松居監督は「表情を寄りで見せる必要はないんだと気づいたんですね。そこは、僕は大人になったなと思います(笑)。昔だったら、絶対に引きのままでいられず、グルグル回るときに逆にカメラを回して寄りでグッと行った方がエモいと思ってましたけど、そういうのをやめました」と嬉しそうに語り、歌を歌った尾崎さん、撮影、照明のスタッフの力が結集して「あの画が成立した」と感謝を口にした。

池松さんにとってもこのシーンは印象深かったようで、1カットでの撮影について「すごく賛成でした。あの1カットが成功してから、その後の日々でグッと現場の士気が上がりました。ターニングポイントになったと思います」と語る。さらに、池松さんはこのシーンを撮影しながら、松居監督が「泣いてた(笑)」と暴露! 松居監督は「なんでこの2人が別れなきゃいけないんだろう?とつらかった」とその時の心境を明かしていた。

また「映画を作っていく中で、譲れないことは?」という質問に、松居監督は「見ている人の感情を誘導しないこと」と回答。「制作側が『ここは泣くシーンですよ』と誘導すると引いちゃう。(映画館の)暗闇でみんなで見ているんだから、見ている人の数だけ感情があっていいし、笑っている人の隣で泣いている人がいてもいい」と強調する。

池松さんは同じ質問に「難しいですね…」としばらく思案しつつ「広い答えになりますが、人とつくって、人に見せているということかな? そのことが映画の弱点だし、強みだと思う」と語り、この言葉には松居監督も思わず「深い!」とうなっていた。

そしてトークの最後に和田プロデューサーの口から、ここで初めて語られるエピソードとして、クリープハイプの楽曲「ナイトオンザプラネット」の歌詞の一節から取られた『ちょっと思い出しただけ』という本作のタイトルは、実は池松さんの発案だったことが明かされた。

松居監督は当初「星につま先」というタイトルをつけていたが「みんなに大反対された(苦笑)」とのこと。「じゃあ、どんなタイトルがいいんだ? という話になって、池松くんから『ちょっと思い出しただけ』がいいんじゃない? という話が出た」という。

池松さんは「そういうことをあんまり言うと…タイトルを変える俳優とか、絶対に仕事こないと思う(苦笑)」と困り顔だったが、池松さんの案に現場は「満場一致だった」(松居監督)とのことで、客席からは池松さんの秀逸なセンスに対し、拍手がわき起こっていた。

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『ちょっと思い出しただけ』は公開中。

公式サイト:choiomo.com
公式Twitter・Instagram:
@choiomo_movie

なんでもない、だけど
二度と戻れない愛おしい日々を

あらすじ
照明スタッフの照生と、タクシードライバーの葉。
物語はふたりが別れてしまった後から始まり、時が巻き戻されていく。
愛し合った日、喧嘩した日、冗談を言い合った日、出会った日・・・
コロナ禍より前の世界に戻れないように、誰もが戻れない過去を抱えて生きている。
そんな日々を“ちょっと思い出しただけ”。
池松壮亮×伊藤沙莉『ちょっと思い出しただけ』

<ノベライズ発売中>

ふたりの表情、街の風景を思い描きながら、何度でも読み返したい、切なくもやさしいかけがえのない物語が生まれました。
■タイトル「ノベライズ ちょっと思い出しただけ」
■著者 原作・脚本:松居大悟 著:木俣 冬
■書誌情報 定価:本体1300円+税
発行・発売:株式会社リトルモア

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池松壮亮 伊藤沙莉
河合優実 尾崎世界観
國村隼(友情出演)/ 永瀬正敏
監督・脚本:松居大悟
主題歌:クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」(ユニバーサル シグマ)

制作・配給:東京テアトル 宣伝:FINOR 制作プロダクション:レスパスフィルム 
製作:『ちょっと思い出しただけ』製作委員会(東京テアトル ユニバーサル ミュージック)
2021年/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/115分
©2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会
Photo by E-WAX

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